一流に「メモ魔」が多い納得の理由。“4つの工夫” で行動力がぐっと上がる!

仕事の効率を上げるメモの取り方01

「要領が悪い」「商談相手に好印象を残せていない」「情報を敏感にキャッチできない」「言いたいことを言葉で表現するのが苦手」……仕事でこんな悩みを持っていませんか? 実はこれらの悩みを全部、メモが解決してくれるんです。

手頃なノートを用意して、課題やアイデア、打ち合わせ内容などを文字にして書き込んでいくだけ。メモと聞くと、取るに足らないもの、面倒くさいものと思いがちかもしれません。しかし、頭に入れるだけだった仕事内容をメモに残すことには、仕事を劇的に変える力があるのです。

そんなメモのメリットと、効果的なメモの取り方をご紹介します。

メモの効果1. 仕事の要領がよくなる

メモを取るメリットの1つ目は、仕事の要領がよくなるということ。メモの力で仕事が素早く、そして柔軟になります。

その理由は、仕事内容をメモすると、頭だけでは覚えきれない・処理しきれない情報が整理され、何を一番に考えどう行動するべきかが明確に見えてくるから。メモはいわば、脳の外付けハードディスクなのです。

しかしそうは言っても、ただだらだらと情報をメモに記録するだけでは、何を書いたのかすぐに忘れてしまうもの。皆さんも、打ち合わせの内容などを記録したメモを後で見返した時に、何が大事でどういう流れだったのか思い出せず、活用できなかった経験があると思います。

ではどうすればいいのでしょう。「メモで人生が変わった」というコピーライターの小西利行氏は、著書『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』でこう書いています。

メモを見返している自分を想像し、「未来の自分」に教えるようにメモを取ってください。たとえば、「どこから考え始めるべきか?」「どこがポイントか?」を書き残すなど、どうすれば未来の自分に伝わるかを考えることが大切です。

(引用元:小西利行(2016),『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』, かんき出版.)※太字は筆者にて施した

メモを取った時のことを何も覚えていない「未来の自分」に、大事なことを伝えてあげるつもりで、メモを書くのです。

仕事の効率を上げるメモの取り方02

そのために小西氏は、以下のような工夫を勧めています。

  1. 3つの「◯」でポイントを示す
    重要な箇所に「◯」をつけるだけです。「未来の自分」がどこを見ればいいかすぐにわかるように、印をつけておきます。多すぎると混乱するので、1つのメモにつき3つまでが理想です。
  2. 「→」で流れを示す
    情報や考えの順番を「→」で繋いでおきます。メモの中に秩序を生むのです。すると、後で見返した時に、どういう流れで見ればよいかがすぐにわかります。
  3. 年月日をつける
    メモを取った年月日を記しておきましょう。これは、例えば夏の時期に冬のためのアイデアを出したい時などに便利です。暑くて冬のイメージが湧かない夏でも、前の冬の頃に取ったメモを振り返れば、そこから容易にヒントを得ることができます。小西氏自身も、過去のアイデアを見返していいコピーを閃いた経験があるそうですよ。
  4. 吹き出しで未来の自分に指示する
    「この点を詳しく考える」「課題解決のためにこれをやる」といった指示を、吹き出しを使ってダイレクトに書いておきます。取り組むべき仕事を明らかにしておくのです。すると、後でメモを見た時にすぐ行動に移せます。

このような工夫をするだけで、メモを読み取る時間・メモから考える時間が省かれ、仕事が効率的になります。メモを見ながら「あれ、このメモはどういうことだったっけ……?」と悩む必要がなくなるのです。

打ち合わせや会議のメモはもちろんのこと、日々の業務メモにも、このやり方は活かせそうです。日々の仕事でやったこと、考えたこと、疑問や課題など何でも、この方法でメモして「未来の自分」に伝えてみましょう。

情報の重要度や繋がりを楽に把握できれば、やるべきことがわかりやすくなります。優先すべき仕事を後回しにしてしまったり、一度済ませたはずの作業をもう一度やってしまったりするようなミスがなくなり、仕事の要領はぐっと良くなるはずです。新たなアイデアも浮かびやすくなるでしょう。

仕事の効率を上げるメモの取り方03

メモの効果2. 相手の信頼を得られる

次に紹介するメモのメリットは、仕事相手に対するものです。メモを取ると、打ち合わせや会議などで相手との信頼関係を築くことができます事前準備のメモを作っておく、その場で話をメモする、これだけで打ち合わせがぐっとスムーズになるだけでなく、よい雰囲気にもなるのです。

まず、相手のいる仕事は準備がとても大事です。ケンブリッジ大学大学院修士課程(心理学)を修了し、現在人材育成をおこなっている塚本亮氏は、著書『「すぐやる人」のノート術』で、相手からの信頼を得るために打ち合わせ前の準備を強く勧めています。

準備するべきことは、確認したいポイントや想定される質問の回答を事前にメモしておくといった「内容」に関することだけではありません。これに加えて、塚本氏は「相手」についての下調べも必ずしているそう。その狙いは次のとおりです。

少なくとも私は誰かと会うまでに、相手の会社のホームページはもちろんのこと、ブログやSNS、場合によっては著作物などにも目を通します。
 ホームページをささっと見て、「こんな仕事なのね」と表面的なことしか見ていなければ、話をするとすぐに相手に伝わってしまいます。
(中略)誰でも関心を持ってもらうことは嬉しいものです。その反面、どうしても関心を持っているかどうかに、敏感になります。

(引用元:塚本亮(2018),『「すぐやる人」のノート術』, 明日香出版社.)※太字は筆者にて施した

例えば、あなたがある企業の社長と商談することになったとしましょう。その社長がSNSやブログをやっているなら、内容をよくチェックしておくべきです。「出張で○○に行った」「○○氏の講演を聞いた」「○○についてスピーチをした」といったことが書かれていれば、それをすかさずメモに残しておきます。そうした内容を、商談の折にうまく雑談に盛り込めれば、「社長という人となりに興味がある」という印象を与えることができるはず。きっと社長はあなたに良い印象を抱くでしょう。取引の成立への好材料になるかもしれません。

仕事の効率を上げるメモの取り方04

また、打ち合わせ中にメモを取ることももちろん大切です。ライブストリーミングサービスを手掛けるSHOWROOMの社長で、自他ともに認める「メモ魔」である前田裕二氏は、著書『メモの魔力 The Magic of Memos』でこのように言っています。

感情には返報性、すなわち「跳ね返り」がありますから、メモをとることによってこちらから特別な敬意を示せば、相手も自分に対して、特別な敬意を抱いてくれるようになる。「あなたの話から、一つでも多くのことを吸収したい」という姿勢が可視化されて、より実りのある会話になっていきます

(引用元:前田裕二(2018),『メモの魔力 The Magic of Memos』, 幻冬舎.)※太字は筆者にて施した

話を聞きながらメモを取ると、相手はあなたに対して「一生懸命話を聞いてくれている」という印象を抱きます。メモを取るという行為自体が、信頼関係を築く手助けをしてくれるのです。

ここまで見てきたように、メモを取ることで、打ち合わせに臨む姿勢はより積極的なものになります。これまであまりメモを重視していなかった方は、ぜひメモを有効活用してみてください。A5サイズ程度のノートを用意し、1回の打ち合わせにつき見開き1ページを使うのがおすすめです。左側を使って事前準備をしておき、右側にその場でメモを取るなどすると使いやすいでしょう。

仕事の効率を上げるメモの取り方05

メモの効果3. インプット・アウトプット能力が高まる

メモを取る習慣をつけることには、情報のインプット能力・アウトプット能力の両方が高まるという効果もあります。前田氏はこの効果について、メモによって「情報を『素通り』しなくなる」、そして「曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる」と言っています。

まず「情報を『素通り』しなくなる」とはどういうことでしょう。それは、メモを取ることで何でも書き留めようとする姿勢を身につけると、何もせずに聞いているだけでは聞き逃してしまう、あるいはすぐに忘れてしまうような情報を、漏らさずキャッチできるようになるということです。些細な情報でも確実にインプットできるようになるのです。

また、「メモする習慣」とはすなわち「得た情報や浮かんだ考えを言語化する習慣」にほかなりません。ですから、メモが自然と言語化の訓練になり、言い表しづらい感覚や概念も的確な言葉でアウトプットできる力がつくのです。

仕事の効率を上げるメモの取り方06

では、どれだけメモを取ればいいのか。前田氏曰く、すごくたくさんです。聞いたこと・考えたこと・感じたことの、少なくとも要点だけは100%書き起こすつもりで書いてみてください。最初は30〜40%しか書けなくても、継続していくことで50%、60%、70%と、メモで情報をインプット・アウトプットする能力が上がっていきます。

例えばセミナーを聴講している場合や、上司からの訓示を聞いている場合などに、ぜひ実践してみてはどうでしょうか。「先生は○○と言っていた。どういう意味? 要調査」であるとか「上司によれば来期組織が変わるかも。配置転換の可能性あり。希望をアピールしよう」など、情報とともに疑問や考えも書き留めてみましょう。その際は、先に紹介した、○や→をつけるといった小西氏推奨のメモの工夫を組み合わると、さらに良いと思います。

このように、メモは情報のインプット・アウトプット能力の向上に効果があります。メモは仕事内容を良くするだけでなくスキルアップにも大いに役立つのです。

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メモが仕事にもたらす効果をお分かりいただけたでしょうか? 「たかがメモで」とあなどらず、試しにメモ帳とペンを手に取ってみてください。仕事が劇的に変わるはずです。

(参考)
前田裕二(2018),『メモの魔力 The Magic of Memos』, 幻冬舎.
小西利行(2016),『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』, かんき出版.
塚本亮(2018),『「すぐやる人」のノート術』, 明日香出版社.

【ライタープロフィール】
梁木みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

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