あなたの幸福度は「習慣」で決まる――自ら主導権を握り最高習慣を手に入れよ

古川武士さん「幸福感を高める習慣」01

みなさんは幸せになりたいですか? そんな質問をすれば、「NO」と答える人はいないでしょう。では、どうすれば幸せになれるのでしょうか。

新刊『習慣化のプロが教える 幸福感を高める7つの小さな習慣』(プレジデント社)が好評の習慣化コンサルタントの古川武士(ふるかわ・たけし)さんは、幸福感を高める習慣のなかでも「決まった時間に起きる」ことを強くすすめています。それによりもたらされる最大の効果は、人生の「主導権」を握れることなのだそう。

構成/岩川悟・清家茂樹 古川さん写真/玉井美世子

ポジティブ心理学の幸福の公式から考える習慣化

習慣化が人生を変える――。

私はよく、そのように提唱しています。ここでは、ポジティブ心理学の「幸福の公式」をベースに幸せと習慣化について解説したいと思います。

ギリシャの哲学者・アリストテレスは、「人生の目的は幸せ(幸福)になることである」という言葉を残しています。

では、幸せになるにはどうすればいいのでしょうか? お金持ちになれば、あるいは出世して名誉を得れば幸せになると言えるでしょうか? 幸せとは、とても定義が難しいものです。

そこで注目したいのが、心理学の新しい領域であるポジティブ心理学と呼ばれる分野です。これは、心理学を心の病の治療ではなく、より豊かさを高めるために使っていこうというもの。この分野の第一人者である、ソニア・リュボミアスキー、エド・ディーナー、マーティン・セリグマンの3人の研究者が研究開発したものが、次のような「幸福の公式」です。

古川武士さん「幸福感を高める習慣」02

「規定値(S)」とは、物事の考え方でありとらえ方を指します。たとえば、半分まで水が入っているコップを見たときに、「水が半分も入っている」ととらえるか、「水が半分しか入っていない」ととらえるかといったこと。事実は同じでも、解釈の違いで感情とその後の行動は変わってきます。この公式によれば、事実をどう解釈するかで幸福度の40%が左右されるというのです。

次の「生活状態(C)」とは、日々における出来事を指します。それこそ幸福度を大きく左右しそうなものですが、この公式によれば、出来事が幸福度に与える影響度はわずか10%。というのも、一時的になにかが起きても、感情は一瞬上がったり下がったりするだけで、長続きしないからです。

たとえば、出世して給与が上がってもその幸福を長く味わえるわけではありませんし、会社が倒産したり病気になったりして一時的には感情が下がっても、その感情も長続きしません。なぜなら、先にお伝えした「既定値」がポジティブな人は、結局物事のポジティブな面を見るし、ネガティブな人はネガティブな面を見るからです。

古川武士さん「幸福感を高める習慣」03

幸福感を大きく左右する「自発的活動」

最後の「自発的活動(V)」とは、「自分で選んだ感覚をもって行なう活動」のことを指します。人生や生活のなかでどれだけ自分で選んだ活動をしているか、もしくは自分で選んだという感覚をもって生きているかというものです。

休日に夜ふかしをして、翌朝10時に目を覚まし、ダラダラとテレビを観てぼーっと過ごしてしまう。その日はなにも予定していなかったので、無計画に過ごしてしまって貴重な休日が終わっていく……という1日を想像してみてください。その場の気分に流されて自己コントロールができず規律がない状態では、心の豊かさ、すなわち幸福度は下がります

多くの人が早起きをしようと心がけるのは、早起きが自己コントロール感や主導権を握るものとして自発的に取り組む活動だからではないでしょうか。「自分で決めた時間に起きる!」というルールを守ることは自発的な活動であり、会社の出社時間に間に合うように「起こされる」というのは他動的な活動になります。この自発的活動が幸福度に与える影響度は、なんと50%もあるのです。

自発的活動には、行動の習慣、生活の習慣、働き方の習慣が影響を与えます。なんとなくの気分やまわりに振り回されてコントロールを失うのか、あるいは自分で悪い習慣を手放していい習慣を身につけるのか――。習慣によって成り立つ自発的活動こそが幸福度を最も大きく左右するのです。

古川武士さん「幸福感を高める習慣」04

決めた時間に起きることで、人生の「主導権」を握る

私は「幸福感を高める習慣」として、自分で決めた時間に起床することをすすめています。その最も大きな意義は、「自分が主導権を握る」という点にあります。幸福感を高めるひとつの鍵は、主導権を他者に握られるのではなく自分が握ることだと私は考えているのです。

ひとつ例を挙げましょう。「幸福の公式」の自発的活動ととらえてみるとわかりやすいでしょう。みなさんの仕事の始業時間が9時だとします。多くの人は、始業時間から逆算して、「9時に仕事を始めるには、8時には家を出ないといけない」「8時に家を出るには、7時には起きなければならない」というふうに、会社の都合に合わせて起床時間や生活リズムを決めるものでしょう。

でも、それでは会社という他者に主導権を握られた状態で1日がスタートしてしまいます。他者に主導権を握られていると、幸福感が上がりにくいということは容易に想像できますよね。

たとえば、相手の立場が上という関係にある取引先があるとします。主導権を握っているのは、間違いなく相手です。そんな取引先との仕事で、相手の無茶な要望に振り回されて辟易してしまったというような経験は、ほとんどの社会人にあるはずです。そんな仕事に対して、「楽しい」とか、まして「幸せだ」とはなかなか感じられないでしょう。

起床時間を自分ではなく会社など他者に決めさせることは、わざわざ自分から主導権を他者に渡し、自らの幸福感を下げているようなもの。

ただ早起きをすればいいというわけではありません。大切となるのは、「他者に決められた」ではなく、「自分で決めた」という意識をもつことです。たとえ同じ7時に起きるのであっても、「自分で決めた」という意識をもってさえいればいいのです。

そうすれば、きちんと主導権を握って1日をスタートできます。そして、同じ仕事をするにも、「他者にやらされる」のではなく「自分がやるんだ!」という気持ちで臨みましょう。もちろん充実感や幸福感をより強く味わえるのは後者です。

古川武士さん「幸福感を高める習慣」05

朝イチのメールチェックは我慢しよう

この思考が有効になるのは、起床時間に限った話ではありません。たとえば、 「仕事のスタート時点でなにをするか」ということにも適用できます。

みなさんは朝、出勤したときにどんな仕事から始めますか? 多くの人が、当たり前のように「メールのチェック」から始めているのではないでしょうか。でも、朝のメール業務の多くは、返信作業でしょう。それは、外からきたものに対して反応的に進める仕事です。つまり、メール業務から仕事を始めることは、取引先の担当者などメールの送信者に朝一番から主導権を渡してしまうことになるのです。

そういうかたちで仕事を始めてしまうと、計画した優先順位の高い仕事はあと回しになり、主導権を他者に握られたままに進めてしまいがち。受身的に時間を使うことで、充実感や幸福感を味わいにくくなるだけでなく、仕事で成果を出すのも難しくなるでしょう。

そもそも、出勤した直後の朝は、睡眠を経たばかりで脳も体も一番フレッシュな時間帯です。そんな貴重な時間を、不要不急のメール業務などに割いてしまっては、より重要度の高い仕事に取りかかるときに脳と体のエネルギーが不足するということにもなりかねません。そうなってしまえば、仕事で成果を出すことも難しくなります。

そして、仕事で成果を出せなければ、仕事から得られる充実感は薄れ、本当だったらできるはずの出世ができないかもしれない。また、手に入れられたはずの収入を得られないことだってあるでしょう。

それでは、自ら幸せを手放しているようなものだと思いませんか?

そうならないために、自分で決めた時間に起きる。そして、朝イチの業務は、メール対応ではなく、本当に「今日やるべき」と感じる重要な業務から行なってください。「人生の主導権」を常に握るようにしましょう。

古川武士さん「幸福感を高める習慣」06

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勉強をするため、あるいはランニングやウォーキングをするために早起きを習慣化したいと考えている人もいることでしょう。でも、自分が決めた時間に起きるという行為は、ただ時間をつくるためのものではないようです。自分が決めた時間に起きて人生の「主導権」を握れば、幸せにどんどん近づいていきます。そのうえ、勉強や運動ができるのですから、早起きを習慣化しない手はありません。

※今コラムは、古川武士 著『習慣化のプロが教える 幸福感を高める7つの小さな習慣』(プレジデント社)をアレンジしたものです。

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習慣化のプロが教える 幸福感を高める7つの小さな習慣
古川武士 著
プレジデント社(2020)

古川武士さん『幸福感を高める7つの小さな習慣』

【プロフィール】
古川武士(ふるかわ・たけし)
習慣化コンサルティング株式会社代表取締役。1977年、大阪府に生まれる。関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。約5万人のビジネスパーソンの育成と1万人以上の個人コンサルティングの経験から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。オリジナルの習慣化理論・技術を基に、個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援の事業を開始。2016年には中国で6000人規模の習慣化講演を行い、本格的に海外進出をはじめる。著書は現在21冊、累計95万部を超え、中国・韓国・台湾・ベトナム・タイなど海外でも広く翻訳され読まれている。

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