勉強や仕事などで、ノートを使う機会は多々あることでしょう。参考書の重要ポイントをまとめる、アイデアを書き留める、メモ代わりにする、など。でも、ノートの上手な使い方がわからず、ただ “罫線に沿って書いていく” という人も多いのではないでしょうか。
特に不便や不満を感じていないのならば、それでもいいでしょう。でも、“ノートの使い方がうまい人” の例を知れば、「あ、こうすればもっと勉強や仕事が捗る!」という新たな発見を得られるかもしれませんよ。
今回は、参考になりそうな、一流たちのノート術をご紹介していきます。
1. 東大生のノートは「汚い」けれど「秩序」がある!?
日本の最高学府である東大生たちはノートをどう取っているのか、ちょっと気になりますよね。字がとてもきれい? まるで教科書のように情報が整然と並んでいる? しかし、東京大学文科一類を経て弁護士となった鬼頭政人氏は、次のように述べています。
正直、私は東大生で美しいノートにこだわっている人を見たことがありません。私が中学高校を過ごした開成でも、ノートが汚い人は非常に多かったです。
(引用元:幻冬舎plus|いくらノートをきれいにとっても東大には合格できない ※太字は筆者が施した)
重要なのは「自分が理解しやすいかどうか」。他人から見て美しくきれいなノートをつくることに時間と労力を割くのは無駄だと、彼らは理解しているのかもしれません。
とはいえ、「ノートは汚く書こう!」では解決になりません。そもそも、彼らのノートが汚いのは、なにも手を抜いているからというわけではないようですよ。
偏差値35から東大合格を果たし、『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』がベストセラーとなった、現役東大生の西岡壱誠氏は、東大生のノートの特徴として「矢印が多い」ことを挙げています。
「Aという思想↔︎Bという思想」と対立関係を表したり、「Cという王様→Dという王様」と派生・類似性を表したり、様々なところでノートに多くの矢印を使っているのです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「東大生のノートは美しい」はウソ!? 「矢印を活用する」東大式ノート術とは?)
わかりにくかったり難しかったり、補足すべきところに下線を引いて、矢印(←)を引いて補足情報を書き足しているのです。
(引用元:同上)
要素どうしの関係を視覚的に表現して、あとでノートを見返したときに理解しやすくする。「最初にノートをとったときに、自分はこの部分で引っかかった」と、復習時に自分自身にリマインドさせる。矢印を使うことには、こういった効果があるのですね。
一見するとごちゃごちゃしているかもしれませんが、「“自分にとって”理解しやすいノート」という本質から、東大生たちは決して外れてはいないのです。
2. 文具メーカー「コクヨ」社員のノートは付箋だらけ!?
キャンパスノートなど、誰もが一度は使ったことのある文房具を扱う「コクヨ」。ノートの使い方というのならば、そのノートをつくり販売しているコクヨの社員たちが、どのようにノートを使っているのか、気になりますよね。
どうやら、アイデアを出したり整理したりするときには、「付箋」を効果的に使っているようですよ。
アイデアを並べ替えたり、思考をグルーピングしたりする作業が発生しそうなときには、付箋を使います。作業が進んでいく中で、大項目、中項目、小項目などに分かれてきた場合には、項目ごとに色を変えて、色で階層(レベル)が目に見えるようにします。
(引用元:東洋経済オンライン|「付箋+ノート」で仕事がいっきに速くなる ※太字は筆者が施した)
付箋がいいのは、ボツになったアイデアや余計だと感じた情報について、付箋をはがしてページから簡単に取り除けるところ。また、「重要度が高い順に」「より良いアイデアだと思う順に」など、自由に並べ替えられるのも大きなメリットでしょう。あるいは、アイデアをいったん整理したい際に、「Aに関連する要素」「Bに関連する要素」といったかたちでグルーピングすることもできますね。
頭の中で考えるだけではなかなか難しい「可視化」が、付箋を使うことで一気にやりやすくなるのです。情報整理にはもってこいですね!
3. 元グーグルの敏腕経営者はアナログ派だった!?
パソコンやスマートフォンが当たり前になった今の時代。特に仕事の際、そもそも紙のノートは使わず、すべてをデジタルデバイスで済ませている人もいるかもしれませんね。
しかし、それでも紙のノートにこだわり続ける一流も決して少なくはないようです。元グーグル社員であり、現在は経営者として活躍するピョートル・フェリークス・グジバチ氏もそのひとり。
「この場合は手書きにしよう」「ここはパソコンで」というこだわりは特にないのですが、人と話をしているとき、情報をメモするときは、手書きが多いです。
そして、その情報を振り返ったり、アイデア出しをしたりする場合も、基本は手書きです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|元グーグル社員のノートはなぜ「汚い」のか)
グジバチ氏は、「『紙に書いている』という感触によって直感が働く」と述べています。たしかに、パソコンの画面の前でうんうん唸るよりも、脳内で思い浮かんだ取り留めもないことをノートに手書きしていったほうが、思考が整理されるような気がしますよね。
実際、プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校による共同研究(2014年)では、手書きでノートやメモをとると、聞いた内容をまとめたり図示したりする必要があるため脳が活性化される、ということがわかっています。
じつは、何度もアップルストアへ行って「iPadで、手書きと同じ感覚でやれるんじゃないか」とトライしてみたんですが、結局、諦めました。画面をなぞるのと、紙に書くのとでは違うんですよね。
(引用元:同上)
手書きのノート習慣がある人は、まずそれだけで得をしているのかもしれませんね。
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ノートは、自分の記憶や思考を補完するために大切なもの。使い方にひと工夫を加えて、勉強や仕事をもっと捗らせられるといいですね。
(参考)
幻冬舎plus|いくらノートをきれいにとっても東大には合格できない
ダイヤモンド・オンライン|「東大生のノートは美しい」はウソ!? 「矢印を活用する」東大式ノート術とは?
東洋経済オンライン|「付箋+ノート」で仕事がいっきに速くなる
ダイヤモンド・オンライン|元グーグル社員のノートはなぜ「汚い」のか
【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。