「スマホ依存をやめたい」
「スマホの使用時間がやばい……」
そんなふうに思っていませんか? 1日3時間以上もスマートフォンを使う人は珍しくありません。
筆者自身、最近まで平均4時間ほどスマートフォンに費やしていました。8時間を超える日すらあったほどです。
たいした目的もないのに、スマートフォンをだらだら使って時間を無駄にしている現状。焦りを感じつつ、不安をまぎらわすためにスマートフォンをいじり続ける……。
こんな悪循環にはまっていませんか?
1日の使用時間を少し減らすだけでも、積み重なれば莫大な時間が生まれます。その時間で何がしたいですか?
筆者は、1日の使用時間を2時間以上減らし、以前の半分以下にできました。「スマホ依存をやめたい……」というあなたに、筆者の「スマホ断ち」レポートをお届けします。
スマホに依存してしまう理由
「スマホ依存をやめたい」とまで思うのに、なぜスマートフォンに依存してしまうのでしょうか。じつは、「ドーパミン」という脳内物質が関係しているんです。
「この先に何かありそう」「新しいことを知りたい!」と感じると、脳はドーパミンを分泌し、探求を促します。探求の先に発見があったとき、快楽を感じさせる物質「オピオイド」が分泌されるのです。
WebサイトやSNSには、いつも新しい情報があふれていますよね。スマートフォンを使っていると「もっと知りたい!」「へえ、知らなかった!」が尽きません。
ドーパミンとオピオイドの分泌が止まらず、スマートフォンに釘付けになってしまうのです。「スマホ依存をやめたい」と思ったなら、そんなループから抜け出すしかありません。
スマホ依存をやめたい筆者がやったこと
スマホ依存をやめたい……そう思った筆者が試した「スマホをやめる方法」をご覧ください。
スマホを遠くに置く
SNS開発やマーケティングに携わった小山竜央氏は、著書『スマホの5分で人生は変わる』でこう語りました。
いくら大量にドーパミンが出る対象が存在しても、アクセスがしにくいのであれば、たいていの人は依存にまでは至りません。依存は、それが簡単にアクセスできる環境があってこそのものなのです。
(引用元:小山竜央(2016),『スマホの5分で人生は変わる』, KADOKAWA. 太字による強調は編集部が施した)
簡単に持ち運べ、いつでもどこでも使えるからこそ、スマートフォンに依存してしまうのです。逆に考えると、「いつでもどこでも使えない」ようにすれば、依存を脱却できるはず。
筆者はこれまで、外出中はスマートフォンをポケットに入れ、自宅ではベッドの近くに置いていました。いつでも触れるようにです。
しかし、できるだけスマホを使わないようにすると決めたのです。外出中はカバンに入れ、自宅では玄関に置くことにしました。
アプリを消す
スマートフォン依存の背景にあるのは、ドーパミン。ドーパミンの発生源を断てば、依存はなくなるはず。
そう考えた筆者は、スマートフォンからTwitterとInstagramをアンインストールしました。SNSアプリがあると、「誰かが何かおもしろい投稿をしてないかな?」「新しい動画が公開されてないかな?」など、「探求」が促されてしまうからです。
連絡に必要なLINEは残したものの、プッシュ通知はオフにしました。さらに、アプリのアイコンを、ホーム画面のなかでも遠い位置に移動。
用事があってスマートフォンを手に取ったとき、LINEの存在を思い出さないようにしたのです。スマホをやめるには、やはりアプリの存在を消すのがいいのではないでしょうか。
スイッチング
習慣化コンサルタントの古川武士氏は、悪い習慣を止める方法として「スイッチング」を提唱しています。悪い習慣から得ているメリットを、ほかの方法で得られるようにするのです。
筆者は、スマートフォンのメリットを考え、代わりの手段を次のように決めました。
- 退屈をしのげる→小説や音楽
- 時刻を確認できる→腕時計
- カードを収納できる→パスケース
- 調べ物ができる→パソコン
筆者がとった方法は。これらのとおりです。さて、「スマホ依存をやめたい」という願いは叶ったのでしょうか……。
スマホ断ちの成果
「スマホ依存をやめたい」という願いは実現に近づきました。
1日の平均使用時間は、1時間34分。以前に比べ、半分以下に減ったのです。スマホ断ちに成功した結果、こんないいこともありました。
集中力が増した
いままでは、本を読んでも内容が頭に入らず、すぐやめてしまっていました。映画を観ている最中にSNSが気になってしまうことも。
しかし、スマホ断ちに挑戦したあとは、長時間の読書が苦でなくなりました。内容が頭に入りやすくなったと感じます。
スマホ依存をやめたことで、集中力が増したのではないでしょうか。
睡眠の質が上がった
スマホ断ちによって、以前より確実に寝つきがよくなり、目覚めが快適になりました。目を開けた瞬間の、どんよりしたまぶたの重さが軽くなり、「ダルい……体が重い……」と感じなくなったんです。
精神科医の古賀良彦氏によれば、スマートフォンから出るブルーライトを就寝前に浴びると、睡眠を促す脳内物質「メラトニン」が抑制されるため、眠れなくなるそう。スマホ断ちにより、ブルーライトを浴びにくくなっただけでなく、だらだらとスマートフォンをいじり続けなくなったことで睡眠時間が増えたのでしょう。
無自覚にスマホを手にしていたと気づけた
スマートフォンを遠ざけたことで、使うときはわざわざカバンを開けたり、玄関に向かったりしないといけなくなりました。そのため、「いま自分はスマホを使おうとしている」と意識するようになったんです。
自覚が生まれたことで、「やっぱり使わなくてもいいや」と思い留まることが多くありました。以前はどれだけ無自覚に使っていたのかと思うと、ゾッとします。
スマホがなくても用が片づくようになった
時刻やスケジュールの確認は、腕時計や手帳で十分です。わざわざスマートフォンを使う必要はありませんでした。
「スマホでなくてもできること」を、スマートフォンを使わず済ますようになったわけです。
すると、スマートフォンを使おうとしたとき、「わざわざスマホを手に取るようなことか?」と立ち止まるクセがつきました。そして、「絶対にスマホでなければできないこと」は少ない、と気づけたのです。
自分と向き合えるようになった
落ち込んだり腹が立ったりしたときは、スマートフォンをいじることで気をまぎらわしていました。しかし、スマホ断ちによってそれができなくなります。
すると、自分の気持ちにじっくり向き合うようになりました。冷静に問題をとらえられたり、たいした問題ではなかったように思えたり……。
いままで見えなかったことが、見えてくるようになったんです。
SNSを目にしないことも、心を落ち着けてくれました。「青少年とインターネットについて考える会」代表の加藤千枝氏による研究でも明らかにされていることです。
SNSで他人の投稿を目にすると、「この愚痴って私のこと?」「この人の考え、イヤだなぁ」などとあれこれ考えてしまい、精神的疲労につながる恐れがあるそうですよ。
「スマホ依存をやめたい!」と思い立ち、スマホ断ちを実行してみた結果、筆者にはこんなにもいいことが起こったんです。
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筆者がスマホ断ちに挑戦した記録をご覧いただきました。
使用時間が減ったとはいえ、ムダな利用を完全になくしたわけではありません。「スマホを見ない生活」という理想を実現するのは難しいでしょう。
ですが筆者は、今後もこの方法を続けるつもりです。この記事が、「スマホ依存をやめたい!」というあなたの役に立つなら、これほど嬉しいことはありません。
(参考)
MMD研究所|2018年版:スマートフォン利用者実態調査
PHPオンライン衆知|「やめられない」悪習慣を断ち切るコツとは?
小山竜央(2016),『スマホの5分で人生は変わる』, KADOKAWA.
加藤千枝(2013),「『SNS疲れ』に繋がるネガティブ経験の実態 一 高校生15名への面接結果に基づいて」, 社会情報学, 第2巻, 1号, pp.31-43.
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【ライタープロフィール】
梅野凌矢
東京大学工学部所属。鹿児島県立鶴丸高等学校出身。大学では人間の認知システムを中心に勉強中。大学の吹奏楽団体に所属していて、担当はホルン。趣味は音楽ゲーム、読書など。Perfumeがとても好き。