プレゼン成功にユーモアは不要!? 本当に大切な「6つの基本法則」教えます。

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多くのビジネスパーソンは、優れたプレゼンテーションといえば「TEDトーク」を思い出すのではないでしょうか。Amazon.com のジェフ・ベゾス氏や、元米大統領のビル・クリントン氏などもスピーカーとして名を連ねた、世界的に有名なイベントです。

そして、TEDトークの魅力的な特徴として上位に挙げられるのが、“ユーモアとウィットに富んだ喋り”といえるでしょう。『TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則(2014)』の著者であるカーマイン・ガロ氏も、「ユーモアが警戒心を和らげ、好感度を上げる」と伝えています。

しかし、新しい研究によれば、ユーモアの恩恵には男女差があるようです。その内容と、ジェンダーレスで優れたプレゼンテーションについて探ります。

人は自分が抱く期待に従って他人を解釈する

ジェンダーレスが叫ばれる昨今においても、性別によるステレオタイプ(先入観)は色濃く残っています。たとえば、男性は仕事に対して高い目標や野心があり、女性は家庭での責任が大きいため両立が難しく、仕事への野心があまり強くない、というもの。

ユーモアにも「仕事を円滑にする機能」という解釈と、「仕事を軽んじる混乱」という2種類の解釈があるのだとか。

リーダーシップと印象管理を研究するジョナサン・エバンズ(Jonathan Evans)氏や、非倫理的行動などを研究するジェレル・スローター(Jerel Slaughter)氏らによれば、男性のステレオタイプには「正のユーモア解釈」が合致し、女性のステレオタイプには「負のユーモア解釈」が合致するとのこと。

その理由は、「人:A」が「他人:B」の行動を解釈するとき、「A」が「B」に対して抱く期待(こうあるべき)に従って解釈する傾向があるからです。先行研究で明らかになっているとのこと。

そうしたことから同氏らは、たとえばプレゼンで男性と女性が同じようなユーモアを用いたとしても、異なる解釈をされてしまうのではないか? と予想したのだとか。

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女性が仕事でユーモアを用いるとダメージに?

エバンズ氏らは新しい研究のため、アメリカ国内のさまざまな業界で働く300人以上の参加者を募集したそう。そして、男性と女性の俳優2人に、ユーモアを交えたバージョン、交えないバージョンのプレゼンシーンを演じてもらい、それらを録画し、参加者に見てもらったのだとか。

その結果、男性の俳優がプレゼンでユーモアを交えた場合、地位や能力、リーダーシップの素質といった、参加者からの評価が高くなったそうです。それは、ユーモアがない場合を上回っていたとのこと。緊張する場面でうまく冗談を言う姿に、ビジネスパーソンとしての余裕を感じたのかもしれません。

しかし、女性の場合はプレゼンの合間にユーモアを入れると、いずれの評価も下がってしまったのだとか。

参加者のコメントにも、その差が大いに表れています。ユーモアを交えた男性のプレゼンを見た参加者は「堅苦しく見えないようにしている」とユーモアの効果的な使用を評価し、ユーモアで単調さを回避したと褒めています。

一方で、ユーモアを交えた女性のプレゼンを見た参加者は、ジョークの質を貶し、「商才のなさをごまかそうとしている」とまで述べたそう。

つまり、エバンズ氏らの研究は、女性がプレゼンでユーモアを用いるとダメージを受ける可能性を示し、ビジネスシーンにおけるユーモアは、性別により異なる解釈をされてしまうと示唆したわけです(『Applied Psychology』にて2019年2月7日に発表)。

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プレゼンの成功に欠かせない基本要素

とはいえ、強いリーダーシップを発揮してバリバリ働く女性、明らかに誰よりも仕事に情熱を傾けている女性であれば、そうした否定的な見方はされないはず。前出の研究による結果は、第一印象や最初の反応についてだけ言えることだと、エバンズ氏らも説明しています。

しかし、ユーモアの恩恵が誰にでも及ぶわけではないと示唆された以上、「プレゼンには気の利いたジョークを」と、マニュアル的に捉えないほうがいいでしょう。

『アイデアのちから(2008)』を著したスタンフォード大学ビジネススクール教授のハース・チップ氏と、オンライン教育大手Thinkwellの共同創設者であるハース・ダン氏らは、一度聞いたら決して忘れない、人を行動に駆り立てるようなメッセージとして、以下6つの法則を挙げています。

1.シンプルである:Simple
2.意外性がある:Unexpected
3.具体性がある:Concrete
4.信頼性がある:Credible
5.感情に訴える:Emotional
6.ストーリー性がある:Story

これらの頭文字をつなげるとSUCCES、それに小さなsを付け、サクセス(SUCCESs)の法則と著者らは呼ぶのだそう。

このなかには、ユーモアの「ユ」の字も出てきませんが、『TED世界を魅了するプレゼンの極意(2014)』を著したアカッシュ・カリア氏は、この6つの法則を、プレゼンの成功に欠かせない6つの基本要素として紹介しています。

必ずしも「プレゼンにはユーモアを加えなければいけない」ということはないのです。

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プレゼンは冒頭が大事である

プレゼンコーチの専門家としても知られるアカッシュ・カリア氏は、人気上位にランクインした200ものTEDトークを徹底分析し、優れたプレゼンのテクニックとして「強力なフレーズ」「説得力のある締め」「サプライズ」「個性」「たとえや比喩」といったことを示しています。

そして、特に重要なのは「冒頭から聞き手の心をわしづかみにするような工夫」なのだとか。ちなみに、優れた人気TEDトークの冒頭パターンは次のとおり。カッコ内は効果です。

1.物語から始める(関心・共感→記憶に残る)
2.疑問や質問から始める(聞き手を触発する)
3.引用から始める(伝えたいことを強調できる)
4.ショッキングな言葉で始める(関心を引き出す)
5.聞き手の経験を呼び起こさせる(印象が強まる)

また、意外にもカリア氏は、ジョークからプレゼンを始めるのはあまりよくないと述べています。安易なジョークでは聞き手に感心してもらえないし、むしろジョークのせいで、聞き手の関心がそれてしまうことがあるから、とのこと。

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ジェンダーレスで優れたプレゼンとは?

以上を踏まえ、ジェンダーレスで優れたプレゼンテーションをまとめましょう。たとえば以下サービスについてプレゼンテーションを行う場合です。

―――「材料を定期購入することで、簡単ホームベーカリーを無料で使える、高齢者向けのサービス」―――(※架空のサービスです)

ジェンダーレスで優れたプレゼンのコツ1:心に残るスタート

【ポイント】:問いかけるもよし、「わたしはパンが大嫌いでした」などショッキングな始まりからでもよし、つい感情移入してしまうような物語から始めるのもよし。とにかく、聞き手の心に残るような始まりにしましょう。関心や、親しみやすさが生まれます。

【プレゼン例】:「わたしの母は、お米好きなのでパンには目もくれませんでしたが、ある日焼き立てのパンをプレゼントしたらとても喜んでくれました。それからというもの、焼き立てのパンを求めて毎朝、散歩を兼ねてパン屋さんを訪れるようになったのです。

ところが最近、すっかり足腰が弱ってしまい、それができなくなってしまいました。残念そうな母を見かねて、この簡単ホームベーカリーのサービスを思いついたのです」

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ジェンダーレスで優れたプレゼンのコツ2:単純明快で具体的

【ポイント】:具体的な内容を、テンポよくシンプルに伝えましょう。覚えようとしなくても、スッと頭に入るように説明します。

【プレゼン例】:「簡単ホームベーカリーでは、週に一度、1週間分の材料をお届けしています。ベーカリーの使用料金は0円。かかるのは材料費のみ。とってもお値ごろです。

作り方も簡単。材料をホームベーカリーに入れ、ボタンを押すだけ。機械操作が苦手な方も安心してお使いできるよう、音声サポートもついています」

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ジェンダーレスで優れたプレゼンのコツ3:意外性と安心感

【ポイント】:聞き手を引きつける意外な特徴をアピールします。ただし、意外性には、必ず安心感もくっつけましょう。それが信頼につながります。

【プレゼン例】:「実はこのホームベーカリー、1日以上操作の形跡がない場合、登録のお電話番号にショートメールが届くよう設定することもできます。また、材料を配達する際にお留守だった場合にも、ご連絡するといった契約コースもございますので、高齢のご両親と離れて暮らす方にも安心です。

もちろん、ベーカリーは定期的にメンテナンスし、不具合をチェックいたします」

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ジェンダーレスで優れたプレゼンのコツ4:真摯な態度

【ポイント】:ユーモアの場合は評価が分かれるかもしれませんが、真摯な態度はジェンダーレスです。誠実でひたむきな人に対し、多くの人は味方になろうとするでしょう。

【プレゼン例】:「自信をもってご紹介させていただいた簡単ホームベーカリーですが、これからも、より使い勝手のいい、より美味しい、よりよいサービスになるよう、皆さまにご指導いただけたらとても嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします!」

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プレゼンにおける新しい研究と、ジェンダーレスで優れたプレゼンのコツを紹介しました。ある研究では、平等を重んじる人が偏見について学ぶと、偏見に流されにくくなると示されたそうです。ジェンダーレスの時代には、偏見についても学ぶことが必要かもしれませんね。

(参考)
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|HBR.ORG翻訳リーダーシップ記事|女性発表者によるプレゼン中の冗談は評価を下げる 
SBCr Online|プレゼンの9割は冒頭で決まる!「TEDトーク」に学ぶプレゼンの極意 
PsycNET|Gender and the evaluation of humor at work. 
チップ・ハース著,ダン・ハース 著,飯岡美紀訳(2008),『アイデアのちから』,日経BP社.
アカッシュ・カリア著,月沢李歌子訳(2014),『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』,SBクリエイティブ.

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