あなたのアイデアが却下されるのは〇〇が原因? 覚えておくべき3大原則。

受け入れられるアイデア01

新しい企画や提案など、普段の仕事で何かしらのアイデアをお持ちの方も多いはず。しかし、どんなに良いアイデアを考案したとしても、他者から承諾されなければ元も子もありません。

今回は、アイデアが受け入れられやすくなる方法をお伝えします。

「驚きを与えること」が最優先になっていないか?

そもそも、アイデアが受け入れてもらえない原因とはなんでしょうか。コンサルタント業務を営む池田千恵氏によると、とあるメーカーに勤めるデザイナーの企画は、グラフィック・コンセプトともにすばらしいものばかりなのに、なぜか最終コンペで負けてしまうことが多かったのだそう。

いつもアイデアを受け入れてもらえないというデザイナーの資料を池田氏が見たところ、クライアント側に衝撃や驚きを伝えることが最優先になっていたといいます。クライアント側の悩みや、デザインの背景など、打ち合わせ時に練っていたプロセスがほとんど取り入れられてなかったのです。

「驚きを与えたい」という気持ちを優先させてしまうのは表現に自信のあるデザイナーが陥りやすい傾向で、池田氏は「びっくり箱プレゼン」と名づけています。いくら斬新なアイデアを考案しても、相手に理解してもらえなければ意味はありません。そして、「びっくり箱プレゼン」は、デザイナーでなくとも多くの人に当てはまる事例だといえます。

例えば、あなたが新商品のスナック菓子の開発に携わることになり、「乾燥なまこをふんだんに使った珍味ポテトチップス」というアイデアを生んだとしましょう。たしかに「消費者に驚きを与えるアイデア」ではありますが、「“なまこ味” と聞いて買いたくなるか」「そもそも消費者の好む味か」「価格設定は適切か」といった他者や消費者の意見や要望を取り入れなければ実用化は難しいでしょう。

いくら素晴らしくても、独りよがりなアイデアは他人に受け入れてもらえないのです。では、アイデアを多くの人に受け入れてもらうにはどうしたらよいのでしょうか。3つのコツをお伝えします。

受け入れられるアイデア02

1. 「新しいことをやろう」としすぎてはいけない

NHKで数々のドラマを手がけたディレクターの吉田照幸氏が著した『発想をカタチにする技術』(日本実業出版社)によると、アイデアは「枠から外れる」ことが目的になってはいけないそうです。

仮にNHKでふざけた内容のバラエティ番組を放送したとして、民放の番組と似通ったものであったとすれば、視聴者にとって二番煎じにしかなりません。池田千恵氏の指摘と同様に、奇抜・斬新というだけではアイデアは受け入れられないのです。

吉田氏が『サラリーマンNEO』というドラマの企画を立てた際には、「NHKではやったことのない、NHKにしかできない番組」という一見矛盾したコンセプトを掲げたそうです。サラリーマンを主題とした内容、俳優を使ったコント仕立てという一般受けしづらい企画は、視聴率第一主義の民放では、ほぼ実現不可能といえます。

直感で「面白い!」と思ったものは、自然と枠から離れているはずなんです。繰り返しますが、今までやっていたことの殻とか枠を破ろうとしてはいけません。

(ITmediaエンタープライズ|新しいことをしたいなら、新しいことをやろうとしない

例えば、あなたが外食チェーン店の新事業形態を考案する際、競合店との差別化を図って「ゲテモノ料理専門レストラン」というアイデアを出したとします。一見、奇抜なアイデアのように思えますが、ゲテモノ料理を食べることのできる飲食店はすでに多々存在していますし、日本でゲテモノ料理専門のレストランが大流行するという可能性は低いでしょう。

しかし、既存店で使用している食材を流用し、「外国料理の技法を取り入れた日本料理」のような今までになかった新たなメニューの考案を行えば、実用的かつ低コストで新型の店舗が完成するかもしれません。無理して奇をてらうのではなく、現状を見据えて、外してはいけない事柄の中で新しいことを考えるのが大切なのです。

受け入れられるアイデア03

2. 同僚からの信頼を勝ち取る

アイデアを受け入れてもらうためには、受容の下地を作る必要があります。米ペンシルベニア大学のアダム・グラント教授が手がけた『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』(三笠書房)本では、あるCIA職員が意見をとなえて却下されたにもかかわらず、数年後に全く同じ内容の意見をとなえたら受理されたという例が紹介されています。

最初に意見を却下された原因は、部署に配属されたばかりだったために、まだ同僚からの信頼を得ていなかったことでした。数年間勤務して信頼を得たからこそ、職員の意見は採用されたのです。信頼している人の言葉は受け入れられやすいという現象は、心理学用語で単純接触効果(ザイオンス効果)と呼ばれています。

もし、あなたがすばらしいアイデアを提案したとしても、日頃のミスが多かったり、普段の勤務態度が悪かったり同僚から信頼されないような態度をとっていたら、他人はあなたのアイデアを素直に受け入れてくれない可能性が高いといえます。遅刻・欠勤は避ける、ミスを減らすよう尽力するといった基本的なことを積み重ねれば、次第に信頼されるようになり、アイデアが受け入れやすい下地が作られるでしょう。

受け入れられるアイデア04

3. エレベーター・スピーチを活用する

他人から共感してもらうことに成功すれば、アイデアが受け入れられる可能性は大幅に高まります。では、肝心のアイデアの内容を知ってもらうにはどのように伝えるのが効果的なのでしょうか。

最近話題の手法が、わずか30秒程度の短時間プレゼンテーションと同様の効果をもたらす「エレベーター・スピーチ」。アメリカの語学研究家デイビッド・セイン氏の著書『30秒英語プレゼン術 エレベーター・スピーチでビジネス英語のレベルが一気に上がる!』(アスコム)によると、エレベーター・スピーチとは、エレベーターの中などの閉鎖空間で相手側と2人きりになった際に、短時間で自分の気持ちを伝えるというもの。

エレベーター・スピーチを行う際、肝心なことは次の「3行の構成」です。

  1. 最初にひと言、相手が気にかけていることや知りたいことを提示する→相手を振り向かせる
  2. 自分が伝えたいことを具体的に提示する→相手に興味を抱かせる
  3. 終わりのひと言で相手に何をしてほしいのか具体的に伝える→相手をうなずかせる

例えば、あなたがアプリケーションの開発を考えているとしましょう。まずは上司に、開発予定のアプリケーションにどの程度の売上見込みがあるかという話から切り出せば、食いつく可能性は高いでしょうし、考案中のシステムなどの話を切り出せば興味を引けるでしょう。興味を引いたあとで、キャラクターデザインの発注を考えているイラストレーターのリストを見せるなど具体的な行動をとれば、相手は納得してくれるかもしれません。相手が持つ関心や興味を把握することがポイントです。

エレベーター・スピーチを行なううえで最も重要なのは「伝えたいことを簡潔に伝える」ことだそう。あなたが相手に提案したいアイデアがある場合、回りくどく説明するのではなく、自分が考えている企画や事業の概要を単刀直入に伝えればよいのです。

エレベーター以外にも、トイレ、残業時のオフィスなど、同僚や上司と2人きりになる機会はありますよね。エレベーター・テクニックの3行の構成を活用して相手の興味を引いた後にアイデアの話をするというのは、有効な手法ではないでしょうか。

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アイデアを受け入れてもらえないという方は、今回紹介した方法を実践してみてくださいね。

(参考)
NIKKEI STYLE|自信のあるアイデアをあなたがいつも却下される理由
吉田照幸(2013),『発想をカタチにする技術』, 日本実業出版社.
ITmediaエンタープライズ|新しいことをしたいなら、新しいことをやろうとしない
アダム・グラント(2016),『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』, 三笠書房.
デイビッド・セイン(2012),『30秒英語プレゼン術 エレベーター・スピーチでビジネス英語のレベルが一気に上がる! 』, アスコム.

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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