ビジネス書ビギナーがいきなり「名著」に手を出してはいけない理由。

「ビジネス書ビギナーが読むべき本」永井孝尚さんインタビュー01

ビジネスパーソンとして成長するためにも、もっと本を読まなければ――。そう思いながらも、書店に並ぶ膨大な数の本のなかから「どんな本を読めばいいのかわからない」という人もいるでしょう。

そこでお話を聞いたのは、マーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚(ながい・たかひさ)さん。著書『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)が注目を集める、「ビジネス書選びのプロ」でもあります。

今回は、それぞれに悩みを抱える若手ビジネスパーソン3人に向けて、永井さんからおすすめのビジネス書を紹介してもらうというかたちの短期連載企画としてお送りします。ひとり目のお悩みは……?

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

 

お悩み
ベンチャー企業に勤務する社会人1年目の新人です。読書習慣がまったくないことを上司に知られ、「もっと本を読んだほうがいいよ」といわれました。でも、書店に足を運んでみたものの、ビジネス書や自己啓発本がありすぎて、どれを選べばいいのか途方に暮れてしまい……。できれば、多くの先輩ビジネスパーソンたちが読んできた “名著” を読んでみたいと思います。わたしのような新人が読むべき本はあるでしょうか?

ビジネス書慣れしていない人は「名著」に手を出してはいけない

さっそくで申し訳ないですが、ビジネス書をほとんど読んだことがないという人が、いきなり「名著」に手を出すことはおすすめしません。というのも、世界的な名著と呼ばれる本には、600ページにも及ぶようなものもあったり専門用語ばかりだったりと、中堅ビジネスパーソンにとってもなかなかハードルが高いものが多いからです。

そもそも、何を読めばいいのかわからないわけですよね? それであれば、まずは自分の仕事に関連するビジネスのカテゴリーについて「広く浅くカバーしている」ような本がおすすめです。

たとえば、「マーケティング」のカテゴリーであれば、わたしの本で恐縮ですが、『100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA / 中経出版)と『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』(SBクリエイティブ)。

100円のコーラを1000円で売る方法

100円のコーラを1000円で売る方法

 
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
 

マーケティングに対して苦手意識がある人は、「マーケティング」という言葉を見るだけでアレルギー反応を示すものです。ですから、これらの本ではマーケティングという言葉を使わずに、マーケティングのキモをわかりやすく解説しました。そして、巻末には参考文献を載せています。

わたしの本を入り口にしてもらって、興味を持った内容があれば、参考文献にあたって知識を深めてほしいですね。

実務に生かせるストーリー仕立ての本もおすすめ

それから、「会計」のカテゴリーなら『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉/光文社)がいいですね。少し古い本になりますが、150万部を超えるミリオンセラーですから、名前を聞いたことがないという人はほとんどいないでしょう。

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

 

この本は、会計のわかりにくい概念をとてもわかりやすく解説しています。たとえば、キャッシュフローの考え方なら、誰もが経験のある「飲み屋での割り勘」のシーンを使って「要は手持ちのキャッシュの流れのことですよ」と解説する、という具合です。

ただ、この本は「その後の仕事にどう生かすか」というところまで踏み込んでいなくてミニ知識で終わっていることには注意が必要。会計とはどういうものかと理解するためのものと割り切って読み、もし仕事で会計が必要ならば、実際の仕事に生かすための具体的な方法を別の本で学ぶ必要があるでしょう。

そういう意味では、いわゆる理論書ではなく、「実務に応じてストーリー形式で書いている」ような本を読むのもいいかもしれません。わたしの『100円のコーラを1000円で売る方法』もそういうタイプの本です。ある会社でどういうかたちで商品を開発してマーケティング戦略の考え方を使うのかという内容をストーリー仕立てにしました。漫画版も出版されていますから、ビジネス書ビギナーの人でもとっつきやすいと思いますよ。

「ビジネス書ビギナーが読むべき本」永井孝尚さんインタビュー02

本を読むことは自分の貴重な時間を投資すること

わたしが『100円のコーラを1000円で売る方法』を出した2011年以降、さまざまなビジネスのカテゴリーにおいて初心者向けにわかりやすく書いている本が出版されるようになりました。先に紹介したマーケティング、会計のほかにも、人事施策など、いまではだいたいのカテゴリーを網羅していると思います。

ただ、注意してほしいのは、「一見、易しそうに見えるが、読んでみるとじつは難しい」という本も意外に多いということ。漫画形式なのに、使っている言葉は専門用語だらけ……という本も少なくないのです。

ですから、まずは書店に行ってパラパラと試し読みしてみて、「これならわかりやすそうだ」「自分に合いそうだ」と思った本を購入するようにしましょう。それでも途中で難しく感じたら、もうその先は読まなくてもいい。他にもそういうたぐいの本はたくさんありますから、今度は別の本にチャレンジすればいいのです。

ビジネス書を読むときはしっかりと「目的」を意識することが大切です。なかには「読むこと」が目的になっている人もいますが、そういう読み方では字面だけを追って頭にはなにも残らないということが多いものです。「この本からはこういうことを学びたい」という目的をきちんと意識しましょう

ビジネス書を読む目的は、自分のビジネススキルを上げるためにほかなりません。読書は自分の時間の投資でもあります。その投資のリターンをきちんと得られなければ、自分の貴重な時間を無駄にすることになるのですから。

「ビジネス書ビギナーが読むべき本」永井孝尚さんインタビュー03

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世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた

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【プロフィール】
永井孝尚(ながい・たかひさ)
1962年、神奈川県出身。マーケティング戦略コンサルタント。ウォンツアンドバリュー株式会社代表。1984年、慶應義塾大学工学部計測工学科(現・理工学部物理情報工学科)を卒業し、日本アイ・ビー・エムに入社。1991年、IBM大和研究所の製品プランナー、製品開発マネージャーに就任。1998年、戦略マーケティングマネージャーとなり、CRMソリューション、ソフトウェア事業部などの事業戦略と実施を担当。2012年にはソフトウェア事業部人材育成部長に就任し、人材育成戦略立案と実施を担当。2013年、日本アイ・ビー・エムを退社し、ウォンツアンドバリューの代表に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングを伝えるプロとして、幅広い企業や団体を対象に講演やワークショップ研修を実施。他に書籍の執筆、メディア出演等を通じて多くの人にマーケティングの面白さを伝え続けている。代表的な著書にシリーズ60万部の『100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA/中経出版)、10万部の『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』(SBクリエイティブ)がある。その他、『時間がなくても有名ギャラリーで写真展を開催する方法』(日本写真企画)、『なんで、その価格で売れちゃうの? 行動経済学でわかる「値づけの科学」』(PHP研究所)、『売れる仕組みをどう作るか トルネード式仮説検証(PDCA)』(幻冬舎)、『「あなた」という商品を高く売る方法 キャリア戦略をマーケティングから考える』(NHK出版)、『残業ゼロを実現する「朝30分で片づける」仕事術』(KADOKAWA)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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