いい睡眠は、仕事のパフォーマンスを高めるといいます。でも、夜中に目覚めてしまうこともありますよね。その際に、
- やってもさほど問題がないこと
- やってはいけないこと
があるのです。
睡眠を重要視しているにもかかわらず、夜中に目が冴えて焦った経験のあるビジネスパーソンの皆さんが、仕事のパフォーマンスを最大限発揮できるよう、夜中に目覚めたとき、やってもOKなこと/NGなことを明確にしていきましょう。
1.スマートフォンチェックは?
「夜中に目覚めたとき、ついついスマートフォンをチェックしてしまうときがある。睡眠サイクルを乱しているかも。大丈夫だろうか……」
などと、過度に心配しなくても大丈夫ですよ。
ノースウェスタン大学が2018年12月に発表した内容によると、夜中にスマートフォンをのぞいたとしても、概日リズムには長期的な影響を及ぼさないそうです。
わたしたちには体内時計があり、睡眠リズムなどの概日リズムを制御しています。
だからといって、夜中にじっくりスマートフォンを眺める行為は決しておすすめしません。
研究者らは、概日リズムに影響を及ぼさないと示しつつも、ひと晩のスマートフォン活動が、翌日に眠気を感じさせる可能性を説明しています。
したがって、夜中に目覚めた際、
- スマートフォンの通知をちょっとチェックする:【さほど問題なし】
- 眠れるまでスマートフォンをいじる:【やってはいけない】
となります。
2.時間チェックは?
睡眠の専門医で、『Power of When』の著者でもあるマイケル・ブレウス博士は、多くの人が「睡眠不足かも?」と、根拠のない恐怖心を抱いていると説明します。
そのため、夜中に目が覚めるとすぐに時間をチェックし、「あぁ、あと3時間しか寝られない……!」などと、残された睡眠時間をカウントしがちなのだそう。
しかし、それでは余計なストレスが生じてしまうので、結局 “あと少ししか寝られないというストレス” が原因となり、睡眠を妨げてしまうのだそうです。
したがって、夜中に目覚めた際、
- あと何時間眠れるか時間をチェックする:【やってはいけない】
となります。
3.トイレに行っておくのは?
1分間あたりの拍動(心臓の収縮運動)数を “心拍数” といいます。人によって異なりますが、睡眠時の平均心拍数は60だそうです。
ブレウス博士によると、夜中に目覚めたとき、上半身を起こすだけでも心拍数が上昇し、安静時の心拍数が乱されてしまうのだとか。心拍数の上昇は、なかなか眠りにつけない原因でもあります。
再び眠りにつくには、上昇した心拍数を元に戻す必要があるとのこと。
夜中に目覚めたとき、我慢できずトイレに行った場合は、爽快感や安心感が生まれ、心拍数が比較的早く落ち着くかもしれません。
しかし、必要でもないのに「ついでだからトイレに行っておこうかな」などと起き上がって行動することは、ムダに心拍数を上げるので、睡眠を妨げるリスクのほうが大きいのです。
そのため、ブレウス博士は、本当に必要でない限りトイレには行かず、頭を空っぽにしてリラックスするといいとアドバイスしています。
したがって、夜中に目覚めた際、
- ついでだからと急を要さないトイレに立ち上がる:【やってはいけない】
となります。
4.好きな本を読むのは?
ヴァージニア工科大学の歴史学者であるロジャー・エカーク教授によると、少なくとも産業革命前の西ヨーロッパにおける人々は、夜中に1~2時間ほど起きている状態を挟み、前後3時間ずつに分けて眠っていたのだそう。
むしろ、現代人がまとまった時間で睡眠をとることのほうが、“自然” だとは言いきれないとのこと。
そのため、日本大学医学部の内山真主任教授(精神医学)は、夜中に目覚めて眠れないと、暗闇のせいでより不安や警戒心が強まってしまうので、いっそのこと電気をつけて眠くなるまで本を読むなどしたらいい、とアドバイスしています。
ただし、夜中に目覚めた際には推理小説やミステリー小説、好きな漫画や小説などを読むのはおすすめしません。ドキドキする展開や、大好きな気持ちなどが、心拍数を上げてしまうからです。
あえて、ちょっと難しいけれど少しずつ読み進めている本や、仕事で読むべき本などを読み、眠気を誘うようにするといいでしょう。
したがって、夜中に目覚めた際、
- 難しい本や、仕事で読むべき本を読む:【さほど問題なし】
- 推理小説やミステリー小説、好きな漫画や小説などを読む:【やってはいけない】
となります。
夜中に目覚めたとき:まとめ
以上をまとめると、
【夜中に目覚めた際、やってもさほど問題ないこと】
- スマートフォンの通知をちょっとチェックする
- 難しい本や、仕事で読むべき本を読む
【夜中に目覚めた際、やってはいけないこと】
- 眠れるまでスマートフォンをいじる
- あと何時間眠れるか時間をチェックする
- ついでだからと急を要さないトイレに立ち上がる
- 推理小説やミステリー小説、好きな漫画や小説などを読む
となります。
***
睡眠不足になると、アルコール摂取時と同じくらい脳の機能が落ちてしまうのだとか。集中力・注意力・判断力など、ビジネスに必要な能力のほとんどが低下するそうです。 そうならないためにも、夜中に目覚めたときに「やっていいこと・悪いこと」を把握しておきましょう。
また、「眠らなきゃ!」と自分を “追い込まない” ことも大切です。どうか、気持ちを楽にしてくださいね。
(参考)
STUDY HACKER|仕事が出来る人の特徴14選&仕事が出来る人になる方法4つ
Medical News | Medical Articles|Checking your phone at night does not affect your body clock
bioRxiv|Distinct ipRGC subpopulations mediate light’s acute and circadian effects on body temperature and sleep
Cosmopolitan UK|Here's how to get back to sleep if you wake up in the middle of the night
e-ヘルスネット 情報提供|概日リズム睡眠障害
日本経済新聞|夜中の目覚め「過度の心配は無用」
Sleep Styles|【完全マニュアル】夜眠れないときに試したい、3分で眠くなる6つの方法
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。