毎日忙しく、趣味や勉強の時間が確保できない、プレゼンの準備をする時間が確保できない。
そんなもどかしさを覚えたことはありませんか?

本を読んで勉強をするのなら、電車の中やちょっとしたスキマ時間でもある程度はできるかもしれませんが、実際に声を出して行うプレゼンや、スポーツや楽器の演奏などの練習はまとまった時間や準備が必要で、なかなか実行に移せないかもしれません。

そんな時は、イメージトレーニングをすることが大きな効果を発揮してくれますよ。

トップアスリートとイメージトレーニング

イメージトレーニングの効果は現在非常に高く評価されており、トップアスリートはほぼ必ずと言っていいほど採用していると言われています。限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを見せる必要があるアスリートにとって、小さな時間も練習に変えられるイメージトレーニングは非常に有用なメソッドなのです。

2014年のソチ五輪の際、羽生結弦選手がイメージトレーニングに関する印象的なエピソードを残しています。
彼はトロントからソチへ移動する10時間ものフライトの間、4回転サルコウと4回転トゥループという2つの4回転ジャンプのイメージトレーニングをひたすら繰り返したと言います。

そして翌日の練習では「なまった身体をまずは動かす」という発言とは裏腹に、その2つの4回転ジャンプを次々と成功させ、結果としてソチ五輪においてショートプラグラムの公式大会世界最高得点かつ、史上初の100点超えを達成。アジア人初の冬季五輪金メダルという華々しい成績を残しました。

大会での成績もさることながら、ロングフライトで身体がなまっているはずの練習で大技を成功させたというところに、イメージトレーニングの効果の高さがうかがえます。

60日のトレーニング後、英語実務でも効果を実感。TOEICも950点に。
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ミラーニューロンがイメージトレーニングを生む

イメージトレーニングに効果があることは、科学的にも説明がなされています。

ミラーニューロンという言葉を聞いたことがありますか?
これは、イタリアにあるパルマ大学のジャコーモ・リッツォラッティ(Giacomo Rizzolatti)らによって1996年に発見された神経細胞です。認知神経科学の権威であるV・S・ラマチャンドラン氏にも、この10年で最も重要な発見のひとつであると評価されています。

霊長類など高等動物の脳内に存在し、他者の行動を見たときに、まるで同じ行動を自分がしているかのように、同じパターンで発火する性質があることがわかっています。このように、鏡に写したようにトレースする性質からその名前が付けられました。

ミラーニューロンは人間や霊長類が他者の動きから「道具の使い方」を学習する際に役立っていると考えられています。他人の行動を見て学んだ運動のパターンを、今度は「実行」のスイッチをオンにして再現することで、自分でも行うことができるのです。

ミラーニューロンの働きは、誰かの行為を見たときだけではなく、自分が何かの行為を「想像する」だけでもすでに頭の中で起こります。さらに、この時は脳内だけではなく、動かすはずの筋肉にも放電が起こっているというのです。

オハイオ大学の研究では、イメトレがギプスで固定された腕の筋肉の衰退を防止し、リハビリの効果を増加させるという効果を持つことを明らかにしました。実際の運動には及ばないものの、イメージトをするだけで筋肉のトレーニングになるのです!

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イメージは具体的に!

イメージトレーニングを行う際には、いくつか注意しておくべきことがあります。

1番大切なのは、実際に身体が動いていることをリアルに想像すること。例えば、プレゼンの練習などの場合は、一度、実際に身体を動かした練習を行ってからイメージトレーニングで復習する、という順序で行うようにしましょう。その方がより実践に近い形でミラーニューロンが発火し、筋肉にも放電が起こってくれるはずです。

また、スポーツなどで手本となる動画などがある場合には、その動画を繰り返し視聴することも重要です。手本の運動を見てミラーニューロンが発火し、それをトレースするということを繰り返すことで、身体が運動のイメージを掴むことができるようになります。

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忙しい中でもスキマ時間を見つけ、場所を選ばずに行えるイメージトレーニングは、技術習得のために強い味方になってくれます。
しかし便利だからと言ってそれに頼り過ぎるのは禁物。実際に身体を動かして練習することほどは、効果が大きくないというのが現実です。
あくまでも「練習できない時間を練習時間に変える裏技」として上手く活用しましょう。

(参考)
MUSTER|【運動と同じ効果!?】スポーツ選手が覚えておきたい「正しいイメージトレーニングのやり方」
Number|羽生、プルシェンコ、チャンが火花。ライバル意識と敬意が混じる緊張感。
Wikipedia|ミラーニューロン
Wikipedia|イメージ・トレーニング
WIRED|弱った筋肉には「イメージトレーニング」が妙薬:研究結果
V・S・ラマチャンドラン著, 山下篤子訳(2013年),「脳のなかの天使」,角川書店.
TED|V. S. ラマチャンドラン: 文明を形成したニューロン