「マウントをとる」の意味とは?豊富な会話例ですぐわかる!

「マウントをとる」の意味とは? 豊富な会話例ですぐわかる!

「マウントをとる」という言葉、よく耳にしますよね。マウントをとること=マウンティングは、コミュニケーションの問題だということはよく知られていますが、具体的にどのような行為がマウンティングなのでしょうか?

この記事では、哲学を専攻した筆者がマウンティングの意味を解説し、マウントをとってくる人への対処法を紹介します。マウンティングの具体例を多数挙げているので、「あれはやっぱりマウンティングだったのか!」「自分もマウントをとってしまったかも……」と気づけるはず。

記事の最後では、関連書籍もご紹介しています。「マウントをとる」という言葉について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

「マウントをとる」の意味

「マウントをとる」とは、自分が相手より優位にあるとアピールする行為。自分のステータスや持ち物を自慢したり、他人を見下したりすることを指します。「マウンティング」も同じ意味です。もとは動物の行動を表す言葉ですが、人間のコミュニケーションにも使われるようになりました。

具体的にどのような言動がマウントになるかは、主観や状況に左右されます。「私は早稲田大学出身です」と事実を伝えるだけならマウントにはなりませんが、「学歴をアピールして優位に立ちたい」と考えている場合、その意図が相手に伝わり「これってマウンティング?」と思われてしまうかもしれません。

反対に、自分ではマウントをとるつもりがなくても、マウンティングだと誤解を受ける可能性もあります。

「マウントをとる」の意味

マウントをとる会話の例

どのような言動が「マウントをとる」ことになるのかは、状況によって異なります。とはいえ、典型的なパターンというものがあるので、4種類に分けてご紹介しましょう。

ステータス系マウント

マウントといえばこれ、というほどに典型的なのが「ステータス系」のマウントです。学歴、年収、職業、年齢といった社会的ステータスをアピールし、相手より優位に立とうとします。

もちろん、自分のステータスを誇りに思うことは問題ありません。しかし、それを自慢したり、聞かれてもいないのに語ったりするのはNG。「マウントをとられている」と解釈され、不快に思われてしまう可能性が大です。

◆ステータス系マウントの例

  • 高学歴自慢/低学歴批判
  • 高年収自慢/低年収批判
  • 職業・肩書きアピール
  • ブランド品自慢
  • 年上アピール/若さアピール
  • 既婚自慢
  • 家族・知人自慢
  • “すごい人と仲良し“ アピール
  • 幸せアピール

◆発言の例

  • 「じつは私、早稲田大学を出てるんだけど」
  • 「いまどきの若いヤツは」
  • 「その歳でまだ結婚してないの?」
  • 「うちの父が会社を経営してて」
  • 「私って、部長から気に入られているみたいなんだ」
  • 「私、芸能人の○○と仲いいんだけど」

経験系マウント

経験や武勇伝を自慢するのが、「経験系」のマウントです。思い出を大切にするのはOKですが、「私はあなたよりすごい経験をしているんだよ」という意識があればマウンティングになってしまいます。

◆経験系マウントの例

  • 過去のエピソード・武勇伝自慢
  • 携わった仕事自慢
  • 旅行・豪遊自慢
  • 海外暮らし自慢

◆発言の例

  • 「学生時代、自転車で日本一周したことがあるんだ」
  • 「昔、芸能人の○○と仕事をしたことがあるんだ」
  • 「夏休み、上海旅行で50万も使っちゃったよ」
  • 「昔、アメリカで暮らしてたことがあるんだけど」

知識系マウント

物知りな人ほどやりがちなのが、「知識系」のマウント。どんなにすばらしい知識でも、求められていないのに一方的に披露すれば、相手に不快感を与える恐れがあります。

勉強して得た知識や趣味の話をするときは、「この人は本当に聞きたがっているかな?」「独りよがりになっていないかな?」と意識してみてください。もちろん、相手の無知をバカにするのもNGです。

◆知識系マウントの例

  • 物知りアピール
  • 読書家アピール
  • 相手の無知を嘲笑
  • 上から目線のアドバイス

◆発言の例

  • 「えっ、○○を知らないの?」
  • 「ニュースくらい、チェックしとかなきゃダメだよ」
  • 「私、年に100冊は本を読むことにしてるんだよね」

見下し・批判系マウント

そのほか、相手を見下したりおとしめたりすることで自分を優位にする言動全般も、マウンティングの一種と考えられます。

◆見下し・批判系マウントの例

  • 嫌味・皮肉
  • 上から目線の発言
  • 相手の短所をチクリと指摘

◆発言の例

  • 「あなたって本当に要領悪いよね」
  • 「こんな簡単なこともわからないの?」
  • 「だからあなたはダメなんだよ」

思い当たるものはありましたか? 「これもマウンティングに入るの?」と驚いたかもしれません。マウントをとるという行為は、コミュニケーションにおいて珍しいものではないのです。

マウントをとる会話の例

マウントをとる心理

マウントをとる行為は嫌われるとよく知られているのに、なぜマウンティングはなくならないのでしょう? ついマウントをとってしまう人の心理としては、このふたつが考えられます。

劣等感

精神科医の樺沢紫苑氏によると、マウントをとりたがる人の特徴は、劣等感が強いこと。

見下されたくない、優越感にひたりたい、グループで不利な立場になりたくない……そんな “劣等” への恐れ、あるいは競争意識が、マウンティングという行動として現れるのです。

そのため、劣等感がなくならないかぎり、ついマウンティングをしてしまうと考えられます。

快感

単に気持ちがいいから、というのもマウンティングの動機です。

脳神経外科医の菅原道仁氏によれば、私たちの承認欲求が満たされたとき、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質が放出されるそう。ドーパミンは “脳内麻薬” とも呼ばれ、お腹が満たされたとき、お酒を飲んだとき、何かを達成したときなどに「気持ちいい」という感覚をもたらします。

つまり、マウンティングによって優位に立つと承認欲求が満たされ、快感を得られるのです。マウントをとることで簡単に気持ちよくなれるため、「こんなこと言ったら自慢に思われるかも……」と気づいても、なかなかやめられません。

マウントをとる心理

マウントをとる人の対処法

マウントをとる人の心理を理解できたでしょうか? では、そのような「マウンター」に遭遇してしまったら、どうすればいいのでしょう。試してほしいコツをご紹介します。

まともに取り合わない

マウンターの相手をするときは、話を真に受けず、受け流すことが大前提です。

マウンターの言い分がもっともらしく聞こえても、「たしかにそうかもしれない」「イラッとする自分がおかしいのかな」などと考えては思うツボです。相手の言い分が正しいかどうかは考えず、とにかく聞き流しましょう。

マウントをとってきている時点で、悪いのは相手だ
マウントをとらないと自分を保てない、弱い人なんだな……

こんなふうに考え、まともに取り合わなければ、マウンティングのストレスがかなり和らぎます。

ソフトな態度を貫く

マウントをとられたと感じても、あくまでソフトな態度を貫きましょう。いらだちを表に出したり感情的に反論したりすれば、さらなるマウンティングを仕掛けられるかもしれません。

心理カウンセラーの石原加受子氏によれば、大事なのは「リラックスして、ニュートラルな態度で接すること」。そうすれば、簡単には優位に立てない相手だと判断され、標的から外れるそうです。

「スルー言葉」を返す

前出の樺沢氏によると、関わりたくない相手には「スルー言葉」を使うのがいいそう。マウンティングされたら、「へぇ」「そうなんですね」などと受け流しましょう。

◆スルー言葉の例

  • 「へぇ」
  • 「そうなんですね」
  • 「それはよかったですね」
  • 「そういう考えもありますね」
  • 「検討させていただきます」
  • 「アドバイスありがとうございます」

このようなスルー言葉には、積極的な肯定・否定が含まれません。話が広がったり、相手を怒らせたりすることを避けられます。

ただし、ネガティブな気持ちが声や表情に出ると、相手に伝わってしまいます。声音と表情はソフトにしましょう。

鈍感なふりをする

心理カウンセラーの五百田達成氏は、相手に言い返したくなったときのテクニックとして「鈍感な人を装う」ことを挙げています。

たとえば、高級ブランドの服を自慢されたら「すみません、ブランドには疎くて……」「ファッションはよくわからなくて……」と返してみましょう。服の価値を知らない人にマウントをとろうとしても、優位には立てませんよね。相手の土俵で戦うことを回避できるのです。

◆鈍感なふりをする言葉

  • 「すみません、○○のことをよく知らなくて」
  • 「よくわからなくて」
  • 「あまり興味がなくて」
  • 「あまり詳しくなくて」
  • 「さぁ、どうなんでしょう……」

肯定しつつ反論する

「はっきり言い返したい!」という方には、イエスバット法がおすすめ。いったん肯定してから反論することで、とげとげしい印象が和らぎます

「○○大学の出身なんだね。偏差値低いところ?」などと言われた状況を想像してみてください。不快ではありますが、「でも、○○大学にはいいところもあるんです!」と反発すれば、空気が険悪になる恐れがあります。

そこで出番となるのが、イエスバット法です。「たしかにそうですね」と肯定したうえで、「ただ、いいところもあるんですよ」と伝えれば、あまり否定的な印象を与えずに意見を伝えられます。

◆イエスバット法の例

  • たしかにそうですね。しかし○○とも考えられます」
  • 同感です。ただ○○かもしれませんね」
  • おっしゃるとおりです。とはいえ○○なんですよ」

「しかし」を使わなければ、否定的なニュアンスがさらに弱まります。

◆イエスアンド法の例

  • たしかにそうですね。○○とも考えられます」
  • おっしゃるとおりです。それに、○○なんですよ」

アンガーマネジメントを実践する

マウントをとられたときは、怒りをあらわにせず、冷静に対応することが大切です。イラッとしない自信がなければ、アンガーマネジメントをやってみましょう。

アンガーマネジメントとは、突発的な怒りを落ち着かせ、冷静さを取り戻す手法です。アンガーマネジメントができれば、マウントをとられてもソフトな態度を保てます。

日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏によると、イラッとしても6秒ほど経てば理性的になれるそう。6秒待つための方法をご紹介します。

数を数える

アンガーマネジメントの基本は、「1、2、3、4、5、6」とゆっくり数えること。あせらず、1つ数えるのに1秒以上かけてください。

目の前の物を見つめる

安藤氏によると、イライラしているときは意識が別の場所にあるそう。意識を「いま、ここ」に向けることで、怒りを抑えられるとのことです。

意識を「いま、ここ」に集中するには、目の前にある物を見つめ、じっと観察しましょう。マウンターの顔を見ながら「眉毛がつながっているな」「メガネのフレームが細いな」などと考えるうちに、6秒経っています。

真っ白な紙をイメージする

怒りにとらわれたと感じたら、「そんなときはいっさいの思考をやめます」と安藤氏。具体的には、真っ白な紙が頭のなかいっぱいに広がっているのを想像するそうです。

怒りの度合いを採点する

怒りを感じたら、その強さを数字で表してみましょう。安藤氏によると、基準は以下のとおりです。

0:穏やか
1~3:「イラッ」など軽い怒り
4~6:「カチン」など中くらいの怒り
7~9:かなり強い怒り
10:人生最大級の怒り

この怒りはどれくらいの数字だろう?」といったん考えれば、理性を取り戻せます。

その場を離れる

怒りを抑えきれそうになければ、「トイレに行きます」などと言ってその場を離れましょう。マウンターから距離をとってひとりになれば、6秒待つことができます。

自分を磨いて自信をつける

前出の樺沢氏によると、マウントをとられる理由は「ナメられている」から。「絶対に勝てない」と思っている相手にはマウンティングしないそうです。

つまり、自己研磨して「この人には勝てそうにない」「つけ入る隙がない」という印象を相手に与えられれば、もうマウンティングされません。マウントをとられたとしても、自信が十分にあれば動揺しないはずです。

樺沢氏は「あなたがマウンティングされるのは、あなたの自己肯定感が低く、自分に自信がないことを見抜かれているから」とも話しています。もしあなたの自己肯定感が低いのであれば、こちらの記事を参考にしてみてください。

>>自己肯定感を高めるメリット4つ&方法9選

マウントをとる人が周囲にいても、あなたの自己肯定感が十分に高いなら、ターゲットにされることはないでしょう。

マウントをとる人の対処法

マウントをとる人に対抗するための本

マウントをとる人への対処法を紹介してきました。「もっと詳しく知りたい!」という方は、こちらの3冊(4冊)も読んでみてください。

『「とにかく優位に立ちたい人」を軽くかわすコツ』

1冊めは、前出の心理カウンセラー・石原加受子氏による『「とにかく優位に立ちたい人」を軽くかわすコツ』。他人より優位に立ちたがる人を4つに分類し、それぞれの対処法を教えてくれます。

  • 脳幹タイプ:勝ち負けにこだわる
  • 感情脳タイプ:優しさを押しつけてくる
  • 左脳タイプ:相手を否定することで支配しようとする
  • 右脳タイプ:相手に要求することで支配しようとする

このようなマウンターの被害を逃れるには、「自分中心」の考え方にシフトすることがポイントだそう。場の空気や他人の顔色 、社会的評価に振り回されず、自分の心に正直になることで、マウンティングのストレスから解放されるのです。

『ちょっとだけ・こっそり・素早く「言い返す」技術』

2冊めは、精神科医のゆうきゆう氏による『ちょっとだけ・こっそり・素早く「言い返す」技術』。マウンターなど面倒な相手を逆上させることなく、上手に “ちょっとだけ” やり返す方法を教えてくれます。たとえば……

  • 暴言や悪口をオウム返しにする
  • 「どういう意味ですか?」と聞き返す
  • 相手のペースに巻き込まれず、ゆっくり話す

など、具体的・実践的なテクニックがたくさん掲載されています。マンガ版もあるので、読みやすいほうを手に取ってみてください。

『自分は自分、バカはバカ。 他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』

3冊めは『自分は自分、バカはバカ。 他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』。電子掲示板・2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)の開設者として有名なひろゆき(西村博之)氏の本です。

ひろゆき氏といえば、どんな論敵にも言い負かされない「鋼のメンタル」の持ち主。そんなひろゆき氏が、ストレスフリーに生きるための処世術・思考法を教えてくれます。マウントをとる人はもちろん、周囲にいる “厄介な人” を上手にかわす方法を知りたい方は、ぜひご一読ください。

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「マウントをとる」という言葉の意味や具体例をご紹介したあと、マウンティングから逃れる方法をご説明しました。マウンティングについてもっと知りたい方は、こちらの記事も読んでみてください。

>>マウントとは? マウンティングする人の心理&対処法を解説!
>>職場でマウンティングしてくる人への対処法5選

【ライタープロフィール】
佐藤舜

大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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