みなさんは、普段どのようにノートを取っていますか?
「罫線やマス目に沿って文字を書いていくだけ」という “普通の取り方” も決して悪くはありませんが……あなた自身の性格や学習環境に合ったノートの取り方を試してみるのも、ひとつの手です。
試しに、以下のチャートをやってみてください。
どこにたどり着いたでしょうか? それが、今のあなたに最も適したノート術かもしれませんよ。海外メディアの情報なども参考に、これらのノート術をひとつひとつ紹介していきましょう。
1. マッピング・メソッド
まずは、「講義後にノートの整理をいつもしていて」「絵で見て覚えるタイプで」「復習に時間をかけてもいい」という人向けの「マッピング・メソッド」です。
これは、項目を時系列でまとめたり、項目ごとのつながりを矢印などを使って絵で表したりしながら、ノートに書き出す方法です。思考整理の際に使う「マインドマップ」にも似ていますね。大量の文章をノートに書いても覚えられないような場合に、視覚の力を使って記憶定着を促せます。
【「マッピング・メソッド」ノートの作り方】
- ノートの中心にメイントピックを据える
- メイントピックからサブトピックへとマップをひろげていく
- サブトピックの下に詳細を書いていく
【「マッピング・メソッド」のメリット】
- 視覚学習者(絵で見て覚えるタイプ)におすすめ
- 項目ごとのつながりを理解しやすくなる
2. ボックス・メソッド
「講義後にノートの整理をいつもしていて」「絵で見て覚えるタイプで」「復習にあまり時間はかけたくない」という人におすすめなのは「ボックス・メソッド」です。
これは、複数ページにまたがる項目を1ページにまとめて見やすくするための技術です。重要単語や重要コンセプトだけをまとめた箱(=ボックス)を作るので、復習がスピーディーに行なえます。単元ごとに覚えるべき項目が多いような科目・資格試験を勉強する際に重宝するでしょう。ノートを整えて構成できるのも利点です。
【「ボックス・メソッド」ノートの作り方】
- 通常のノートと同じように、メイントピックを書いておく
- メイントピックの下に、関連するサブトピックと詳細を書いていく
- 新しいトピックに移動したときは、少しスペースをとって書く
- 各トピックに関連する項目は四角で囲んでいく
【「ボックス・メソッド」のメリット】
- トピックごとに囲むので、視覚学習者にとってわかりやすいノートになる
- 復習の際は、それぞれのボックスを見るだけでいい
3. コーネル・メソッド
「講義後にノートの整理をいつもしていて」「絵で見て覚えるタイプではなくて」「ノートをきれいに書きたい」という人におすすめなのが「コーネル・メソッド」です。ノートがいつもぐちゃぐちゃで、あとで見返す気が起きないような人こそ、このノート術を採用してみましょう。
「コーネル・メソッド」とは、コーネル大学のウォルター・パーク教授によって1940年に開発されたノートの取り方です。ノートの紙面を3分割し、「キーワードを記入するセクション」「まとめを記入するセクション」と分けるため、復習が高速で進みます。試験を控えている際に特に使えますね。
【「コーネル・メソッド」ノートの作り方】
- 1ページを3分割し、右上の「ノートセクション」、左上の「キーワードセクション」、下段の「まとめセクション」に分ける
- 講義を受けている最中は、ノートセクションに図や解説を書き込んでいく。また、講義中に出てきた重要項目はキーワードセクションに記入しておく
- 講義後、まとめセクションにそのページのまとめを数行で書く
【「コーネル・メソッド」のメリット】
- 整理されたノートが簡単に作れる
- 重要項目やまとめを書くスペースが各ページにあるので、そこを見返せば復習になる
4. SQ3Rメソッド
「講義後にノートの整理をいつもしていて」「絵で見て覚えるタイプではなくて」「ノートも整っていなくていい」という人におすすめなのが「SQ3Rメソッド」です。
これは、アメリカの教育心理学者フランシス・P・ロビンソン氏が1946年に考案した、教科書での勉強を効率的に行なうための技術です。下調べ(Survey)や自問(Question)を通して、知りたいことを事前に明らかにしておくため、より能動的に学習に取り組むことが可能。たとえば「難しいテキストを扱うときに、前もって深く理解しておきたい」といったときに重宝するでしょう。
【「SQ3Rメソッド」ノートの作り方】
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テキストを本格的に読み進める前に、「下調べ(=Survey。見出しや図に目を通し、おおよその内容を把握する)」と「自問(=Question。自分が知りたいことを明らかにさせる)を行なう
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自問の作業で生じた疑問に対する解を探しながら本を読んでいく(=Reading)
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Reading作業で得た解を自分なりの言葉に変換する(=Recite)
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ここまでで覚えたことをまとめてみる(=Review)
【「SQ3Rメソッド」のメリット】
- ただテキストを読むだけでなく、より能動的な学習が可能
- 読んだ内容が本当に頭に入ったの確認もできる
5. センテンス・メソッド
「講義後にノートの整理をすることは少なく」「口頭説明が多い講義を受けている」という人にすすめるのが「センテンス・メソッド」です。
聴講しながら、重要だと思われる部分だけをピックアップしてまとめていきます。板書きの内容や話したことをそのままノートに書くのではなく、自分の頭で理解してまとめ直すという作業が発生するため、負荷は少々高いですが密度の濃いノートを作ることが可能です。復習の際も見やすいでしょう。
【「センテンス・メソッド」ノートの作り方】
- 見出しを使って、メイントピックをわかりやすくしておく
- 何が重要なのかを考えながら、1行にひとつずつ、自分なりの言葉でまとめる
- 新しいトピックに移動したら、1行空けて次の文章を書いていく
【「センテンス・メソッド」のメリット】
- 講義中に、情報をコンパクトに整理できる
- ゆえに復習も楽になる
6. アウトライン・メソッド
「講義後にノートの整理をすることは少なくて」「講義のときの口頭説明がそれほど多くない(板書が比較的多い)」という場合におすすめなのが「アウトライン・メソッド」です。
5で紹介した「センテンス・メソッド」は口頭説明が多い場合に使いたいノート術でしたが、こちらの「アウトライン・メソッド」は、口頭説明にあまり追われず時間の余裕がある場合におすすめ。より整理されたノートをつくることができます。
【「アウトライン・メソッド」ノートの作り方】
- 講義の初めに、メイントピックをノートの一番上に書いておく
- メイントピックの下にサブトピックを書く
- サブトピックの下に詳細を整理しながら書き込んでいく
【「アウトライン・メソッド」のメリット】
- ノートがそこそこきれいにまとまる
- メイントピックとサブトピックの関係性がわかりやすい
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以上、6つのノート術をご紹介しました。ご自身が該当するシチュエーションに応じて、ぜひ試してみてください。
(参考)
OXFORD LEARNING|How To Take Study Notes: 5 EFFECTIVE NOTE TAKING METHODS
Medium|The Best Note-Taking Methods
Medium|Alternative Note-Taking Methods Explained - “The Boxing Method”
学研ステイフル|コーネルメソッドシリーズ
The Peak Performance Center|The SQ3R Method
【ライタープロフィール】
渡部泰弘
大阪桐蔭高校出身。テンプル大学で経済学を専攻。外出時は常にPodcastとradikoを愛用するヘビーリスナー。