“ネガティブ思考” 放置の大きすぎる損失。「KPT法」で失敗にくじけない人になろう!

ポジティブのメリット01

仕事がうまくいかなかったり、人間関係に思い悩んだり……。私たちの生活には、ネガティブな気持ちになる要因がたくさんありますよね。

そんなとき、「自分はなんてダメなんだ……」とネガティブな状態から抜け出せなくなると、つらい気持ちになるだけでなく、長期的なデメリットが生じることも。

今回は、ポジティブ思考を身につけ、仕事や私生活を好転させるためのコツをご紹介しましょう。

なぜポジティブでいる必要があるのか?

そもそも、なぜポジティブ思考を身につける必要があるのでしょうか?

ポジティブ心理学を研究するノースカロライナ大学のバーバラ・フレドリクソン氏によると、ポジティブ思考の人は、先を考えて行動し、未来の計画を立てることができるそう。ポジティブ思考は、一時的に幸福を感じるだけでなく、長期にわたって影響があるのです。反対に、ネガティブ思考で、怒り・恐怖・ストレスなど負の感情を抱えている人は、視野が狭まり、目の前のことしか見えなくなってしまうのだとか。

さらに、ネガティブな感情にあふれている人は、一時的に嫌な気分に苛まれるだけでなく、長期的にデメリットを受けます。なぜならば、人間は、恐ろしい出来事が起こると逃げることしか考えられなくなる本能を持っているから。たとえば、山奥で熊に遭遇した人は、「とにかくここから逃げなければ!」という感情から、自然を堪能することなど忘れて一目散に逃げるでしょう。同様に、人はネガティブな感情を持つと、ほかの幅広い選択肢や可能性が見えなくなってしまうのです。

また、フレドリクソン氏によると、ポジティブな感情は、新しいスキルを身につける際にも重要なのだそう。ポジティブでいることで、自分の可能性を信じられるため、さまざまな経験を通して、人生に役立つスキルを身につけられるのだといいます。一方でネガティブ思考の人は、先ほど述べたとおり、未来のためにスキルをつけることよりも目の前の恐怖から逃げることが先決であるため、それができないのです。

ポジティブのメリット02

ポジティブ思考を習得するには何をすればいい?

人生を長期的に豊かにしてくれるポジティブ思考ですが、どのようにすれば習得できるのでしょうか? 以下で詳しく見ていきましょう。

失敗は経験値としてとらえる

完璧な人はいませんし、生きていれば必ず幾度も失敗を経験するもの。失敗にとらわれるのではなく、むしろ経験値を増やしてくれるすばらしいものと考えれば、失敗も肯定的にとらえられるようになるのではないでしょうか。

失敗を上手に活かす具体的な方法として「KPT法」という反省法がおすすめです。KPTとは、Keep(できたこと)Problem(できなかったこと)Try(次回試したいこと)の略。この3つを紙に書き出すだけです。書き方の例をご紹介します。

Keep(できたこと):大事なクライアントにプレゼンテーションを行ない、良い反応がもらえた。

Problem(できなかったこと):いくつか質問に答えられず、持ち帰って後日、回答することになった。

Try(次回試したいこと):プレゼン自体はしっかり準備するのは大切。それに加え、想定質問もしっかり考えシミュレーションしておこう。

KPT法は、できなかったことだけでなく「できたこと」も反省に含まれているところがポイント。「できたこと」にも焦点を当てることによって、過度に悲観せず、客観的に現状を分析できるようになるのです。

失敗や壁にぶつかったときこそ、多くの学びや気づきを得るチャンスです。KPT法を使って、失敗経験を次に活かしましょう。

ポジティブのメリット03

良い影響を与えてくれる人たちと付き合う

アメリカの起業家で自己啓発作家のジム・ローン氏は、人付き合いについて「あなたは最も多くの時間をともに過ごしている5人の平均である」と述べました。多くの成功者が彼の言葉に影響を受けていると言われており、この言葉を裏づけるような研究結果も発表されています。

自分の周りにいる人たちが、良い影響を与えてくれているか、今一度見つめ直してみましょう。向上心の高い人たちと過ごせば、向上心が上がり、幸福な人たちと過ごせば幸福度が上がります。では、ネガティブな人たちと過ごせば……結果はもうわかりますよね。

周りにポジティブ思考の人たちがいると、前向きな未来にワクワクしている話や、ポジティブな経験談が聞けますし、お互いに気分が明るくなるような言葉をかけ合うことで、相乗効果が期待できるでしょう。

友人を断ち切るのは難しいことですが、常にネガティブな人たちと一緒にいると、それが普通のことであると誤認識してしまいます。周りの人たちが自分に与えている影響がポジティブなものなのか、一度考えてみてください。

「ネガティブな影響を受けているかもしれない」と気づいた方は、今まで接したことのなかった人たちと関わりを持ってみてはいかがでしょう。また、自分自身も他者にポジティブな影響を与えられるよう、心がけることもおすすめします。

ポジティブのメリット04

感情を書き出す

負の感情を抱えていては、当然ポジティブになるのは難しいですよね。レジリエンスの専門家の久世浩司氏は、ネガティブな感情には粘着性があり、対処せずに放っておくといつまでも発生するものだと言います。

米国の心理学者であるジェームス・W・ペネベイカー氏の研究によると、心の内にこもったネガティブな感情を紙に記して表に出す行為には、感情を落ち着かせる効果があるのだそう。嫌なことがあったときに紙に書き出す行為は「ライティングセラピー」と呼ばれ、臨床心理の現場でも使われている方法です。

書き出すことによって、負の感情がいつまでも頭の中に留まるのを防ぎます。また、紙に書かれているのを見ることで、客観視できるようになり、解決の糸口が見つかる可能性もあります。

久世氏によると、ポジティブなことを書き出す行為にも心理的に良い効果があるそう。同氏は、夜寝る前に10〜15分ほど「すべてがうまくいったと想像して、将来の最高の自分を思い描き、紙に書く」ことをすすめています。これを3日間続けた人は「ポジティブな感情が増した」「気持ちが前向きになった」という結果が出ているそう。

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ポジティブな感情を持つ努力は、誰にでもできます。少しずつ続けていくことで、ポジティブ思考を自分のものにしていきましょう。

(参考)
National Center for Biotechnology Information|Open Hearts Build Lives: Positive Emotions, Induced Through Loving-Kindness Meditation, Build Consequential Personal Resources
National Center for Biotechnology Information|The broaden-and-build theory of positive emotions
APS|Low on Self-Control? Surrounding Yourself With Strong-Willed Friends May Help
StudyHacker|正しい "反省" が成長を加速させる! 『KPT法』という反省の技術
日経ビジネス|手を動かし、「書く瞑想」をしよう

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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