なぜ日本人の自己肯定感は低いのか? “謙虚すぎる” と人生は損だらけ。

近年、さまざまなシーンで耳にすることが増えている「自己肯定感」という言葉。自信を持って仕事に臨むことができれば、バリバリと業務をこなし、大きな成果を出すこともできそうです。ただ、染み付いた思考の癖は簡単に変えられるものではありません。

著書『「自己肯定感」が低いあなたが、すぐ変わる方法』(PHP研究所)が大きな反響を読んでいる心理カウンセラー・大嶋信頼(おおしま・のぶより)さんが、自己肯定感を高める方法を教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹(ESS) 写真/石塚雅人

謙虚さを尊重する社会が生む自己肯定感の低さ

日本人の自己肯定感が低いことには、「嫉妬」が要因として絡んでいます。日本人は自己肯定感が高い人を好意的に見ませんよね? 「おごる者久しからず」とか「出る杭は打たれる」なんて言葉もあるじゃないですか。自己肯定感が高くて自信に満ちた人は、まわりに嫉妬され、たたかれて、いずれつぶされると思っています。だからこそ、謙虚に生きようとする

でも、じつは、現実はまったくの逆です。謙虚であればあるほど、まわりに嫉妬されて引きずり下ろされるのがこの世の中なのです。というのも、自分より下に見た人間が自分より能力が高いと、無意識のうちに嫉妬してその人のためにならない言動をするのが人間という生き物だからです。(『「やる気が出ない」ことを誰かに相談してはいけない。バレた途端に “悪循環” にはまる。』参照)。控えめであることを美徳とする日本では、「謙虚に生きるべきだ」という呪いにかかっている人が本当に多いのです。

「先輩を立てる」といった謙虚さに縛られてしまい、のし上がるということが難しくなっています。自己肯定感が高く能力が低い人が嫉妬を起こして、自己肯定感が低く能力が高い人の足を引っ張るという社会になっているのです。

ただ、自己肯定感が低いことによるマイナスの影響というと、わたし自身は「ない」とも思っています。どんなに偉くなっても、社会の下のほうで生きたとしても、結局は誰もが死にます。みんな、同じなんですよ。いいも悪いもへったくれもないのですから(笑)。

でも、自己肯定感が低いと、「楽しく生きられない」ということはありますよね。まわりの目や嫉妬を気にして、自己肯定感が低いまま生きていては楽しくはない。楽しく生きるためと考えれば、自己肯定感を高めたほうがいいでしょう。

そもそも、自己肯定感が高い人の多くは「勘違い」しているだけのことです。自分の能力を、本来のもの以上だと思いこんでいるだけ。でも、たとえ勘違いであっても、そういう人がハッピーに生きられる。だったら、積極的に勘違いしたほうが断然お得ではありませんか。

過去の自分を変えて自己肯定感を高める

では、自己肯定感を高める方法をお教えしましょう。そもそも、自己肯定感が低い人には、子どものときに親に嫉妬されたというケースが多いものです。「鳶が鷹を生む」ということはよくあること。よろこばしいことに思えますが、自分より優秀な子どもに嫉妬してしまう親も珍しくありません。その親の嫉妬により、子どもは自分が駄目な人間だと思い込まされ、自己肯定感が低くなってしまう。であれば、その過去を変えてあげればいいのです。

まず、たとえば「上司から自分の仕事だけ評価してもらえない」といった自己肯定感が低くなる状況を思い出し、そのときの「体の感覚」を感じます。「脇腹が少し痛くなった」というようなことでOKです。そして、「その脇腹の違和感は何歳の自分とつながっている?」と自分に質問してみると、「4、5歳の自分」といったイメージが浮かんできます

その幼い自分に、次の「自己肯定感が高くなるキーワード」のなかからいくつか選んで、それぞれ7回唱えてもらいましょう。キーワードを選ぶ際、「上から順」といったルールはありません。適当にいくつか選んでみてください。

【自己肯定感が高くなるキーワード】 ・血糖値の調和! ・自分の感覚の解放! ・人々の優しさ! ・愛される姿! ・豊かな金持ち! ・一体感の再構築! ・みんなは無意識でつながっている! ・恐怖を元に戻す! ・みんなと同じ感覚! ・安らぎを宿す! ・女性に生まれ変わる! ・男性に生まれ変わる!

そして、そのキーワードを唱えてもらったとき、イメージのなかの幼い自分がにこやかになり、もう一度「上司から自分の仕事だけ評価してもらえない」と思ったときに不快感がなくなっていれば成功です。この成功したキーワードを、「嫌なことがあったり不快感を覚えたりしたら唱えてね」と幼い自分にお願いしておきましょう。こうして、過去が変われば、現在の自分も徐々に変わり、自己肯定感が高まっていきます。

脳と脳のネットワークにより過去の自分とつながる

これは、記憶を変えるのではなく、過去を変える方法です。ちょっと「眉唾ものだぞ」と思った人もいるかもしれませんよね(笑)。少しだけ、なにが起きているのかを解説しておきましょう。

「虫の知らせ」というものはみなさんも知っていますよね。また、他人が緊張していて自分も緊張してしまった経験がある人もいるはずです。これらは、わたしたちが「脳と脳のネットワーク」と呼んでいるものによる現象です。人と人の脳は、相手の脳の活動を真似するミラーニューロンという神経細胞によってつながっています。その活動によって、虫の知らせなどの現象が起きるのです。

じつはこのミラーニューロン同士がどんな周波数の信号によってコミュニケーションを取っているのかは、いまの科学ではわかっていません。もしかしたら、その信号は光よりも速いかもしれない。

「光より速く移動できれば過去に戻れる」という物理学の理論を知っている人も多いでしょう。もしミラーニューロンの信号が光よりも速ければ、時空を超えて過去の自分とつながるということもなんら不思議な現象ではないのです。自己肯定感を高めたいという人は、ぜひ試してみてください。

【大嶋信頼さん ほかのインタビュー記事はこちら】 「やる気が出ない」ことを誰かに相談してはいけない。バレた途端に “悪循環” にはまる。 会社の面倒くさすぎる人を上手にかわす最強武器「ジョーカーの笑顔」

『「お金の不安」からいますぐ抜け出す方法』

大嶋信頼 著

総合法令出版(2018)

【プロフィール】 大嶋信頼(おおしま・のぶより) 心理カウンセラー。米国アズベリー大学心理学部心理学科卒業。アルコール依存症専門病院・周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長、株式会社アイエフエフ代表取締役を経て、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。現在、同社代表取締役。短期療法であるFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。著書に『「やる気が出ない」が一瞬で消える方法』(幻冬舎)、『スルースキル “あえて鈍感”になって人生をラクにする方法』(ワニブックス)、『「断れなくて損している」を簡単になくせる本』(宝島社)など多数。

【ライタープロフィール】 清家茂樹(せいけ・しげき) 1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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