良いアイデアが生まれる「環境」と「習慣」と「思考法」。一流の発想術を『TED Talks』に学ぶ。

良いアイデアを出すというのは、なかなか難しい作業です。単にタスクを黙々とこなすのとは違い、アイデアを出すためには頭を柔軟に働かせる必要があります。それを分かっていても、焦ってしまった挙句に、凝り固まった考えしか出せないという方も中にはいるでしょう。

そんな方に向けて、今回は、世界中の著名人による講演を聞くことのできる『TED Talks』の中から、アイデア出しに関するヒントをいくつかご紹介します。一体どのような環境で、どのような習慣をもち、どのような思考法を身につければ、良いアイデアは生まれるのでしょうか

良いアイデアが生まれる環境:流動性ネットワーク

まずご紹介するのが、科学ジャーナリストのスティーブン・ジョンソン氏が「良いアイデアはどこで生まれる?(Where Good Ideas Come From)」というプレゼンの中で述べた内容。

彼は、新しいアイデアを生み出す基盤となる「流動性ネットワーク」について言及しています。この流動性ネットワークとは、簡単に言えば「意見交換の場」アイデアというのは、ひとりでに生まれてくるものではなく、いくつものアイデアや考え方を土台にして生まれてくるものなのです。ですから、アイデアを思いつきたいなら、流動性ネットワークに身を置くことが大切になります。

スティーブン・ジョンソン氏はプレゼンの中で、昔ながらの英国のカフェを流動性ネットワークの代表例として挙げました。ビジネスパーソンや大学生の皆さんの日常に当てはめて考えてみれば、次の場所などが流動性ネットワークとなりえるでしょう。

・会議の場 ・昼休憩のカフェテリア ・インターネット

良いアイデア出しの基盤となるのは、人とコミュニケーションを図ることができ、多くの意見に触れられる環境。特にインターネット・SNSなどは、うまく使えば、時間もコストもかけずに非常に多くの人の意見を吸収し、また議論を交わすことができます。アイデアを出そうとする前に、まずは様々なアイデアを吸収し、自分の中に蓄積するよう心がけてみましょう。

もちろん、上記の他にも、流動性ネットワークの候補となりえる場所はいくつも存在します。ご自分の環境を見渡してみてください。

良いアイデアが生まれる習慣:DMNを働かせる

次にご紹介するのは、アメリカのラジオ番組の人気キャスターであるマヌーシュ・ゾモロディ氏が「退屈な時に優れたアイデアが思いつく仕組み(Bored and Brilliant: How Spacing Out Can Unlock Your Most Productive and Creative Self)」というプレゼンで述べた内容です。

プレゼンのタイトル通り、彼女の主張の核となる部分は、「退屈なときに新しいアイデアが生み出される」というもの。アイデアを生み出そうと気を張っているときよりも、散歩時や入浴時などのリラックスしているときのほうが、アイデアがよく浮かぶ――。そんな経験を多くの方がしたことがあるのではないでしょうか。では、どのようにして退屈なときにアイデアが生み出されるというのでしょう。

その仕組みの鍵となっているのが、脳のネットワークの一種であるDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)です。DMNとは、いわゆる「退屈している」「ぼーっとしている」ときに脳に見られるもの。DMNは、私たちが集中しているときの脳のネットワークの何倍もエネルギーを消費していると言われています。そこまでエネルギーを使って何をしているのでしょう? 実はDMNでは、記憶の検索や、それまでに脳に与えられたいろいろな情報の整理が行われています。この効果によって脳内が整理されるために、情報をより引き出しやすくなり、そこから新しいアイデアが生まれやすくなるのです。

このDMNをより働かせて良いアイデアを得る具体的な方法としては、「マインドフルネス」がおすすめです。マインドフルネスとは、禅宗などで用いられた「瞑想」から宗教要素だけを取り除いて現代に取り入れやすくしたもの。マインドフルネスの手法のポイントは「調心・調身・調息」の3点です。調の文字は「整える」という意味を指しますので、姿勢・呼吸を整え、精神(心)を落ち着けるのがマインドフルネスなのです。

臨済宗妙心寺派の寺院の副住職を務め、訪日外国人に向けた座禅・マインドフルネスの指導も行っている川上全龍氏は、マインドフルネスの取り組み方を以下のように説明しています。

「特に瞑想でベースになるのが呼吸です。とにかく、ゆっくり、深く呼吸することを心がけてください」 (中略) 「私の場合、大体5秒吸って、10秒かそれ以上かけてゆっくり吐いていきます。もし辛く感じるようであれば、短くてもいいので、吐く息の長さが吸う息の2倍ぐらいになるようにしましょう。3秒かけて吸ったら、6秒かけて吐くのです。呼吸しながら心の中で数を数える「数息観(すそくかん)」という方法もありますが、私は考えず、感覚に集中してます。どちらでも結構なので、やりやすいほうでいいのです」

(引用元:PRESIDENT Online|瞑想の基本「調身」「調息」のやり方

このように、呼吸や体の内側の感覚のみに意識を傾けることで、意図的に脳をぼーっとさせてDMNを引き出しましょう。すると、脳内の情報が整理され、アイデアを生み出しやすい状態が作られます。このマインドフルネスは5分などの短い時間でも効果を発揮するようなので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

良いアイデアを生み出す思考法:アイデアしりとり

最後にご紹介するのは、株式会社バンダイで数々のヒット玩具を生み出してきた「おもちゃクリエーター」の高橋晋平氏(現・株式会社ウサギ代表取締役)が「新しいアイデアのつくり方」というプレゼンで述べた内容です。

彼はその発表の中で、とてもユニークな発想法を提案しました。その方法とはずばり、しりとりを用いた発想法です。新しい優れたアイデアを生み出すためには、今までに全くなかった考え方をすることが必要だと彼は言います。

その具体的な方法はこの通りです。

(図は筆者にて作成)

例えば、あなたが高橋氏のようにおもちゃの開発者だったとします。まずしりとりをしてみてください。そして、しりとりで出てきたもので何かおもちゃを作れないかと考えてみるのです。「コーラのおもちゃ」「ライブのおもちゃ」「ブラシのおもちゃ」……と考えていくうちに、たくさんのアイデアが生まれるでしょう。おそらく、そのうちの多くのアイデアはくだらないものになるかもしれませんが、いくつかは必ず良いアイデアが出てくるはずです。これが、しりとりを使った発想法です。

この発想法の良いところは、アイデアをいくつも生み出す過程で、アイデアのヒントが知らず知らずのうちに連想されていくことです。ひとつ前のアイデアがイマイチなものだったとしても、「単語」に合わなかっただけでその発想自体は優れたものかもしれません。アイデアを積もらせていくうちに、単語と発想がぴったりと合って成功することがきっとあるでしょう。

この方法はおもちゃだけでなく、様々な新商品開発やイベント企画などにも効果的です。また、単語を連想する方法はしりとり以外でも構いません。辞書を引いてみたり、外に出て目に見えたものをあてはめたりするのも効果的かもしれませんね。

*** 良いアイデアを生み出すには、あらかじめアイデアの土台となる知識を蓄えたうえで、過去の事例や先入観などに縛られず、肩の力を抜いて考えることが大切です。この記事が皆さんのアイデア創出のお手伝いとなれば幸いです。

(参考) TED|スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」 TED|退屈な時に優れたアイデアが思いつく仕組み TED|新しいアイデアのつくり方 StudyHacker|呼吸を整え、心を整えよ。日々の集中力が増す「瞑想」の技術 PRESIDENT Online|瞑想の基本「調身」「調息」のやり方 +Wellness|「ぼんやり時間」がひらめきをもたらす 日経サイエンス|浮かび上がる脳の陰の活動

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