身近にひそむ “心と脳がやられる” 3つの最悪習慣。

心と脳がやられる最悪の習慣1

普段、なにげなく行なっている行動が、じつは心と脳に悪影響を及ぼしている可能性があります。たとえば、人間関係で嫌なことがあっても無理に我慢したり、べつの作業をしながら並行してメールチェックしたり……。そしてそれらは、たとえ小さなものであったとしても、蓄積していくことで大きなストレスとなりえるのです

そこで今回は、そんな悪い習慣を改善する方法をご紹介します。「たしかに自分もやっていた……」という人は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 「人間関係の我慢」は “7~3のバランス” で道を探す

上司や同僚のささいな言動に対して、無意識に我慢してしまうことは、あなたのメンタルを弱らせてしまう最悪な習慣のひとつです。

きっと多くの人が、心の中では「我慢はよくない」と思っているはず。しかし、上司に嫌なことを言われたり、会社に不満を持っていたりしながらも、自分をごまかして毎日を過ごしている人は少なくないのではありませんか?

そして、特に人間関係においての「我慢」は、メンタル面において大きなデメリットになります。

心理カウンセラーの下園壮太氏は、人間関係で我慢をしてストレスを抱えると、「あの人から離れたい」「会社から離れたい」といった欲求が自然と生まれてしまうと語っています。これらの感情は、自分の身に危険が迫っていることを知らせてくれるシグナル。欲求を通して、心が危険を知らせてくれているそうです。

そして、こういった「あの人から離れたい」などの欲求にフタをし続けると、自己肯定感にも影響が及びます。なぜならば、「人間関係から逃げるのは社会人としてよくない」などと、自分を否定する考えも出てきてしまうからです。

そうならないためにも、下園氏は我慢を強いるストレス源から“離れる”ことを推奨しています。しかし、これはなにも「会社を辞める」といった極端な行動をするわけではありません。

下園氏は、折衷案となる「7〜3のバランス」が大切と語っています。つまり、「ひたすら我慢をする」が10で、「会社を辞める」が0だとしたら、その間にあるほかの行動を試すということです。具体的には、「先輩に相談をする」「部署異動を希望する」など。

また、会社を休んでエネルギーを充電することも効果的であると、下園氏は述べています。我慢しないといけない対象から物理的に離れて、ゲームで遊ぶなどして、ほかの世界に没入することも、英気を養うには有効とのことです。

心と脳がやられる最悪の習慣2

2. 「マルチタスク」は絶対にシングル・タスキングに変える

メールを作成しながら電話で会話するといった、複数のことを同時に行なう「マルチタスク」も、自然とあなたの脳を疲れさせてしまう原因のひとつ。仕事だけではなくて、家でスマートフォンを操作しながらテレビを視聴するといった、ついつい誰もが無意識に行なってしまうことも、脳にはあまりよくありません。

というのも、自分では複数のタスクを同時に行なっているつもりでも、別の作業に移るたび、脳は注意を向けるべきタスクのほうへ集中を切り替えているからです。これは「スイッチ・タスキング」と呼ばれます。脳は、複数の情報を同時に処理ができない代わりに、スイッチ・タスキングを繰り返しているだけなのです。

ミシガン大学の心理学教授の研究によると、マルチタスクをする人たちは、タスクをひとつずつこなすグループよりも、生産性が40%も低いのだそう。マルチタスクは、あなたが感じている以上に、脳に大きな負担をかけているのです。

資料を作成しているときでもついついメールボックスをのぞいてしまうような人は、今後はマルチ・タスキングの反対の意味であるシングル・タスキングになるように、日々の行動を見直してみてはいかがでしょうか。メールを受信するたびに開いていたメールボックスを、あらかじめ決めておいた時間だけ開くようにするだけでも、スイッチ・タスキングの回数が減って生産性が上がることでしょう。

机の上を整理・整頓して、ほかのものに注意が向かないようにするのもおすすめです。かさばりやすい書類などは、優先順位別に引き出しにしまっておき、「終わったら次、終わったら次」と進めていきましょう。

もちろん、やり方はいろいろあるはず。自分なりの方法を見つけてみてください。

心と脳がやられる最悪の習慣3

3.「決断のしすぎ」は断捨離で解消

人は1日に約9,000回ほど何かの決断を下しているといわれています。この「決断」も、あなたの脳を疲れさせてしまう原因のひとつです。決断による疲労は「決断疲れ」とも呼ばれ、マーケティングの世界でも活用されることがあるほど。

スタンフォード大学経営大学院准教授のジョナサン・レバーブ氏は、2007年に発表した論文で、人は選択肢が多いほど決断する気力がなくなっていくことを示しました。

この実験は、新車の購入を検討している顧客750人を対象に実施したもの。「新車の購入時に、カスタムオーダーとして、以下のメニューを選んでもらう」というシンプルな実験でした。カスタムオーダーできる項目は、次の8つです。

  • 56種類の内装色
  • 26種類の外装色
  • 25種類のエンジンとギアボックスの組み合わせ
  • 13種類のホイールリムとタイヤの組み合わせ
  • 10種類のハンドル
  • 6種類のバックミラー
  • 4種類の内装スタイル
  • 4種類の変速ノブ

どの項目を先に検討するかによって、決断の負担は大きく異なりました。56種類の内装色からカスタムオーダーしていく顧客に対して、4種類の変速ノブから選びはじめた顧客のほうが、自分で決断をして選ぶ項目が多い傾向にあったのです。

一見、選択肢が多いことは、自由度が高くていいように思えます。しかし、選択肢が増えれば増えるほど、脳は疲れてしまうのです。

ほんのささいな選択でも、積もりに積もれば、あなたの脳を酷使することになり、脳がクリアでなくなってしまいます。余計な決断をなくすためにも、日常で使っているものや行なっていることを、ミニマムにしてみてはいかがでしょうか? 

選択肢を絞るための工夫としては、断捨離がおすすめです。本を読むのが好きな人は、本当に好きな本だけ残して、あとは古本屋に売りに行くのもいいかもしれません。本棚がスッキリして、迷いがなくなり、きっと本に手を伸ばしやすくなることでしょう。

衣装ケースの服を、必要最低限に減らすというのも有効です。スティーブ・ジョブズ氏のように、黒のタートルネックにジーンズという格好を自身の制服として定番化するのもいいかもしれません。毎日スーツを着る場合は、「ワイシャツは白のものだけ」にしてしまうことも、ひとつのアイディアですね。

***
なにげなく行なっている行動で、気づかないうちに、自分自身の心と脳を疲れさせている可能性があります。今回ご紹介した「人間関係の我慢」や「マルチタスク」「決断」などは、日常生活で無意識にやっていることでもあるので、案外気づかないものなのかもしれません。

一度、普段の行ないを振り返ってみて、改善できるところから見直してみましょう。

(参考)
STUDY HACKER|職場で我慢しすぎると3倍も疲れる。イライラを解放するお手軽な方法
Dybe!|「忘れたら楽になる」は間違い。対人ストレスを解消する方法を”予約の取れない”カウンセラーに聞いた
Very Well Mind|How Multitasking Affects Productivity and Brain Health
Psychology Today|The True Cost Of Multi-Tasking
NIKKEI STYLE|衝動買いも予算オーバーも 「決断疲れ」が原因?

【ライタープロフィール】
森下智彬
大学卒業後、国内外の農業に従事。帰国後はITインフラエンジニアとして都内の企業に勤める。仕事の傍ら、自身のブログを開設・運営を始める。現在は、自身のブログ運営とライターの業務をメインに行っている。

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