方眼ノートにたった3つ “これ” を書く。それだけで意欲ゼロ状態を抜け出せる理由

筆者が書いた「できたこと日記」

仕事に自信がもてず、活力も出ない。このままじゃ、いろんなことがダメになってしまいそう……。

そう感じるのは、日々の小さな成功体験に意識が向いていないからかもしれません。方眼ノートで「できたこと日記」をつけ始めることで、いい方向に舵を切れるはず。さっそく説明しましょう。

「できない」ばかり見ていると……

自分の失敗を悔み「ああしなければよかったのに」「あんなことを言わなければよかったのに」などと考え続けることを “反芻” といいます。臨床心理士から作家に転身したアリス・ボーイズ博士によると、反芻の連続は問題解決力の低下を引き起こし、不安や抑うつにまでつながってしまうのだとか。

また、企業の人材育成プログラムを手がけるネットマン代表取締役社長の永谷研一氏によると、私たちの脳はもともと “欠けている部分” に目が行きがちなのだそうです。だから、ついつい他者と比べては「あの人にはあるのに、自分にはない」「あの人はできるのに、自分にはできない」などと悩んでしまうのだとか。

そんなふうに “できなかったこと” ばかりを考えていると、自己否定しがちになり、自分の本当の望みにフタをしてしまうと永谷氏は言います。

前向きな姿勢を保てず、希望や挑戦する気持ちまで閉ざしてしまったビジネスパーソン

いわば自分の意欲の根源を封じ込めるようなもの。それでは成長できませんよね……。

「できたこと」に意識を向けるコツ

そうしたなか永谷氏は、自分が「できたこと」に目を向けるようになれば、「もっと自分にできることはないか?」と考えるようになり、成長につながっていくと述べます。

じつは、意外と自分ができたことは日々たくさんあるものなんですよ。ビジネス書作家・コラムニストの後田良輔氏は、細分化された体験のなかに “何かを成し遂げたこと” が隠れているはずだと説きます。

たとえば、いつも通りに自宅を掃除しているとき、ずっと置きっぱなしだった本を、ただ本棚に収めただけでも――あるいは整理しようと思いながら放置していたパソコンのデスクトップの1データを、やっと保管場所に移動しただけでも、小さな “成し遂げたこと” になるからです。

次の言葉を残した、偉人の思考法にならうのもおすすめです。

「私は失敗したことがない。1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」

(引用元:リクナビNEXTジャーナル|ネガティブ思考はこう断ち切る!成功者に学ぶネガティブ思考の切り替え方とは?

これは、発明王で知られるトーマス・エジソンの言葉。エジソンは1万回失敗しても、「うまくいかない進め方をたくさん発見できた」と考えました。一見すると屁理屈のようですが、違う視点で、客観的に物事をとらえているとも言えます。

身近な例を挙げると、たとえばプレゼンを失敗したときには、「やってはいけないプレゼンを特定できた」と考える――といった具合。そうすれば「失敗したのに前向きになれた」という発見もできるはず。こうして日々の「できたこと」は膨らんでいき、小さな成功体験が増えていくわけです。

自分が「できたこと」に目を向けることができ、「もっと自分にできることはないか?」と考え始め、成長を加速し始めているビジネスパーソン

「できたこと」ノートとは

つまり、大切なのは、日々のなかに何かしらある小さな成功体験に気づくこと。その際には永谷氏の「できたことノート」が役立つはずです。

永谷式「できたことノート」には、初めてできたことや、普段の行動でも “よりよくできたこと” を書くそうです。たとえばいつもの隣人への挨拶を、いつもより元気に挨拶できたらそれが「できたこと」になります。どんなに些細な内容でもいいとのこと。

手順としては、まず6日間(たとえば月~土曜日)で日々の小さな「できたこと」を書き出します。そのあと週に1回(たとえば日曜日に)振り返ることで、成長のカギが見つかるとのこと。

ただし、「きっと〇〇のはず」といった想像はNGなのだとか。どんなに些細でも実際の成功体験に目を向けることが大事なのですね。

では、さっそく実践してみましょう。

「できたこと日記」を始めたビジネスパーソン

方眼ノートに「できたこと日記」を書いてみる

今回筆者は方眼ノートを使って書くことにしました。マス目のおかげで文字が整って見えるため、書くたびに小さな成功体験を得られそうだからです。それに、マス目に沿ってきれいに書ける方眼ノートは、気持ちを落ち着かせてくれるのだとか(順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏の言葉より)。

なおかつ縦にも横にも線を引きやすいので、その特性を活かしてブロック状のフォーマットにすれば、ゲーム感覚で楽しく習慣化できるのではないかと考えました。具体的には縦3分割、横6分割で、片頁に18マスつくります。横一列を1日ぶんとし、そのなかに「できたこと」を書いていくわけです。もう片頁には線を引かず、振り返りを書いていきます(下写真の方眼ノートは5mm方眼罫 6号サイズ)。

線だけ引いた「できたこと日記」の実践画像

筆者はこれを、日記のような感覚で「できたこと日記」として書くことに。では、筆者の実践報告を交えながら、ステップごとに詳しく説明していきましょう。

◎STEP1:「できたこと」を毎日3つ書き出す

1週間のうち6日間は、毎日寝る前の3分間で、今日の「できたこと」を3つ書き出します。ただし、3つ書けない日があってもいいとのこと。

たとえば「誰かに感謝された」など人からの反応、「30分早く起きられた」など数字で表せる行動(達成感を得られる)、「今日はゆったりと休日を過ごせた」などハッピーな気分をともなう体験から「できたこと」を見つけるといいそうです。加えて筆者の場合は、先述のエジソン式でまったく違う方向からも物事をとらえてみます。

筆者が書いた「できたこと日記」。まずは6日間ぶん

ある1日の「できたこと」を挙げてみましょう。

<2021年12月10日 金曜日>
  • 5分遅く起きたら、少しでも早く起きたほうがハッピーになれると気づけた!!
  • コラムの加筆修正がスムーズにできた!!
  • 踏切で高齢者を誘導したら、ほかの人も協力してくれてみなで助けられた!!

じつは1番めの「5分遅く起きた――」はエジソン式です。前日は10分早く起きられて気分がよかったものの、この日はほんの少々寝坊……。そこで「今日はできなかった」とネガティブになるのではなく、「少しでも早く起きたほうがハッピーだと気づけた」ことに意識を向けました。「また早く起きよう」と思えたので、成功かもしれません。

◎STEP2:「できたこと」を振り返る

週に1回、10分ほどは、6日間で書き出した「できたこと」を次のように振り返ります。特に気になった「できたこと」を掘り下げてみると、自分が何を大切にしているのかわかり、“ありたい自分” が見えてくるとのこと。

  • 今週のベストは?
  • 具体的には?(詳細)
  • なぜそうなった? 隠れた目的は?(分析)
  • どう感じている?(感情)
  • 明日からどう工夫する?(次につなげる行動)

筆者が書いた「できたこと日記」。振り返りも書いたもの

この週は、横断歩道や踏切で高齢者を助けた日が3回もありました。親の介護経験があるので、危なげな高齢者を放っておけないことはわかっていましたが、そのことを掘り下げたのは初めてです。おかげで自分は何もしないで後悔したくないのだと気づけました

なおかつその気づきを、「地域で協力し合える福祉を考え実行したい」などと次の行動につなげていこうと思えたのは、自信がもてたせいかもしれません。「できたこと」を書き続けたせいですね。

ちなみに方眼ノートによるブロック形式は大成功でした。楽しいというより「この小さなブロック内に書けばいい」と思えたので、毎日続けることが苦になりませんでしたよ。おすすめです!

***
永谷氏は「新しい習慣が3カ月以上続くと、目標達成度が約2.5倍上がる」という調査結果を挙げ、まずは3週間、それから3カ月を目指して続けてみるようすすめています。ぜひお試しください。

(参考)
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|過去の失敗で自分を責め続けるのをやめる方法 もう現実と理想のギャップに苦しまない
リクナビNEXTジャーナル|ネガティブ思考はこう断ち切る!成功者に学ぶネガティブ思考の切り替え方とは?
日経xwoman|「できたことノート」を始めよう【日経WOMAN18年6月号】
@DIME アットダイム|手帳やノートが乱雑な人は自律神経が乱れ気味?

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