「とりあえず頭の片隅に」が多すぎる人に最適。方眼ノートに “曖昧で未定” なことを書く効果がすごい

バレットジャーナル式「未定ノート」のYearly log

  • これは未定、あれも未定。
  • とりあえず頭の片隅に置いとけば、何かのときに役立つだろう。
  • いつできるかわからないけれど、いつかやらなきゃなぁ。
  • このまえ観た映画のタイトルはなんだっけ?

こういったハッキリしないものが頭のなかにゴチャゴチャとたくさんあり、仕事に集中できない……。いったいどうしたらいい?

それならカンタンに記録できるバレットジャーナル式の「未定ノート」をつくり、曖昧なものをすべて頭のなかからそのノートに移してしまいましょう。「脳のメモ帳」と呼ばれるワーキングメモリも節約できますよ。ちなみに、その際には方眼ノートが便利です。まずは記憶ミスのお話から。

「記憶ミス」の主犯格はワーキングメモリ

「〇〇だと思ったら△△だった」――些細な記憶ミスは誰にでもあるもの。トレスペクト教育研究所代表・学習コンサルタントの宇都出雅巳氏は、こうした記憶に関するミスの主犯格として、「脳のメモ帳」と呼ばれるワーキングメモリを挙げています。

ワーキングメモリとは、現在の作業に必要な情報を一時的に保持する脳のシステムのこと。これがなければ相手の話を頭に留めておけないので、会話のキャッチボールができません。読んだばかりの内容もすぐ忘れてしまうので、何かを読み進めることもできないのです。

つまり、ワーキングメモリは仕事に関してはもちろんのこと、私たちが普段生活するうえでも欠かせないものです。しかし、容量がとても小さいので、すぐいっぱいになってしまうのだとか。その状態でさらに新しい情報を頭に留めておこうとすることが、記憶ミスを生むのだそうです。

何かを忘れた様子の髪の長い女性、ビジネスパーソン

「未定ノート」でワーキングメモリを節約

前出の宇都出氏によれば、ワーキングメモリは脳の作業台でもあるのだそう。作業台の上がいっぱいでゴチャゴチャしていたら、ミスが起きやすくなるのは当然ですよね。そのため同氏は記憶ミスをなくす第一歩として、ワーキングメモリの特性を理解し、メモ習慣を身につけるようアドバイスしています。

頭のなかの情報をメモで外に出してしまえば、ワーキングメモリの負荷が減り、脳のメモ帳・作業台に余裕ができるわけです。そうすれば仕事の精度もスピードも上がるとのこと。

しかし、冒頭で紹介したようなハッキリしない内容は、メモそのものをカオスにしてしまいかねません。そこで、不明瞭なものばかりを書き込む「未定ノート」を、バレットジャーナル式で簡潔に記録する発想が生きるわけです。

バレットジャーナルの一例

バレットジャーナル式がいい理由

デジタル製品デザイナーのライダー・キャロル氏が考案したバレットジャーナルは、箇条書きで1冊のノートにすべて記録・管理するノート術です。必要なのはノートとペンだけ。箇条書きなので素早く記述でき、手書きなので脳が刺激されるとのこと。

たとえば2014年に報告されたプリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究では、授業内容をタイピングした大学生よりも、ノートに手で書き留めた大学生のほうがテストの平均点がよく、記憶も定着していたそうです。

だからバレットジャーナルは思考を整理しやすいのだとか。ハッキリしないことを書き込むにはピッタリですね。ただし、今回は「未定ノート」なので、少々アレンジを加えたバレットジャーナルにしてみます。

バレットジャーナル式「未定ノート」の構成

本来バレットジャーナルには、「INDEX(目次)・Future Log(年間カレンダー)・Monthly Log(月間カレンダー)・Daily Log(1日の予定やタスク)」といった4つのコンテンツがあります。

また、KEYと呼ばれる記号【・】【〇】【-】【*】【!】【×】【>】【<】にそれぞれの意味をもたせ、箇条書きの頭に置いて内容の性質を示すとのことです(※参考:コクヨ ステーショナリー|初心者でも簡単!バレットジャーナルの書き方の基本)。

■ 「未定ノート」のコンテンツ

そこで今回、「未定ノート」に少々アレンジを加え、以下3つのコンテンツに絞りました。

  • INDEX:インデックスとKEYの種類
  • Yearly log:1年の大まかな未定メモ
  • Monthly Log:月単位の未定メモ

■ 「未定ノート」のKEY

同じくKEYも絞り込み、多少アレンジして以下のとおりに使用します。

【・】:小さなこと
【〇】:大きなこと
【!】:思いつき、引っかかり、アイデア
【×】:実行済、ほかのノートに記録
【>】:留意継続

こうすることで、パッとひとめで区別できるようになるはずです。

方眼ノートで「未定ノート」をつくってみた

マス目がある方眼ノートは、フリーハンドで線を引きやすく、文字がそろっているように見えるのがいいところ。モヤモヤした留意事項を、簡潔に書き込んでいくには最適です。そこで今回筆者は、8ミリ方眼罫・6号(セミB5)サイズの方眼ノートを使用することにしました。

では、実際に書いてみましょう。まずはINDEXです。

バレットジャーナル式「未定ノート」のINDEX

そして、Yearly log

バレットジャーナル式「未定ノート」のYearly log

それからMonthly Logです。

バレットジャーナル式「未定ノート」のMonthly Log

まだ書き始めなので「×:実行済、ほかのノートに記録」や「>:留意継続」といったKEYは未使用ですが、使っていけそうだという感覚は得ています。

こうして、ひととおりバレットジャーナル式の「未定ノート」を書いてみたところ、次の効果が現れましたよ。

  • 通常の予定を組む際には慎重になっていた内容も、「未定ノート」なら気にせずどんどん書くことができ、頭がスッキリした
  • 書き出すと現実味が増し、いつのまにか「未定」が「予定」に変わっていた

箇条書きにして出力しなければ、いろんなことが曖昧かつ未定のままで、頭がモヤモヤしていました。いまならワーキングメモリがよく働き、いい仕事ができそうです。

(※書き方参考:コクヨ ステーショナリー|初心者でも簡単!バレットジャーナルの書き方の基本

***
方眼ノートでバレットジャーナル式「未定ノート」に書き込んでみたら、頭がスッキリして未定が予定になりました。ぜひお試しくださいね。

(参考)
SAGE Journals|The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking - Pam A. Mueller, Daniel M. Oppenheimer, 2014
ダイヤモンド・オンライン|記憶、情報整理、精神の治癒……手書きが結局、いちばん効果的な理由
コクヨ ステーショナリー|初心者でも簡単!バレットジャーナルの書き方の基本
東洋経済オンライン|新人もベテランも「メモ」を取るべき科学的根拠
東京大学|作業記憶(ワーキングメモリ)の脳メカニズムを解明

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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