「これだと言語能力が低くなる…」3つの原因。“便利な表現” に頼りすぎてない?

言語能力が低い人がついやっている習慣01

報告書やレポートの作成、私生活ではSNSの更新やメールのやりとりなど、言語能力を問われる場面は日常のなかにあふれています。たとえいいアイデアをもっていたとしても、言葉でうまく表現できないと、その魅力を伝えることはできません。できることなら、言葉を上手に扱える人になりたいですよね。今回は、言語能力が低くなってしまう原因を指摘しつつ、改善策をご紹介します。

【原因1】「ウェブ中心」で、本を全然読んでいない

「だいたいの知識はインターネットで得ている」という人も、現代では少なくないかもしれません。しかし、ブログなどのウェブ情報は閲覧するけれど、本をじっくり読む機会がない……という人は要注意。良質なインプットの不足は、言語能力にも影響を与えてしまうのです。

フロリダ大学が行なった研究によれば、良質な読書と文章表現力には関係があるのだそう。MBAの学生65人を被験者とし、【普段読むコンテンツ】と【実際に書いてもらった文章】を分析したところ、インターネットのブログやスレッドを中心に読む学生は、文章力の成績が芳しくなかったそうです。優秀な成績を残したのは言うまでもなく、純文学・ノンフィクション・学術書を読む学生でした。

読むコンテンツによって、得られる語彙の量やその理解も違ってくるもの。インプットの質が文章表現力を左右するという事実は納得できますよね。

伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏も、語彙力を伸ばすために本を読むことをすすめています。同氏いわく、本は編集者が何度も読み込み、細かな部分まで修正を繰り返したうえで世に送り出されているため、一般の人がインターネット上で公開している文章とは質が違うとのこと。「本を読めば “磨かれた言葉” に触れられる」と言います。

普段、本を読む機会がないという人は、読書の習慣をつけてみてはいかがでしょうか。

言語能力が低い人がついやっている習慣02

【原因2】そもそも「文章を書く習慣」がない

「話がわかりにくいと言われてしまう……」
「思考をうまく整理して話せない……」
言語能力に自信がない人のなかには、うまく自分の考えを相手に伝えられないことで悩んでいる人も多いはず。その原因のひとつとして、「日常的に文章を書く」習慣がそもそもないというのもあるかもしれません。

『「頭がいい」の正体は読解力』の著者である多摩大学名誉教授の樋口裕一氏は、「文章を書くことができないと、自分の思考を外に示すことができない」と指摘しています。その上で「文章を書く」ことの重要性を、以下のように記述しています。

書くとは、自分の漠然とした考えに形を与えて、他人にもわかるようにする行為なのだ。したがって、書くことによって考えに筋道が生まれる。頭の中にある連続的な思考を整理し、分析的にとらえなおし、思考の塊を言葉に改め、それを文にして論理的につなげて、一つのまとまりのある文章にしていく。それはまさに自分の思考を外からも見えるものにしていく作業なのだ。

(引用元:幻冬舎plus|読解力がない人は論理的な文章も書けない

つまり、文章を書いてみるという行為は自分の思考を明確にするということ。逆に、文章にしないと、思考は漠然として未整理の状態のままです。それでは、相手にわかりやすく言語化して伝えることはできませんよね。

話すのとは違い、文章は、読み返したあとに矛盾点や説明不足な部分の修正も行なえます。そのように、第三者にもわかるように思考の道筋を手直ししていくことで、自分の考えを相手にわかりやすい論理で示すことができるのです。

そこでおすすめなのが日記をつける習慣。日記の習慣化が難しい人は、まずは手帳に「100文字」程度の日記を書くことから始めてみてください。前述の樋口氏いわく、「感想文形式で書くと脳によい」とのこと。最近観た映画や初めて食事したレストランの感想など、手帳やノートに短く書き留めておく習慣をつけてみましょう。

言語能力が低い人がついやっている習慣03

【原因3】特定の言い回しに頼りがち

感動したときなどに、とっさに口に出してしまう「やばい!」「すごい!」という言葉。感極まって言語化できない場面もありますが、いつも特定の言い回しで済ませてしまう人は注意が必要です。便利な口癖に頼ってばかりいると、語彙を使いこなす機会を失い、さらには「語彙力の乏しい人」という烙印を押されてしまいます。

明治大学教授の齋藤孝氏は、「ほんの1分間のプレゼンで学生の語彙力を判定できる」そう。その判定基準はというと、「複数の事柄をひとつの言葉で表現しようとするか否か」。語彙力の乏しい人は、物事を丁寧に言語化することなく、「すごい!」などの省略した言葉で逃げてしまう癖があるのだとか。

では、どうしたら特定の言葉に逃げず、語彙力を鍛えることができるのでしょう。齋藤氏は、自分が好んで使う ”便利な表現” を封印し、まずは手持ちの言葉で具体的に言い換える習慣をつけることをすすめています。

たとえば、同僚のプレゼンがうまくいった場合。「すごい!」の口癖がある人は、「どういうところがすごかったのか?」と自分に問いかけてみましょう。そうして考えを深めれば、「論点が鋭く、調査も徹底していて説得力のあるプレゼンだったよ」と具体的に言い換えることもできますよね。言い換える習慣をつけることで、言葉の解像度を上げることだって可能になるのです。

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当てはまるものがあった人は、改善して言語能力を高めていきましょう。

(参考)
Sciedu Press|Syntactic Complexity of Reading Content Directly Impacts Complexity of Mature Students’ Writing
幻冬舎plus|読解力がない人は論理的な文章も書けない
NIKKEI STYLE|脳を活性化する「日記術」
STUDY HACKER|「言葉を知らない」では深い思考ができぬ。語彙力を伸ばす大切な習慣――“文章術のプロ” 山口拓朗さんインタビュー【第4回】
齋藤孝(2015),『語彙力こそが教養である』, KADOKAWA.

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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