いまの仕事が面白いと感じているし、将来的な大きな目標もある。でも、なぜかなかなかやる気が出ない……。こんな経験をしている人も少なくないでしょう。こういう状態になると、いくら「やる気を出さなきゃ!」と思っても、なかなかモチベーションは上がりません。

やる気を出すためのアドバイスをくれたのは、心理カウンセラーの大嶋信頼(おおしま・のぶより)さん。そのものずばりの著書『「やる気が出ない」が一瞬で消える方法』(幻冬舎)が好評です。まずは、「やる気が出ない要因」から教えてもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹(ESS) 写真/石塚雅人

周囲に相談するとますますやる気が出なくなる

みなさんは「やる気が出ない要因」はどんなものだと思っているでしょうか。じつは、心の状態など内的なものよりも外的なものである場合が多いのです。

たとえば、「親切な人がまわりにいる」ということがそう。どういうことかというと、人に親切にされると、ある「発作」を起こす「GABRG2(ギャバーグ2)」という遺伝子を持っている人がかなりの割合でいるのです。その発作は、てんかん発作のように脳内で電気が過剰に流れることによって引き起こされるもので、この発作が起きるとやる気がまったく出なくなってしまいます

世話好きで尽くすタイプの女性が、「ダメンズ」と呼ばれるような男性と付き合うということがありますよね。それには、GABRG2遺伝子を持つ男性を、世話好きの女性がますます駄目にしているというケースもあるのです。彼女や奥さんがすごく優しいという男性は要注意かもしれません。

それから、やる気が出ないからといって同僚などまわりの人に相談するのも要注意です。そういう「弱み」を他人に見せることは、やる気を出すためにはじつはご法度の行為。なぜなら、そうすることで「嫉妬」が生まれるからです。

嫉妬とは、「自分より下の立ち場の人間が、自分より優れているものを持っている」と感じたときに生じる感情です。相談する、弱みを見せるということは、その相談相手より下の立ち場になるということですよね。ですが、もしあなた自身が相談相手より優れた能力を持っていたとしたら? そう、相談相手は嫉妬の感情を持って、あなたをつぶそうとするのです。

相談相手は、親身になってあなたにアドバイスをしているつもりかもしれません。でも、嫉妬は動物的な反応です。相談相手は、自分でも気づいていないうちにあなたに嫉妬してしまい、知らず知らずのうちにあなたのためにはならない言動をする。つまり、やる気が出ないことを周囲に相談すると、ますますやる気が出なくなるという悪循環にはまってしまうのです。

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自分の能力の高さを認めて状況を一変させる

親切な人がまわりにいては駄目だし、周囲に相談するとやる気が出ない悪循環にハマる。となると、やる気を出すには自己解決するしかありません

長くやる気が出ない状況に陥っている人は、周囲の嫉妬によってやる気が出ない悪循環にハマり、身動きできなくなっているという可能性が大きいのです。見方を変えれば、こういう人は、周囲に嫉妬されるほど高い能力を持っている可能性も大きいといえます。ただ、こういう人の多くは「自分には嫉妬されるようなものはなにもない」と考えがちです。でも、だからこそ自分を振り返って一生懸命に努力をする素質を持っているタイプでもある。本来なら能力がどんどん伸びるはずなのです。

一方、他人に嫉妬するタイプの人には、「優越の錯覚」という思い込みがある。本来の能力とは関係なく、「自分は平均より優れている」という思い込みです。そういう人は、「自分は嫉妬されてあたりまえ」だと思う。だから、まわりの嫉妬につぶされることがないのです。

やる気を出すためには、まずはなによりも「自分の能力が高いんだ」と認識することが重要です。それが「優越の錯覚」であってもいいのです。そういう人は嫉妬につぶされないのですからね。また、そうやってやる気がみなぎるようになれば、親切な人に「大丈夫?」などと必要以上に優しくされることもなくなるでしょう。これなら、やる気が出ない発作が起こることもありません。自分の能力に対する認識を変えるだけで、状況は一気に改善されるはずです。

やる気を出すためにはある種の「汚さ」も必要

そもそも「やる気」とはなにかというと、目標に向かっていく心の原動力です。その目標とは、「欲」と言い換えてもいいでしょう。お金持ちになりたい、出世したい、異性にモテたい……。なんでもいいのです。欲を満たすために動き続ける力、それがやる気です。

「欲」というと、マイナスのイメージを伴う言葉でもあります。でも、やる気を出すため、目標を達成するためには、「欲深い」ことはなにも悪いことではありません。「嫉妬深い」ことも同様です。欲深ければやる気を高い状態で保てますし、嫉妬深ければ周囲を蹴落としていける。

残念ながら、この世のなかの構図は、真面目すぎるばかりに、高いはずの自分の能力に気づいていない人が嫉妬で引きずり降ろされるというものです。真面目すぎる人は、他人の気持ちを考えすぎてしまう。「これを言ったらどう思われるだろうか……」と考えたり、相手が嫌な顔をしたら「悪いことを言っちゃったかな……」と反省したりする。その時点で、相手より下の立ち場になってしまう。つまり、嫉妬される対象になるわけです。

そういう意味では、やる気を出すためには、ある種の「汚さ」を身につけるべきでしょう。欲深くていいし、嫉妬深くていいし、反省もしなくていい(笑)。嫉妬心が湧いても自分を責める必要はありません。「自分にとっていいことなんだ!」と受け止めることが大事です。

【大嶋信頼さん ほかのインタビュー記事はこちら】
なぜ日本人の自己肯定感は低いのか? “謙虚すぎる” と人生は損だらけ。
会社の面倒くさすぎる人を上手にかわす最強武器「ジョーカーの笑顔」

『「お金の不安」からいますぐ抜け出す方法』

大嶋信頼 著

総合法令出版(2018)

【プロフィール】
大嶋信頼(おおしま・のぶより)
心理カウンセラー。米国アズベリー大学心理学部心理学科卒業。アルコール依存症専門病院・周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長、株式会社アイエフエフ代表取締役を経て、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。現在、同社代表取締役。短期療法であるFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。著書に『「やる気が出ない」が一瞬で消える方法』(幻冬舎)、『スルースキル “あえて鈍感”になって人生をラクにする方法』(ワニブックス)、『「断れなくて損している」を簡単になくせる本』(宝島社)など多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。