いつも新しいタスクが湧き出てきて、常に何かに追われている感じがする。そんなとき、ありますよね。それはもしかしたら、自分の予定を自分自身で読み切れていないからかもしれません。今抱えているタスクにどれくらいの時間がかかるか自分でわかっていないとか、起きうる “予定外のこと” に全く想像が及ばないとか……。
筆者自身もこれまで、この感覚に陥ることがよくありました。次やることをその場その場で考えているため、思うようにタスクがこなせなかったり、予想通りにスケジュールが進まなかったり。そのせいで、本当に必要な勉強の時間を確保できない、やりたかったはずの運動の時間を取れない、といったことも多かったのです。
そんな状況を改善するため、予想と現実を比べることで時間の使い方がうまくなる効果が期待できるとされる「プロアクティブ・タイムマネジメント」という時間管理術を実践してみました。その所感と、実践するうえでのポイントを伝えていこうと思います。
プロアクティブ・タイムマネジメントとは?
プロアクティブ・タイムマネジメントは、『「先読み力」で人を動かす〜リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント』の著者、村中剛志氏が考えた時間管理術。プロアクティブに、つまり、起きうる出来事を事前に予測しながら、先手先手でスケジュールを管理していくのです。この方法を実践すると、タスク終了までに必要な時間を正確に予想できるようになるほか、急な予定にも余裕を持って対処できるようになるのだといいます。
プロアクティブ・タイムマネジメントでは、自分の予定と実績を比較し、そこにどれくらいの差があったかを逐一確認します。具体的な手順は次のとおりです。
- ノートや手帳を用意し、1日の初めに、その日のわかっている予定を左側に記載する。(村中氏いわく、1日の後半に、急な予定に対応するための予備時間を設けるとよいそうです)
- 右側に実績を記載する。
- 予定と実績を比較し、ズレを確認する。予定に書いたものの先延ばしにしたタスクは青、予定よりも時間がかかったタスクは赤、予想外に発生したタスクは緑の蛍光ペンで、マーキングしていく。
- それを1週間、2週間と続けていく。
- 3で色分けした結果を見て、“自分に足りない能力”を分析する
(画像引用元:STUDY HACKER|いつも時間に追われるのは振り返っていないから。「予定と現実のズレ」が一目瞭然になる時間管理術がすごい。)
プロアクティブ・タイムマネジメントは1日で終わりではありません。何日も続けて実践することで、自分の傾向を見出していきます。
色分けの結果、「先延ばしの青」が多い方は、優先順位を決めるのが苦手な方。「時間超過の赤」が多い方は、作業に対する見積もりが甘い方。「予想外の緑」が多い方は、そもそも予定外のことが起きやすい仕事をしている方になります。
■プロアクティブ・タイムマネジメントについてより詳しい内容は、こちらの記事でもご紹介しています:いつも時間に追われるのは振り返っていないから。「予定と現実のズレ」が一目瞭然になる時間管理術がすごい。
プロアクティブ・タイムマネジメントを1週間やってみた
ここからは、筆者が実際にプロアクティブ・タイムマネジメントをやってみたことの報告へと移ります。
■実践1日目:2019/11/26(火)
前日、この日の予定を書いてから就寝。眠りが浅かったのか、予定より早く目が覚めたため、大学に行くまでにぽっかりできた空き時間に大学の課題を終えることができました。これは予定外のことだったので、緑に塗っています。
一方、夜の友人との食事では予定以上に時間を使ってしまいました。そのため、楽しみにしていたテレビを見ることも、寝る前の読書もできませんでした。
■実践2日目:2019/11/27(水)
この日は、勉強する予定の時間帯に「○○の勉強」というように予定を具体的に書きました。1日目は「勉強」とだけ記載していたのですが、実際その時間になっても何を勉強すればいいのかわかりにくかったためです。
この日は雨が降り、予定していたランニングは中止。その分、夕食後のYouTubeの時間を延ばしてしまいました。そのせいで、夜にやるはずだった「明日の予習」ができませんでした。
■実践3~7日目:2019/11/27(木)~12/02(月)
この5日間の予定は、11月26日の夜に書き上げたものです。何をするかわからない時間が多く、予定が本当に読めなかった欄には「未定」と記載。その時間に未知のことが起きる覚悟をして、当日に臨みました。
28日~1日の3日間は、大学で他学部と短期研究を行なうというイベントが予定されていました。筆者は3日間とも参加する予定で、タイムスケジュールはある程度把握していたものの、実績欄を見ると「予想外の緑だらけ」という結果に。いつ何をするかはそのときの進み具合で全く変わってくるイベントだったため、先の予定になればなるほど、予想外のタスクの量が増えてしまいました。それにより、先延ばしになった予定も多くありました。
1週間やってみて感じたこと
【感想1】予定は具体的に書くと行動しやすい
実践2日目のところにも書きましたが、予定の欄には「勉強」と大きなくくりで書くよりも、「クラス〇〇の講義予習」とか「提出する課題」と書いたほうがわかりやすいと感じました。そうすれば、今必要に迫られている勉強を取りこぼすことがなくなると思います。
【感想2】「先延ばしは1週間以内に解消する」が◎
実践2日目に行なう予定だったランニングは、想定外の雨で中止になってしまいました。そこで、実践3~7日目の中では「最低2日間はいずれかの日でランニングする」と決意。その結果、5日目はランニングを予定通り実行でき、6日目は朝偶然早く目覚めたことで生まれた時間をランニングにあてただけでなく、後ろのスケジュールに余裕を作ることにまで成功しました。
タスクの内容によるとは思いますが、実行日を「1日単位」で厳密に決めるより、「1週間で〇回」というように少し長い目で設定するほうが、臨機応変な対応がしやすいと感じました。また、フレキシブルに対応できるようにするために、筆者は偶然早く目覚めた朝の時間帯を利用しましたが、日々の予定の中に予備時間を設けておくことが大切なのだとわかりました。
【感想3】ダラダラと時間を無駄に費やすことがなくなる
以前の筆者は、大学から帰宅した後の、食事やお風呂、勉強などの行動のタイミングをあまり気にかけたことはありませんでした。ですが、プロアクティブ・タイムマネジメントを実践するようになってからは、時間を気にしながら行動するようになりました。
予定の隣に実績を記録しなければならないのもあって、スケジュール通りに行動しようという意欲が生まれ、夜のうちに済ませないといけない大学のレポートなど、取りかかるのが面倒な課題にも取り組みやすくなりました。
これから何をするかをその場その場で考えていた以前に比べると、ついダラダラしてしまう時間が減りました。プロアクティブ・タイムマネジメントは、時間の浪費を減らす足がかりになると思います。
【感想4】勉強や運動の習慣化にも役立ちそう
プロアクティブ・タイムマネジメントでは、時間がきたら予定のタスクをこなしますし、もし空き時間ができたらあれこれ考えることなく先のタスクを消化できるようになります。ついダラダラ過ごすことがなくなり、時間に余裕が生まれるわけです。
そうして生まれた時間を、資格試験のための勉強や運動などにあてることができるようになるので、勉強や運動を習慣化したい人にもぴったりな時間管理法だと思いました。社会人の方だと、休日に勉強や運動をしたい人は多いと思います。休みの日をダラダラ過ごしているうちにあっという間に夜になり、結局勉強できなかった……なんてことを防げるはずです。
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大学の課題もやらなきゃ、自分の勉強もやらなきゃ、運動もしなきゃ……でやらなければならないことはたくさんあるのに、やることをその場その場でしか考えていなかった筆者。プロアクティブ・タイムマネジメントをやってみると、能動的にスケジュールを管理する意欲が生まれ、実際にサクサク行動できるようになりました。
やることが多い、いつも時間に追われている、本当に必要な時間が確保できない。そんなことでお悩みの方は、ぜひ試してみてください。
(参考)
Study.com|Proactive Employees: Characteristics & Skill Development Video
村中剛志(2008),『「先読み力」で人を動かす ~リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント~ 』, 日本実業出版社.
STUDY HACKER|いつも時間に追われるのは振り返っていないから。「予定と現実のズレ」が一目瞭然になる時間管理術がすごい。
【ライタープロフィール】
渡部泰弘
大阪桐蔭高校出身。テンプル大学で経済学を専攻。外出時は常にPodcastとradikoを愛用するヘビーリスナー。