「今日から毎日運動をしよう!」
「月に5冊は本を読もう!」
「勉強を習慣にするぞ!」
こんなふうに決意したものの、2~3日で面倒になり、いつの間にか自然消滅してしまう……。そんな「三日坊主」の自分に嫌気が差している人も多いのではないでしょうか。
「継続」というと、意志の強さや精神力に左右されるものに思えてしまいますが、じつはそれだけではありません。新しい習慣を身につけるためには、いくつかのコツが存在するのです。
今回は、物事が長続きしない4つの “致命的な理由” とともに、その改善策を詳しくご紹介します。
【致命的な理由1】時間と場所を決めていない
メンタリストのDaiGo氏によると、新たな習慣を身につけたいときには、「いつやるか」「どこでやるか」をなるべく固定するのがいいのだそう。
たとえば、読書を習慣にしたいのならば、「朝7時から8時まで、駅前のドトールコーヒーで読むことにする」など、いつも一定の時間、一定の場所で行なうようにします。そうすると、「朝7時のドトール」の席に座りさえすれば、それが「読書」という行動のキッカケになってくれるのです。
逆にいえば、時間や場所がバラバラだと、行動のパターンがいつまでも定着しないということ。「次は何をしようか?」「どこで読もうか?」などと判断する労力も、その都度かかってしまいます。
DaiGo氏によると、なるべくならば「ドトールでは読書以外やらない」「家のテーブルでは英語の勉強しかしない」という具合に、それぞれの習慣に対して「専用の場所」をつくるのが理想とのこと。家がワンルームでそれほど場所がないという場合にも、テーブルに座る向きを変えたり、座る場所を変えたりすれば、対応できそうですね。
【致命的な理由2】一度に多くの習慣を身につけようとしている
DaiGo氏によれば、新たな習慣を身につけるには、多くの意思決定能力(ウィルパワー)を消費するのだそう。しかし、このウィルパワーには1日に使える限度があります。そのため、一度に多くの習慣をつけようとすると、ウィルパワーが足りなくなり、破綻してしまうのです。
したがって、習慣はひとつずつ身につけていくのが鉄則。「読書も運動も英語勉強も一気に習慣にしたい!」と欲張りすぎるのはNGですよ。
「ひとつの習慣が定着するまでには66日間かかる」という説もあります。たとえば、読書が66日間続いて「もう充分に定着したな」と思ったら、その次にランニングを始めてみる。ランニングが定着したら、語学を始めてみる。こんな具合に、ひとつの習慣が完成してから次の習慣を加えるという形にすると、失敗する確率が大きく減るのです。
【致命的な理由3】目標や成果を「見える化」できていない
新しい習慣をつくろうと思ったら、当然それをやるための時間が必要になります。つまり、生活習慣そのものも変えていく必要があるということ。生活習慣を改善したいと思った場合には、まずは「現状の生活習慣」と「理想の生活習慣」をタイムテーブルの形で書き出し、並べてみましょう。
習慣化コンサルティング株式会社代表の古川武士氏によると、こうすることで「現状ではどこに無駄な時間があるのか?」「理想とする生活習慣には無理がないか?」「理想に近づくためにはどう改善していけばいいか?」といったことが可視化され、より客観的に自分を見ることができるようになるとのこと。
たとえば、帰宅後にテレビやネットを観ながら長時間ダラダラしてしまっていることや、往復2時間もの通勤時間が毎日ムダになっていることなど、書き出してみて初めて見えてくる部分もたくさんあるでしょう。
一方で、理想として「1日最低2時間は勉強にあてたい」ということを掲げたとすれば、現状と理想とのギャップが大きく可視化されることに。すると、「せめてダラダラタイムは1時間に留めよう」「通勤時間になんとか勉強できないか?」と、建設的な改善案が浮かんできやすくなります。
加えて、日本体育協会公認アスレティックトレーナーの西村典子氏によると、習慣を継続するには、予定だけでなく「今まで達成できたこと」も記録しておくべきなのだそう。たとえば、「目標が達成できたらカレンダーに丸印を書く」ということにすれば、自分の達成度合が視覚的に把握できますよね。継続するための励みになってくれるはずです。
【致命的な理由4】目標が大きすぎる
また、初めから大きすぎる目標を立ててしまっている場合にも、習慣は続きにくくなります。
たとえば、「筋力トレーニングを習慣にしよう!」と決意して、いきなり「腕立て伏せ50回×3セット」なんて大それたノルマを掲げてはいないでしょうか。読書にしても同じです。急に「今日から1日1冊読む」と決めたところで、読書習慣がない人にとっては、これはなかなか大変なこと。結局、三日坊主に終わってしまうおそれがあります。
したがって、何か新しい習慣を始める際には、最初の目標はできる限り小さくしましょう。「腕立て伏せを5回だけやる」「本を10ページだけ読む」くらいでけっこうです。とにかく、やり始めは「確実にクリアできる」目標にすることが大切です。
『小さな習慣』の著者、スティーブン・ガイズ氏によると、ばかばかしいと思えるほど小さな目標でも、それを積み重ねていくことで習慣が形成されていくのだそうです。先述したように、習慣は66日間もの時間をかけて形成されます。だからこそ、定着するまでの間は、なるべく途切れないことを第一に考えるべきなのです。
それに、一度手をつけてしまえば、しだいに気分が乗ってくるはず。面倒だと思っていた掃除も、始めてしまったらいつの間にか夢中になっていた、という経験はあなたにもあるはずです。心理学では、これを「作業興奮」といいます。
つまり、目標を小さくすることは、やり始めの重い腰を上げて作業興奮を引き起こすという意味でも、大きな効果があるのです。
***
習慣が長続きしない “致命的な理由” から導き出された改善策は次のとおり。
- 時間と場所を決める
- 習慣は1つずつ増やす
- 目標や成果を見える化する
- まずは小さな目標から
これらの方法を活用して、三日坊主の自分に別れを告げましょう!
(参考)
ログミーBiz|飽きっぽい人に朗報!確実に習慣を身につけられる66日ルール
プレジデントオンライン|悪習慣が直らないのは「無意識8割」で生きるから
All About|運動習慣をつけるには?楽しく継続する4つのコツ
ダイヤモンド・オンライン|悪習慣は続くのに良い習慣が続かない理由は「脳の仕組み」にあった!
東洋経済オンライン|いつも目標倒れに終わる人の盲点中の盲点
【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。