仕事における英語でのプレゼンテーションについて、このようにお悩みではありませんか?
「日本語でなら問題なくプレゼンできるのに、英語だと途端にできなくなる」
「英語で説得力のあるプレゼンができるようになりたい」
「海外にあるヘッドオフィスに向けてのプレゼンで、なかなかインパクトが残せない」
英語プレゼンテーションは、多くの方にとって高い壁。この壁を越える方法のひとつが、発音のトレーニングです。
今回の記事では、英語でのプレゼンテーションにおいてどのような発音スキルが必要なのか、実際の例をもとに解説します。効果的な発音練習の方法についてもお伝えしましょう。
【この記事はこんな方におすすめ】
- 英語研修を通して、社員にプレゼンテーションができるようになってもらいたい企業の担当者さま
- 英語でのプレゼンテーションに必要な発音スキルについて知りたい方
- 英語でのプレゼンテーションを上達させるための、効果的な学習方法や英語研修について知りたい方
はじめに、多くの日本人が目指すべき英語プレゼンテーションについて、2本の映像をもとに解説します。
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。
- 日本人が目指すべき英語プレゼンテーションとは?
- 豊田氏の英語はなぜ伝わるのか? じつは「ネイティブレベルの発音は不要」
- 英語プレゼンテーションに必要な発音スキルの練習法
- プレゼンテーションスキル強化のための英語研修の選び方
日本人が目指すべき英語プレゼンテーションとは?
今回の記事で注目したいのは、プレゼンテーションに必要な発音スキルです。
プレゼンテーションには、説得力のある構成やスライドの作成も不可欠ですが、その具体的なノウハウについて解説した記事がすでに多く存在します。そうした記事から学び、スキルを身につけているビジネスパーソンもいることでしょう。そこで、この記事では英語の発音スキルそのものに絞ってお伝えすることにしたのです。
ではまず、こちらの動画をご覧ください。
この動画は、Vertical Farming(垂直農業)の技術を使い、ニューヨークでイチゴの栽培をしている企業の古賀大貴氏によるプレゼンテーションです。
英語は流暢で、説得力もあり、まさにみなさんがイメージされる英語でのプレゼンテーションではないでしょうか? ネイティブレベルの英語力を駆使して、説得力に満ちたプレゼンテーションを行なっていますね。
続いて、こちらの動画をご覧ください。
この動画は、トヨタ自動車の代表取締役会長である豊田章男氏が、母校のバブソン大学の卒業式で行なったスピーチです。
豊田氏は留学経験こそあるものの、発音はネイティブレベルには及びません。部分的にカタカナ発音のように話されている単語もあります。それでも、豊田氏のスピーチは英語として聞きとりやすく、伝わりやすいものとなっています。
日本人のなかには、先に挙げた古賀氏や、それこそスティーブ・ジョブズ氏のようなプレゼンテーションに憧れ、それを理想としている方が多いと思います。ですが、必ずしもネイティブレベルに達していなくても、豊田氏のように聴衆を惹きつけ、ときにユーモアを交えた、すばらしいスピーチをすることは可能。
そんな豊田氏のプレゼンテーションこそ、第二言語として英語を使う私たち日本人が目指すべき、英語でのプレゼンテーションの姿です。
こう聞いて、「古賀氏のようなプレゼンはできそうもないけれど、豊田氏のプレゼンであれば少しは近づけるかも?」と安心した方も多いかもしれませんね。
では、豊田氏のプレゼンテーションはなぜ伝わりやすく、聴衆を巻きこめるのか、次のセクションで詳しく見ていきましょう。
豊田氏の英語はなぜ伝わるのか? じつは「ネイティブレベルの発音は不要」
豊田氏の英語がなぜ伝わりやすいのか、発音スキルの観点から分析していきましょう。じつは、ネイティブレベルの発音を目指さずとも、伝わりやすく話すことが可能なのです。
1. 単語のアクセントを意識して発音している
動画をもう一度ご覧いただければわかるとおり、豊田氏は単語のアクセントをしっかりと意識して発音しています。アクセントとは、単語の音節のなかで強く発音する部分です。
多くの日本人は、このアクセントを強く発音することが苦手。日本人の英語が伝わりにくい要因のひとつとして、このアクセント部分をしっかりと発音しないことが挙げられます。
英単語の学習をする際は、ぜひアクセントの位置を確認しながら、少し大げさなぐらいその部分を意識して発音してみましょう。それだけで伝わりやすい英語になります。
2. 子音部分を丁寧に発音している
また、豊田氏は子音を丁寧に発音しています。
英語には5つの主要な母音文字(A, E, I, O, U)があり、子音はそれ以外の音のこと。子音は、アメリカ英語でも、イギリス英語でも、オーストラリア英語でも、ほぼ同じように発音されます。
たとえば、このスピーチが行なわれているBabson大学の ”Babson” という発音に注目しましょう。
英語のBの音は、次の2ステップで発音します。
- 口を閉じ、上唇と下唇をやや力を入れて合わせる
- 声帯を振動させながら肺からの息を口に送り込み、勢いよく唇を離しながら「あ!」と言う
実際にご自身で声に出し、この方法でBabsonと発音したときと、日本語で「バブソン」と発音したときの違いを比べてみてください。正しく子音を発音することで、より英語らしい発音になることが実感できるかと思います。
3. 英語のリズムを意識しながら話している
豊田氏のプレゼンテーションが、個々の単語の発音はネイティブレベルでないのに英語らしく聞こえるのは、英語のリズムで発話しているから。この点も見逃せません。
世界の言語は、大きくふたつのグループに分けることができると言われています。
- 音節リズム言語(日本語・フランス語)
音節をだいたい同じような強さ、長さで発音する - ストレス・リズム言語(英語・ドイツ語)
音節の種類によって、「高く・長く・はっきりと発音する」ものと「低く、短く、あいまいに」発音するものを変える
「私は焼き肉が食べたいです」と言うとき、日本人は「わたしはやきにくがたべたいです」と、すべて同じような強さ・長さで読みますね。一方、日本語を少しだけ話せる英語ネイティブが言うと、「わたーしはやきにーくがたべたーいです」となります。これは、音節の種類によって発音する高さ・長さを変えるという、英語の影響を強く受けているからです。
豊田氏のスピーチをもう一度見てみてください。豊田氏は、音節を日本語のように同じ強さ・長さでは話していないことがわかるかと思います。
以上、3つの点から豊田氏の英語が伝わりやすい理由を分析しました。それをふまえて次のセクションでは、英語でのプレゼンテーションに役立つ、発音の練習方法をお伝えしましょう。
英語プレゼンテーションに必要な発音スキルの練習法
1. 単語はアクセントの位置を確認して発音する
英語学習において単語を覚える際に、アクセントの位置を確認しましょう。正しい位置にアクセントを入れて発音することで、相手に確実に聞き取ってもらえるようになります。
プレゼンテーションの最終仕上げでは、個々の単語のアクセント位置に気をつけながらリハーサルしましょう。
2. 24の子音の発音をマスターする
子音を丁寧に発音できるようになるよう、子音の発音をマスターしましょう。英語には24の子音があります。
先述のとおり、どの種類の英語でも子音の発音はほぼ共通しています。子音をマスターしておけば、世界中の英語話者に理解されやすい英語のプレゼンテーションができるようになるでしょう。
「sとsh」、「thとz」、「lとr」、「bとv」など、日本人にとっては違いがわかりにくい子音も多いものです。子音の発音トレーニング法について、詳しくはこちらの記事で解説しています。ぜひご覧になってみてください。
>>英語の発音が上達するトレーニングとおすすめのアプリ
3. 文のリズムをまねしながら音読練習する
単語のアクセント、子音の発音がある程度できるようになったら、英語のリズムで音読できるようにしていきましょう。
必ずネイティブ音声が付属している教材を使用し、「高く・長く・はっきりと発音する」部分と「低く、短く、あいまいに発音する」部分を意識して、音読練習をしてみてください。
プレゼンテーションの準備では、ネイティブスピーカーにリズムをチェックしてもらうほか、「Natural Reader」のように原稿を英語で読み上げてくれるサイトで確認してみるのもよいでしょう。
また、発音やリズムについてより詳しく学びたい方には、こちらの書籍がおすすめです。
>>『発音の教科書―日本語ネイティブが苦手な英語の音とリズムの作り方がいちばんよくわかる』(靜 哲人著、テイエス企画)
それでは続いて、英語でのプレゼンテーションスキルを上げるための英語研修について話を移しましょう。
プレゼンテーションスキル強化のための英語研修の選び方
総合的に英語力を上げられる英語研修を探す
あくまで、プレゼンテーションは、英語で業務を進めるうえでの一部にすぎません。そのため、プレゼンテーションスキルや発音スキルだけに特化した英語研修プログラムを選定するより、その部分も含めて総合的に英語力を上げられるサービスを選定するほうが、投資対効果が高くなります。
研修を受ける人の英語力がもともと高く、ピンポイントで発音だけが課題である場合は、発音スキルに特化した研修でもいいかもしれません。ですが、英語研修を受ける多くの方は、発音だけではなくほかの英語スキルにも課題を抱えている可能性が高いもの。研修を受ける社員の英語力を見極めたうえで、研修プログラムを選定しましょう。
専門知識が豊富な事業者を選定する
発音スキルに特化して研修を行ないたい場合は、英語音声学の専門知識が豊富な講師が、理論的に教えてくれる研修プログラムを選ぶとよいでしょう。
たとえば、口や舌の動きを具体的に明示しながら教えてくれる英語研修事業者がおすすめです。
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この記事では、古賀大貴氏と豊田章男氏のプレゼンテーションを例に挙げ、伝わりやすい英語プレゼンテーションを行なうための方法をご紹介しました。
日本人が英語でプレゼンテーションを行なう場合、ネイティブレベルの発音ができなくても、プレゼンテーションを成功させることは可能です。
以下の点に気をつけて、ぜひみなさんもプレゼンテーション力を向上させましょう。
【英語でのプレゼンテーションにおける「発音」の重要ポイント】
- 単語のアクセント:
単語のアクセントを意識することで、英語の伝わりやすさが向上します。 - 子音の発音:
24の子音の正しい発音をマスターすることで、よりクリアな英語が話せます。 - 英語のリズム:
英語固有のリズムを意識しながら話すことで、自然な英語の流れをつくり出せます。
英語によるプレゼンテーションスキルを強化するためには、発音の精度だけでなく、全体的な英語力の向上ももちろん重要です。今回の記事を参考に、社員の英語力に即した研修を実施してくださいね。