毎日、仕事が終わってから1時間、資格試験の勉強しよう。朝5時に起きて、仕事を少し進めよう。毎日30分のランニングを習慣にしよう。

これらの習慣を作ろうとして挫折したことはありませんか?

あなたが習慣を作ることができないのは、もしかしたら、習慣について大きな勘違いをしているからかもしれません。今回は、習慣形成にまつわる「ありがちな勘違い」について、4つ紹介します。ご自身の経験に照らし合わせながら、読んでみてください。

勘違いその1――高すぎる目標を立てる

「明日から早起きをして、仕事の前に近所をランニングしよう」

このような立派な目標を立てること、よくありますよね。そして、その目標を達成できない、というのもよくあること。

並外れた意志の強さを持つ人なら、目標通り翌朝から仕事の前にランニングできるかもしれません。ですが、普通の人間がこんな目標を立てても、必ずどこかで挫折します。人材育成コンサルティングを行う株式会社レーザービームの創業者で『いつも目標達成できない人のための自分を動かす技術』などの著書を持つ福山敦士さんは、次のように述べます。

これまで、大勢のビジネスパーソンの目標達成に携わってきた経験上、言えることがある。99%の人が「高すぎる目標」を掲げて挫折している
(中略)大抵は、高めの目標は絵に描いた餅で終わる。目標を何一つ実行できず、日々自信を失い、動けなくなるとどうなるか? 目標が煩わしくなり、一刻も早く記憶から消し去ってしまいたくなる。非常にもったいないことである。

(引用元:東洋経済ONLINE|今年の目標がいつも達成できない人の共通点)太字は筆者にて施した

いきなり壮大な目標を立て、それを習慣化しようとしても、その挑戦は失敗に終わってしまいます。というのも、壮大な目標を達成するには、それに付随して多くの習慣を変える必要があるからです。これについて、「明日から早起きをして、仕事の前に近所をランニングしよう」という習慣化目標を例に説明しましょう。

「明日から早起きをして、仕事の前に近所をランニングする」なら、まずは早起きしなければなりません。そして、早起きという行動ひとつを見ても、次のようなやるべきことが考えられます。

1. 早い時間に目を覚ます
2. 起きたら部屋のカーテンを開ける
3. 前日の夜、早く寝る(睡眠時間を減らすと、結局起きられなくなります)
4. 早く寝るために仕事を早く終わらせる

これらのことを全部こなして早起きを実行したうえで、さらに近所をランニングするための行動も新たに起こさなくてはなりません。早起きのためのアクションと、ランニングするためのアクションをいきなり全部こなすのは不可能というもの。その結果、「自分には無理」と習慣形成を諦めてしまうことになるのです。

大切なのは、小さな目標を連続して立てること。「早起き」を大きな目標とする場合は、まず「2. 起きたら部屋のカーテンを開ける」という目標を立てます。それが達成できたら、「4. 早く寝るために仕事を早く終わらせる」「3. 前日の夜、早く寝る」と順番に小さな目標を増やしていきましょう。そうして続ければ、最後には早起きができるようになります。ランニングに挑むのは早起きができるようになってから。小さな行動を積み重ねることで、大きな目標を達成しましょう

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勘違いその2――すぐに成果が出ることを期待する

早起きとランニングができるようなったあなたは、いったいどんな毎日を送っているでしょうか? ちょっと想像してみてください。

日の上がる前、まだ外が暗い時間に目が覚めたあなた。ジャージに着替え、近所をランニングしてから、シャワーを浴びます。いつもよりゆっくりと朝食を食べ、コーヒーを淹れ、一息ついてから仕事に向かう……。そんな優雅な朝の時間を送ることができるかもしれませんね。

しかし、あなたが思い描いた理想の朝は、早起きとランニングを習慣にしようと思い立ってからすぐに実現できるわけではありません。上で説明した通り、目標が大きければ達成できるまでに日数がかかります。これまでの研究からは、習慣が身につくまでには簡単な習慣で21日、難しいものだと66日かかると言われているのだそう。

メンタリストDaiGoさんは、習慣化について次のように解説してします。

例えば、食事をした後に水を1杯飲むみたいな簡単な習慣だったら、確かに21日間でも身につくんですけど。例えば、毎日スクワットや腹筋をやるみたいな、こういう運動に関するものだったり。身につけるのが大変と言われているものに関しては、21日よりもけっこう時間がかかって、だいたい66日間で習慣が身につくと考えてください。66日続けなくちゃいけないんですね。

(引用元:logmi|飽きっぽい人に朗報! 確実に習慣を身につけられる66日ルール

ということは、先ほどあなたが想像した早起きした後の優雅な時間はおそらく、目標を立ててから少なくとも3週間後以降にやってくるわけです。早起きだけでなくランニングまで含めれば、2ヶ月以上先のことかもしれません。もしも明日すぐに自分の生活が変わることを期待していれば、理想と現実のギャップに苦しんでしまうでしょう。そして、直ちに結果が出ないことに絶望し、習慣化に失敗してしまうのです。

習慣をつくり、その後成果があがるまでにはそれなりに時間がかります。そのことを理解して、気長に習慣を続けるようにしましょう。

勘違いその3――なんでもやる気や気合で解決しようとする

さて、早起きをするためにどんな戦略を立てましょうか。まさか、やる気と気合があれば毎日こなせるだろう、なんて考えていませんよね。

毎日「これをやる!」という強い意志を持ち行動できれば、確かにかっこいいものです。しかし、筆者を含め、多くの人はやる気だけで習慣形成することはできません。脳科学者の茂木健一郎さんは次のように述べているそうです。

何かをはじめようとしたとき、実はやる気はまったく必要ありません。

(引用元:MONEY PLUS|脳科学者に学ぶ、成果を出す人の「脳を自在に操る」習慣

これはつまり、何かの行動を習慣にできるかできないかにおいてやる気は関係ないということ。茂木さんは、「やる気」とは「やらないことの言い訳に使うものだ」とまで言っているそう。

私たちの状態は毎日変わります。仕事の締め切りが近くて遅くまで残業してしまうときもあるでしょうし、職場の人間関係に悩まされて疲れ切ってしまう日もあるでしょう。そんな状態にもかかわらず、いつもと同じように気合を入れ、翌朝早起きとランニングを実行するというのは、大変なこと。やる気や気合を頼りに習慣を作ると、いつでも「今日は気分が乗らないし、まあいいかな」の一言で計画が崩壊してしまうのです。

そこで大切なのは、やる気や気合に頼らずに行動できる環境をつくるということです。著書『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』において幸福につながる習慣形成について解説するショーン・エイカーさんは、「身につけたいと思う習慣をするために必要なエネルギーの量」を減らす(ステップを減らす)ことを提案しています。

例えば「朝5時になったら、ライトが自分を照らすように設定する」ことで、自分から動かなくても光を浴びることができ、早起きしやすくなります。また、ベッドと窓までの距離を短くすれば、カーテンを開けるまでにかかる時間を減らすこともできるでしょう。

このように、目標を達成するためにかかる時間ややるべきことを減らし、やる気や気合に頼らなくても行動できるしくみを作りましょう

勘違いその4――実行できなかった自分を責める

今日、早起きできなかった……。昨日まではうまくいっていたのに……。途中で気が抜けてしまう自分はダメな人間だ……。

習慣を続けていくと、どうしても実行できない日は必ず出てきます。こんな時、真面目な人ほど、実行できなかった自分を責めてしまいがち。確かに、自分を責めることは、次のミスへの抑止力になるように思えるかもしれません。しかし、できなかった自分を責めても、また失敗する可能性が上がるだけなのです。

Carleton Universityの心理学部教授であるMichael J.A.Wohl、Timothy A.Pychyl、Shannon H.Bennettの3人が、勉強を後回しにした失敗に対して自分を許せるか否かと、その後同じ失敗を繰り返すかの関係について調査を行っています。その結果、自分を許すことができなかった被験者は、再度勉強を先延ばししてしまう傾向にあったそうです。逆に、自分を許した被験者は先延ばしをせずに試験勉強に取り組めたのだそう。

たった一日早起きができなかったくらいで自分を責めてしまえば、早起きしない日が増えてゆくかもしれません。こうなれば、最終的には早起きの習慣をやめてしまうことになるでしょう。

できない日があっても、「そんな日もあるよね、よし明日頑張ろう」と思いつめないことが大事なのです。

***
習慣を作るときに大事なことを一言でまとめれば、自分は完璧でないことを認めるということです。いきなり習慣形成できるわけではないし、習慣が途切れてしまうこともある。これを理解するだけでだいぶ気持ちが楽になり、努力を続けられるようになります。

ぜひ意識してみてくださいね。

(参考)
Study Hacker|意志力なんか当てにするな! 習慣化を成功させる、上手な “しくみ” の作り方。
logmi|飽きっぽい人に朗報! 確実に習慣を身につけられる66日ルール
NewsPicks|「5秒ルール」「20秒ルール」「30秒ルール」で人生を変える
習慣マネジメント相談所|小さな目標でも習慣化できない人の根本的な勘違い
東洋経済ONLINE|今年の目標がいつも達成できない人の共通点
ScienceDirect|I forgive myself, now I can study: How self-forgiveness for procrastinating can reduce future procrastination
MONEY PLUS|脳科学者に学ぶ、成果を出す人の「脳を自在に操る」習慣