「休日だらだら」はもったいなさすぎる。週末だけで世界一周した男がすすめる『最高の休み方』

リーマントラベラー東松寛文さんがすすめる「最高の休み方」01

ずっとやってみたいと思っていることがあるのに、なかなか行動に移せない――。多忙な毎日を送るビジネスパーソンにありがちなことといえるでしょう。では、どうすれば限られた休日を有効に使うことができるのでしょうか。

お話を聞いたのは「リーマントラベラー」の東松寛文(とうまつ・ひろふみ)さん。東松さんは、普段は大手広告代理店でバリバリ働きながら、週末を使って年に何度も海外旅行をするというスーパービジネスパーソンです。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「休んでいい」ではなく「休んだほうがいい」という意識を持つ

平日は仕事に追われて疲れ切ってしまい、週末にはただだらだらと過ごしてしまう。そんな人も少なくないでしょう。体力を回復させることも大切ですし、仕方ないかもしれません。

ただ、僕からすればやっぱりすごくもったいないことに思えます。というのも、休日に仕事以外のなにかをすることには、自分はもちろん会社にとってもたくさんのメリットがあるからです。

いま、「今後はAIに仕事が奪われる」ということがよくいわれますよね。では、どんな仕事がAIに取って代わられるかというと、それは「誰でもできる仕事」です。

これまでは、誰でもできる仕事を誰もができるようになることで会社が続いていくという仕組みだったために、会社に所属する人間が「自分しかできない仕事」をつくるということはなかなかできませんでした。

でも、「人生100年時代」といわれる時代だということを考えれば、定年を迎えて60歳、70歳を過ぎても働き続けられなければなりません。そのときに大事になるのは、ちゃんと自分らしい、自分しかできない仕事を見つけておくことであるはずです。そして、いつそれを見つけるのかと考えれば、やはり時間を自由に使える休日こそが最高だといえます。

日常生活はどうしてもルーティンワークになりがちですし、「気づきを得よう」などと考えて仕事をすることは簡単ではありません。一方、休日に普段はやらないことをして非日常に身を置けば、それだけでさまざまな気づきを得ることができるはずです。それらの気づきのなかには「自分しかできない仕事」のためのヒントになることもあれば、いまの仕事のため、会社のために使えるものもあるでしょう。

そう考えると、ある意識が覆ります。会社や仕事に縛られている人は、休日に対して「休んでいい」という意識を持っているものです。でも、むしろ「休んだほうがいい」といえるのではないでしょうか

リーマントラベラー東松寛文さんがすすめる「最高の休み方」02

やりたいことの実現方法を考えることがスタート

では、どうしてもだらだらと過ごすだけの休日を送ってしまうという人に向けて、有意義な休日を過ごすためのアドバイスをいくつかしておきましょう。

ひとつは、当然かもしれませんが、自分の「やりたいこと」に注目するということ。誰しもに「いつかやってみたい」と思っていることや、他人がやっていることに対して「うらやましい」と思っていることがひとつやふたつはあるはずです。大切なのは、そこで「どうすればそれを実現できるのか」としっかり考えること

僕の場合は、2016年に達成した世界一周がやりたいことのひとつでした。でも、「会社を辞めてまでやりたいことか?」と自問すると、そうではなかった。そこで、会社を辞めずに世界一周を達成するための方法を考えたのです。

ふつう、世界一周というと、日本を発ってさまざまな外国を訪れながら地球を一周して日本に帰国することをイメージしますよね? でも、そうするためにはそれこそ長期休暇や会社を辞めることが必要になる。

そこで、僕は日本で働いている平日を「トランジット(乗り継ぎ)期間」だととらえたのです。そうして週末のたびに海外に行き、3カ月かけて5大陸18カ国を巡りました。人によってはこれを世界一周とはとらえないかもしれません。それでも、僕にとっては紛れもなく世界一周といえる旅なのです。

このように、まずはやりたいことの実現方法を考えること。それが、いい休日を送るためのスタートとなります。やりたくても無理だと思っていることでも、しっかり考えてやってみれば意外とできてしまうものなのです。

また、「週末」のとらえ方を変えることも大切です。なんとなくやりたいことがあっても行動に移さない人は、「時間が足りない」というふうに自分に対して言い訳をしがちです。でも、本当に時間は足りないのでしょうか?

週末というと、ふつうは「土曜日に起きて日曜日に寝るまで」だととらえます。寝ないでずっと起きていたとしても、48時間が上限です。

でも、僕は週末を「金曜日の定時から月曜日の始業まで」だととらえています。僕の場合、その時間は64時間。それだけの時間があれば、海外に行くこと、ほかのたいていのやりたいことをするにも十分だという気がしてきませんか?

リーマントラベラー東松寛文さんがすすめる「最高の休み方」03

旅からの帰りの機内は自分と向き合う時間にあてる

そして、有意義な休日の過ごし方としては、「リーマントラベラー」としてはやはりがいちばんのおすすめです

先にお伝えしたように、気づきを得るためには非日常に身を置くことが大切となります。それをもっとも手っ取り早くできるものが旅なのです。ひとりで知らない街をぶらぶらするだけでも、自分の心が動く瞬間は何度でも訪れます。それらが、今後の人生をどう歩むかと考えるためのヒントになるのです。

しかも、飛行機を使う旅にはさらなるメリットもあります。飛行機の機内というものは無機質でありたいていは静かです。しかも、最近ではWi-Fiを使うという選択肢もありますが、スマホは機内モードに設定しなければなりません。ですから、機内に入った途端に周囲から切り離されたように感じられ、機内こそ自分と向き合うために最適な空間だと思うのです。

じっくりと自分と向き合い、旅で得たものを振り返りながら、今後の生き方を考える――。僕は旅からの帰りの機内をそういう時間にあてています。そして、飛行機が着陸して機外に出た瞬間にまた自分を切り替えます。「トラベラーの時間は終わり、ここからはリーマンだ!」と。

リーマントラベラー東松寛文さんがすすめる「最高の休み方」04

【東松寛文さん ほかのインタビュー記事はこちら】
社畜寸前だった男が「週末だけで海外旅行」をはじめたら、生き方も働き方も大きく変わった話。
週末だけで海外旅行 “リーマントラベラー” 直伝! 魔法の「DDCAサイクル」で休みが圧倒的に取りやすくなる。

【プロフィール】
東松寛文(とうまつ・ひろふみ)
1987年10月24日生まれ、岐阜県出身。大手広告代理店に勤めるかたわら週末を使って世界中を旅する“リーマントラベラー”。週末だけで人生を変えた経験から、“休み方研究家”としても活動する。2010年、神戸大学経営学部を卒業し、大手広告代理店に入社。社会人3年目の2012年、アメリカ・ロサンゼルスに行き、「世界にはこんなに自分の人生を楽しんでいる人がいる」と感動し、旅の魅力に目覚める。以来、年間7、8回のペースで海外旅行を続ける。2016年、ブログ「リーマントラベラー 〜働きながら世界一周〜」を立ち上げ、“リーマントラベラー”として活動開始。同年10月〜12月には日本で働いている平日を「トランジット期間」ととらえ、毎週末を使って5大陸18カ国を巡り「働きながら世界一周」を達成。現在は広告代理店に勤めながら「週末海外旅行」を続ける他、メディア出演、講演等も精力的にこなしている。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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