頭のなかを即整理! 「コーネル式ノート術」×「京大式カード」が勉強に最適だった

「コーネル式ノート術」×「京大式カード」01

「講義中は、聞いた内容をメモするだけでせいいっぱい」
「メモをとっても、時間が経つと重要なポイントを忘れてしまっている」
こんな状況に毎回悩んでいる人はいませんか。それもそのはず、内容を一言一句メモするノートのとり方には、じつは無駄が多いのです。

この悩みを解消してくれるのが、アメリカ・アイビーリーグの一角を担うコーネル大学教授が生み出した「コーネル式ノート術」と、京都大学教授が生み出した「京大式カード」。では、日米トップレベルの大学が編み出した勉強法を組み合わせてみると、どんな効果が見えてくるのでしょうか。

そこで筆者が、講義中に「コーネル式ノート術」を、また講義終了後の復習に「京大式カード」を使って実際に勉強してみました。実践のコツとともに、具体的な方法をご紹介します。

ノートを3分割する「コーネル式ノート術」

「コーネル式ノート術」とは、1989年にコーネル大学で教授と学習サポート業を兼任していたウォルター・パーク氏によって開発されたノート術。今日まで多くの学生の学習を支えてきました。

コーネル式ノート術は、ノートを3つのセクションに分けることから始まります。その3つとは、「Notes(一般的なメモ)」「Cues(関連キーワード)」、そして「Summary(ページの要約)」です。

「コーネル式ノート術」×「京大式カード」02

まず「Notes」には、議題に挙がっている内容を、完璧な文章ではなくキーワードや大事なポイントにしぼって書き出します。ひとつひとつを完璧にメモしようとするのは、話の理解や自身の思考を妨げてしまうため、あまり現実的とは言えません。代わりに、簡単な図や自分だけがわかる略語を使って、より効率的にノートを作成します。たとえば「approximately(だいたい・約)」とメモしたいときは、「approx.」や「about/ab.」などの略語で代替可能です。

また「Cues」には、Notesでメモした内容に対する疑問や自分の意見、最も重要なキーワードなどを、その日のうちに書き込むようにします。このセクションでは、内容について理解を深めること、内容を記憶することを心がけるようにしてください。もし内容に対する疑問点があれば、それを書き留めておいて、次の機会に質問しましょう。すると、同じ内容の学習を二度行なったと脳が錯覚して、記憶をより定着させることができますよ。

基本的には、NotesでメモをとったあとにCuesで理解を深めるという流れが一般的ですが、なかには2つのセクションを同時に扱える人もいるでしょう。コーネル式ノート術では、そうした部分は厳密ではありませんので、ひとりひとりに合った実践の仕方でかまいません。

そして最後の「Summary」では、「今日学んだこと」について、2〜3文程度の短い文章でまとめます。膨大な量の情報を短い文章に要約するこの作業は、少し難しく面倒に思えるかもしれませんが、じつは一番重要です。なぜならば、講義中にメモしただけだと、内容が自分の知識としてまだ定着していないから。メモした内容を短くまとめて「自分ごと化」するプロセスが大切なのです。

コーネル大学の学習戦略センターでも、詳しい説明が動画として掲載されています。英語での解説にはなりますが、オリジナルを見てみたいという方にはおすすめです。

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情報整理に適したサイズの「京大式カード」

「京大式カード」とは、いまからおよそ半世紀前に京都大学で教鞭を取っていた文化人類学者の故・梅棹忠夫氏が提唱した情報整理メソッドです。

梅棹氏のベストセラー著書『知的生産の技術』にて紹介された京大式カードは、当時彼が着手していたモンゴルの民族研究にも使われ、今日まで多くの研究者の資料整理を支えてきました。

京大式カードの基本フォーマットは、B6サイズの小さなカード。そのなかに、1枚につき1つの情報を書き込んでいきます。それらを複数枚つくっておくことで、データベース的役割を果たしてくれるでしょう。

これは受験生などが使っている単語カードと非常に似ていますが、それよりもう少しサイズが大きく、幅に余裕があります。したがって、単語だけでなく簡単な図や説明なども書き加えることが可能です。また同時に、ノートよりもサイズは小さいためかさばらず、持ち運びにも適しています

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「コーネル式ノート術」×「京大式カード」で勉強してみた

というわけで、筆者も講義中に「コーネル式ノート術」、そして講義終了後の復習には「京大式カード」を用いて勉強してみました。以下は、高度成長期の日本を話題の中心に置いた、1960年代の世界について講義を受けた際のノートです。

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このコーネル式ノートで青く囲っている部分は、「cul:culture」「b/4:before」など、メモする際に略した言葉です。また、赤く囲っている部分は「↔(両矢印):however/on the other hand」「≠(ノットイコール):be not」など、記号を用いてメモしています。

これらの工夫は時短を目的とした略語や記号であるため、メモしている自分自身がわかればそれで十分。「consume(消費する)」なども、母音を抜かして「cnsm-ing」といったように表現できます。

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また復習時にあわせて使った「京大式カード」では図なども用いてまとめていますが、余白を残して書くように注意しました。これは、1枚のカードを情報量過多にしないのが目的です。

2つを組み合わせたら、頭のなかが整理されて学習内容の理解が進んだ!

「コーネル式ノート術」と「京大式カード」を使って勉強をしてみたところ、両者ともに情報整理の面で大きく貢献しました。余裕をもたせたノート・カードづくりをしたため非常に見やすく、また内容を記憶しやすくなったと感じています。

コーネル式ノート術においては、講義中のメモをもとにして疑問点や自分の意見も一緒に書き込んでいったところ、1週間経っても鮮明に、講義内容を思い出すことができました。

とはいえSummaryでは、すでに述べたようにできるだけ短くまとめることを目標としているため、あまり多くの内容を書けずにわかりづらくなってしまう場合があります。その点、京大式カードでは図も入れて、よりパッと見てわかりやすくまとめられました。それぞれの勉強法の特徴を活かして学んだ内容をまとめるようにすると、頭のなかを常に整理されている状態にできるはずです。

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「コーネル式ノート術」と「京大式カード」組み合わせてみると、高い学習効果が得られることがわかりました。みなさんも日米トップ大学の力を借りて、普段の学習をさらに効率化してみませんか?

(参考)
Cornell University Learning Strategies Center|The Cornell Note Taking System
梅棹忠夫 (1969; 2020), 『知的生産の技術』, 岩波新書.
Gakken|コーネルメソッドシリーズ
ITmediaエンタープライズ|元祖ライフハック! 梅棹忠夫の京大カードは現代でも通じるか

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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