失敗を恐れない「実行力のある人」になるにはどうすればいいのか? 「弁護士×経営者×冒険家」の答え

失敗を恐れずに「実行し続けられる人」になるにはどうすればいいのか? 弁護士・福永活也さんの答え01

なにかにチャレンジしようというとき、失敗を極端に恐れる人も多いものです。このことには、「正解主義」の教育が影響しているとも指摘されています。どうすれば、「失敗を恐れずに実行できる」ようになるのでしょうか

お話を聞いたのは、24歳のときに一念発起してフリーターから弁護士となり、いまでは不動産会社等の複数の会社を経営し、タレントや冒険家としての顔も持つ福永活也(ふくなが・かつや)さん。その強い実行力はどのように生み出されるのでしょうか。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

「成功」「正解」にはもっと幅も流動性もあっていい

実行力のある人間になろうと思えば、まずはマインドを変えることが必要だと思います。世の中の人って表面的には謙虚でも、自分がめちゃくちゃすごい何者かであるかのように思っているのではないかと感じることがあります。だから、失敗して自尊心が傷つくことを怖がるのではないでしょうか

だって、本当に「わたしなんて大したものじゃない」と思っているなら、トライしただけでよかったと思えるはずですよね。失敗して自尊心が傷ついたり恥をかいたりすることを嫌がる人は、それだけ地位も名誉もあって自分は他人から大きな期待を寄せられている人間であり、決して自尊心を失ってはならないといわんばかりです。簡単にいえば、自意識過剰なのではないでしょうか。

そもそも、何をもって「失敗」や「成功」というかという問題もあるかもしれません。

たとえば、僕は2018年にエベレストに登頂しましたが、それは登山としては「成功」なのでしょう。でも、仮に凍傷によって指を失って登頂できなかったとしても、僕はそれを「失敗」だとは思わなかったでしょう。なぜなら、「指を失う」という経験を得られるからです。世の中にエベレストにアタックして、指を失ったという経験がある人はそうはいません。それこそ限られた貴重な経験を得られるのですから、それが失敗であるはずがないのです。

多くの人が、「正解」のかたちを限定しすぎているように思いますが、正解にはもっと幅も流動性もあっていいはずです

弁護士の業界でいえば、弁護士資格を使って法律業務をすることが当然だと考えられています。でも、弁護士資格なんて資格のひとつに過ぎません。資格を取って活動範囲を広げるつもりが、逆にその資格が直接生きる範囲に活動を狭めてしまっています。

いまある立場に固執してチャレンジを敬遠していては、人間として大きく成長することなどできるはずもないです。

失敗を恐れずに「実行し続けられる人」になるにはどうすればいいのか? 弁護士・福永活也さんの答え02

誰もが最初はゼロの状態

そもそも、新しいことに取り組むときには、誰もがゼロの状態。その分野には、自分より先に進んでいる人がいて当然です。たとえば、一から法律の分野で仕事をしようという人が、すでに多くの経験を積み重ねている弁護士たちがいるからと、その分野で仕事をすることを怖がったりやめようと考えたりしていては何もできません

僕の場合、弁護士になるために勉強をしたのはほんの3年間です。本当に法律の分野で仕事をしたいと思うのなら、いまはゼロの状態だとしても3年間の勉強で資格を取得することができるのですから、迷うことなく飛び込んで勉強を始めればいいというだけのことなのです。

最近は学歴をあまり気にしない社会にはなってきましたが、以前は「東大にでも行っていればよかった」「もっと勉強しておけばよかった」なんていう人も多くいました。それでは、東大生はどのくらい勉強したかというと、10年や20年ではありません。高校の3年間に一生懸命勉強して東大に受かったという人はたくさんいます。なかには高3の1年間だけ徹底的に勉強したという人もいるでしょう。

いまこの瞬間から1年でも2年でも新しいことにチャレンジすれば、それで十分な何かの到達点に至ることができるのです。

失敗を恐れずに「実行し続けられる人」になるにはどうすればいいのか? 弁護士・福永活也さんの答え03

資格や知識を得ることより人柄を磨くことが大切

そうして勉強や仕事に限らず新たなチャレンジをすれば、そのなかで得た経験がその後に生きてくるということもある。それは、得た知識やネットワークがそのまま使えるといった直接的なものだけではありません。

僕の場合、先に述べたエベレスト登頂の経験がいまも大きな力となっています。僕がエベレストに登ったときは、ネパール側からアタックした350人のうち5人が亡くなりました。命を失うかもしれないという危険を冒してまで、僕はエベレストに登った。そして、それだけ自分がやりたいことに熱中・集中して、自分の価値観の純度を高めるという経験や死の覚悟を持つという経験を得ました。そういう得がたい経験や覚悟は横展開できますから、ビジネスやその他の面でも大いに役立っています。

資格や知識など、わかりやすく具体的なものを人は求めがちです。でも、知識なんて必要ありません。いまなら、Googleで検索すれば、どんな知識もその場で得ることができます。あるいは、仕事で法律の知識が必要だというのなら、外部の弁護士に外注すれば済むことです。

失敗を恐れずに「実行し続けられる人」になるにはどうすればいいのか? 弁護士・福永活也さんの答え04

少なくともビジネスにおいては、資格や知識などよりも、チャレンジする覚悟とか熱中する集中力、新しいことに取り組む探究心といったもののほうが絶対に大切です。つまり、ビジネスに必要なものは、結局は人柄に集約されていくといっていいでしょう。

いまは、過去のどんな時代よりも、テクノロジーの進化が速い時代です。現時点では世の中で通用してそれなりに稼げる資格が、ほんの1年後には武器にならなくなるということも大いにあり得る話。そう考えれば、さまざまな経験を通じて人柄を磨くことが、最も大切なのではないでしょうか。

【福永活也さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「最高年収10億円の弁護士」へ大変貌した元フリーターの興味深い仕事観。
最高年収10億円の弁護士が絶対に「忙しい」と言わないワケ。

日本一稼ぐ弁護士の仕事術

日本一稼ぐ弁護士の仕事術

  • 作者:福永活也
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
Amazon

【プロフィール】
福永活也(ふくなが・かつや)
1980年11月12日生まれ、三重県出身。弁護士、冒険家。名古屋工業大学卒業後、一般企業に就職するも2カ月で退社。2年間、フリーターとしてフラフラした生活をしていたが、父の死をきっかけに一念発起し弁護士を目指す。27歳で司法試験に合格。弁護士法人北浜法律事務所東京事務所に入所。2012年、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構に出向。独立してわずか数年で累計数百億円もの案件をひとりで扱ってきた。現在は、弁護士業の他に、不動産投資、アプリ開発、ファッションブランド立ち上げなども行っている。また、バックパッカーとして世界を駆け巡っており、世界7大陸最高峰を制覇した冒険家としての顔も持つ。2017年には上位2%のIQを持つ者が参加する国際グループ「MENSA」の日本支部会員にもなっている。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト