皆さんは雑談は得意ですか?

社会人の方は、同僚や上司、取引先などと、仕事の隙間の時間で雑談する機会がたくさんあるでしょう。また学生の場合でも、例えば就職活動やアルバイトで他大学の学生などと雑談する機会は多くあります。

だけどこうした雑談タイムって、話下手な人にとっては苦痛でしかないですよね。沈黙は気まずいから何か話さなきゃとは思う。しかし、頑張って話してみても、話は続かない。そして再び沈黙が流れる……。そんな居心地の悪さはできれば味わいたくないもの。

そこで今回は、雑談力に悩める話下手な皆さんに向けて、受け身の雑談力を紹介します。

無理に盛り上げようと思ってはいけない

まず前提として、口下手人間は、無理に盛り上げようと思ってはいけません

話下手なあなたが無理をして喋ると、その「頑張っている感」は間違いなく相手に伝わるでしょう。その結果、相手に気を遣わせてしまうことになります。そんな風にして、雑談で自分も相手も疲れてしまうなんて嫌ですよね。

ちょっと立ち止まって考えてみてください。そもそも相手は、雑談に盛り上がりを求めているでしょうか?

人には、話す相手に応じて取りたいコミュニケーションのレベルがあります。

作家の平野啓一郎氏は、人間関係について著した書籍『私とは何か――「個人」から「分人」へ』の中で、コミュニケーションのステップについて次のように述べています。

まず不特定多数の人と交わす、当たり障りのない汎用性の高いコミュニケーション。
次に学校や会社、サークルなど特定のグループに向けたコミュニケーション。
最後に家族や親友、恋人など特定の相手に向けたコミュニケーション。

このステップに沿ってコミュニケーションは進むのですが、進むペースは人によって違います。あなたがあなたなりのペースで、このコミュニケーションのステップを進みたくても、そのペースは相手にとって適したペースだとは限りません。もしあなたが、一方的に早いスピードでコミュニケーションの段階を進めようとすると、必ずコミュニケーションに失敗してしまうのです。

つまり、コミュニケーションの親密さは、相互に配慮した、無理のない会話から生まれるということになります。

どうか次に人と雑談する時には、「盛り上げよう」なんて思わないで下さい!

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相手に興味を持って質問しながら、会話を掘り下げる

口下手な人にとって、コミュニケーションにおける最大の武器は「質問」です。面白おかしく会話を回すことに慣れない口下手が狙うべきは、相手に楽しく喋ってもらう状況なのです。

口下手で超あがり症なのにリクルートでトップ営業マンになり、今では「サイレントセールストレーナー」としてコミュニケーション研修・セミナーを行う渡瀬謙氏も、著書『超一流の相手にしゃべらせる雑談術』で、以下の点を雑談上手になるための3原則として挙げています。

・上手にしゃべらなくてもいい
・面白い話で盛り上げなくてもいい
・豊富な知識がなくてもいい

渡瀬氏は、雑談で必要なのは「しゃべらない勇気」であると言います。相手とのその後のコミュニケーションを考えると、相手にしゃべらせたほうが圧倒的に効果が高いのだそう。そこで、相手に適切な質問を投げかけるのが有効だというわけです。

もちろん、質問して終わりだと会話は成り立ちません。相手の返事を1段階掘り下げて、相手の経験に基づく質問を続けるのがベストです。例えば、次のような感じです。

相手が京都出身であるなら……
「自分はまだ京都には行ったことないんですよ。いつ行くと綺麗ですか?」

相手がゴルフ好きであるなら……
「ゴルフって難しそうですね。一通り回れるまでどれくらい練習したんですか?」

単に知識や情報を尋ねるのではなく、相手が経験を交えて答えられるようなことを質問すると、相手も楽しく答えてくれますよ。会話に適度な「間」が生まれるので、口下手な人でも会話のテンポに余裕が持てるようになります。

質問したら、相手の回答について感想を述べる。さらに、相手の経験を掘り下げるような質問を重ねる。そんな質問のコンボを意識してみて下さい!

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相手にポジティブなレッテルを貼ってみる

最後のコツは、相手にレッテルを貼ってみることです。

レッテルを貼るというと何だか嫌な感じですね。でも人って自分を決めつけられると、全力で否定したくなるもの。会話のなかでうまく相手にレッテルを貼れば、勢いよく話し出してくれます。だから、ポジティブなレッテルを貼って相手を褒めることで、相手から話を引き出すことを狙うのです。

一般に「謙譲の美徳」と言われるように、日本人は自信のある態度よりも、「私なんか」と謙遜する態度の方に好感を持ちます。私たち日本人は、自分の良いところをアピールするよりも、自分がいかに大したことがなく、ダメな人であるかを語ることに慣れているのです。褒められると否定したくなる、というのはまさにこの心理ですね。

例えば、就職活動中の学生であれば、就活で出会った他大学の学生に「○○さん、絶対就活得意ですよね」と決めつけて褒めてみてください。すると相手は「いやいやそんなことない」と言いながら、最近の選考の話題を積極的に話してくれるはずです。(実は筆者も就職活動中、このやり方で会話を回していました)

相手のいいところを見つけた時には、あえてレッテルを貼ってみてはいかがでしょう。

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口下手には少しばかり荷が重い雑談。しかし自分の口下手を認めて、相手に話してもらうコツを身につければ自然と会話も広がっていくはずです。

かくいう筆者も非おしゃべり屋で、就職活動中には苦労しました。面接の待合室や選考の帰りの電車で、他大学の学生と一緒になることが何度もありましたが、そのたびに雑談に苦しんできたのです。しかし半年ほどたつと、どうにか雑談を繋げて、いい気分で相手との時間を過ごすことができるようになりました。

次に雑談する機会があれば、是非紹介したコツを実践してみて下さい!

(参考)
渡瀬謙著(2016),『超一流の相手にしゃべらせる雑談術』,PHP研究所.
平野啓一郎著(2012),『私とは何か――「個人」から「分人」へ』,講談社.
笑える国語辞典|謙譲の美徳
STUDY HACKER|雑談は得意? 初対面の人ともうまくいく『雑談力』のポイント