コツコツやるのは必ずしも正しくない? 「積み上げ式」しか知らない人に教えたい「逆算式」勉強法

逆算式勉強法のコツ01

あなたは、こんな勉強をしていませんか。

――テキストに書かれていることを全部覚え終わったら、いよいよ問題演習に挑む――

「それ以外にどんな方法があるの? 全部覚えてからでないと、問題演習には移れないでしょ?」と思った方は要注意です。あなたは知らず知らずのうちに、効率の悪い勉強をしているかもしれません。

今回は、コツコツ覚えるより学習効率がはるかに高い、「逆算式」勉強法について解説します。

「まず全部覚えてから」は失敗しやすい

「テキストの内容をまず全部覚える勉強法だと、失敗しやすい」。そう言うのは、弁護士の岡野武志氏です。岡野氏は、“高卒・フリーター” で司法試験にチャレンジし、当時の合格までの平均年数より2年短い、5年で合格した経歴をもちます。

岡野氏は最初、「まずは知識を頭に詰め込むことが大切」と考え、参考書を読み込んでコツコツ覚えていくというスタイルで、勉強していたそうです。

当時を振り返って岡野氏は、その考え方では問題と向き合ってもほとんど解けず、演習問題から逃げ続けることになったと言います。結局、司法試験にはまったく歯が立たなかったとのこと。

「まずは全部覚えよう。問題を解くのはそのあとで……」という考え、あなたにも思い当たる節はないでしょうか? 

逆算式勉強法のコツ02

 

「積み上げ式」と「逆算式」の違い

では、岡野氏はなぜ、参考書をコツコツ覚えるスタイルでは成果を出せなかったのでしょうか。そして、どのように勉強法を改善して、司法試験に合格できたのでしょう。

その答えは、「積み上げ式」で勉強するか、「逆算式」で勉強するか、というやり方の違いにあったようです。

岡野氏によると、目標を達成する方法には以下の2パターンがあるのだそう。

積み上げ式:勉強などを進めながら知識や力を積み上げていった結果、目標を達成する方法

逆算式:ゴールに到達するまでにクリアすべき「課題」を先に明確にして、それをこなしながら目標を達成する方法

岡野氏が最初に取り組んでいたのは、いわゆる「積み上げ式」の勉強法です。なぜこれがいけなかったかというと、ただコツコツと参考書を読んでいただけで、どこが苦手なのかを把握しなかったから。乗り越えるべき課題に向き合えていなかったと、岡野氏は言います。

そこで取り入れたのが、「逆算式」の勉強法です。「試験に合格するには、どんな課題をクリアしなければならないのか?」を考え、克服すべき苦手分野を明確にしてから、その苦手分野を集中的に勉強する――このように、自身の課題に徹底的に向き合ったことが、司法試験合格につながったのだそう。

逆算式勉強法のコツ03

「逆算式」で取り組むメリット

岡野氏のエピソードからわかるとおり、「○○試験に合格する!」という明確なゴールがある場合には、「積み上げ式」より「逆算式」で勉強するほうが、当然効率的で有利だと言えます。

実際、ゴールから逆算して物事に取り組むことの利点は、大きいもの。グロービス経営大学院経営研究科副研究科長の村尾佳子氏は、以下ふたつのメリットを挙げています。

1. 効率がよくなる

「積み上げ式」だと、手探りで試行錯誤する場面が多くなります。「どうすればいいかわからないけれど、とりあえずやってみよう」をいくら繰り返しても、うまくいくとは限らないもの。

一方「逆算式」では、クリアすべき課題を事前に明確にするため、試行錯誤の手間がかかりません。結果として、必要な作業だけを集中的にこなしていけるのです。

2. 軌道修正が簡単

「積み上げ式」だと、課題を事前に明確にしておかないため、取り組み方が合っているかどうかわからないまま、最後の結果が出るまで物事を進めなければなりません。

しかし「逆算式」なら、課題をクリアできなかったとき、「この取り組み方では間違っているな」という具合で、別の取り組み方を試す必要があることに気づけます。すばやく的確に、軌道修正ができるのです。

逆算式勉強法のコツ04

「逆算式」勉強法のやり方

必要な勉強だけに集中的に取り組めて、軌道修正も的確にできる、超効率的な「逆算式」の考え方。ではいよいよ、「逆算式」で勉強する手順を見ていきましょう。

岡野氏は、以下の4ステップで行なうことを提唱しています。

  1. ゴールを「数字や固有名詞」で具体的に把握する
  2. 現在の立ち位置」を正確に把握する
  3. ゴールへ至るまでに「乗り越えるべき課題」を見つける
  4. 課題を細分化」して取り組むハードルを下げる

1. ゴールを「数字や固有名詞」で具体的に把握する

目指したいゴールを正確に把握します。岡野氏いわく、数字や固有名詞で具体化するのがポイントとのこと。

例:
「〇〇資格の試験で8割以上の点数をとり、合格する」

2. 「現在の立ち位置」を正確に把握する

過去問や演習問題などを解くなどして、いまの実力を把握します。実際に問題に当たってみなければ、実力を知ることはできないものです。

いまの立ち位置によって勉強時間も量も大きく変わるため、正確な現状把握が重要だと岡野氏は伝えています。ですので、「ゴールまでかなり距離がある……」とこの段階でわかったとしても、落ち込むことはありません。次のステップ以後で、必要な課題をクリアしていけばいいのです。

例:
「過去問を解いてみたら、6割はとれる気でいたけれど4割しかできなかった」
「6割くらいかなと思っていたけれど、7割とれた。あと少し頑張ればいいんだ」

3. ゴールへ至るまでに「乗り越えるべき課題」を見つける

「ゴール」と「現在の立ち位置」を把握しさえすれば、その差分からおのずと課題が見えてくると岡野氏。たとえば以下のような具合です。

例:
「試験では “○○の分野” から確実に出題されるけれど、過去問ではその分野に関する問題で点がとれなかった。だから、ここを集中的に勉強しよう」

「現状は、課題が多くて弱点だらけだ」と感じても、「伸びしろ」があるととらえればよい――そう岡野氏は言います。弱点がたくさん見つかったということは、それだけ取り組むべき課題を明確にできたということだからです。実際に岡野氏自身も、何十年分も過去問を解きながら研究を重ねたのだとか。

4. 「課題を細分化」して取り組むハードルを下げる

ここまでできたら、いよいよ勉強に着手しましょう。岡野氏は、課題をひとつずつ細分化することがポイントだと述べています。勉強に取り組みやすくするためです。

これは、脳科学的にも証明されている事実。東北大学大学院准教授の細田千尋氏らが、「やり抜く力」と「脳の構造」の関係を調べた研究によると、やり抜く力が低いと予測された人でも、課題を細分化すると取り組むなかで達成感を得やすくなり、結果的に目標も達成できたのだそうです。と同時に、「前頭極」という脳部位の構造が明らかに変化したとのこと。前頭極の構造がやり抜く力の客観的指標となるということが、発見されたのだそう。

例:
「 “○○の分野” をさらに小さな範囲に分ける。問題集を使い、小範囲ごとに問題演習をしていく」

クリアすべき課題がたとえ100あったとしても、10や5ごとに分けて弱点を潰していけば、ゴールまできっとやり抜くことができますよ。

***
「積み上げ式」で勉強していた人は、ぜひ「逆算式」に転換してみてください。勉強の効率がグッと上がって成果につながり、きっと驚くことでしょう。

(参考)
岡野武志 (2021), 『人生逆転最強メソッド 書き込みワークで即体感。やるべき「目標」が見えてくる』, KADOKAWA.
プレジデントオンライン|「高卒フリーターが司法試験合格」独学で導き出した"人生逆転の勉強メソッド"
グロービスキャリアノート|仮説思考を鍛える3つの方法。仕事の効率化と質向上を目指そう
国立研究開発法人 科学技術振興機構|脳画像から「やり抜く力」を予測する手法を開発~目標の細分化が脳を変化させ達成を支援~

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

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