もう “あの理不尽な上司” には振り回されない! 「アサーション」で無茶ぶりも華麗にかわせる。

厄介上司と付き合う方法01

せっかくやりたい仕事に就けたのに、上司が嫌いで仕事が楽しくない。高圧的な上司に毎日心が折られる。上司の無茶ぶりのせいで残業続きだ。そんな「上司」に関するストレスは、若手ビジネスパーソンのみなさんの悩みの代表格なのではないでしょうか。

せっかく仕事をするのなら、良いチームで、楽しく、生産的に働きたいもの。しかし、なかなかそうもいかないのが現実ですよね。

そこで今回は、厄介な上司とうまく付き合う方法をご紹介します。今の上司が苦手、反りが合わない、という方はもちろん、部下を抱えている方もぜひ、自分が厄介な上司になってないか振り返ってみてください。

部下の「7割以上」は上司が嫌い!

マイナビ転職が2017年に、全国の20~30代のビジネスパーソンを対象に実施したアンケートによれば、「職場に嫌いな上司がいますか?(いましたか?)」という質問に「いる」と回答したのはなんと73.5%。それも、20代に限ってみると男性が82.1%、女性が75.0%という驚異的な数字になっています。働く若手の大半は上司を快く思っていないようですね。

その理由として多く挙げられていたのは、「自己中心的」「理不尽」「人によって対応が変わる」「厳しい」といったもの。中には「仕事ができない」といった手厳しい意見も……。「上司嫌い」にもさまざまなパターンがありそうですが、若手は特にどんなタイプの上司に困らされることが多いのでしょうか。もうひとつの調査を見てみましょう。

厄介上司と付き合う方法02

「嫌な上司トップ3」はあのタイプだった!

住友生命グループのメディケア生命保険が、2018年に20~50代のビジネスパーソン1,000人を対象に実施した疲れとストレスに関するアンケートによると、「職場にこんな社員がいたら嫌だ」という項目でトップ3になったのは次のようなタイプでした。

1位:無茶ぶりをする上司(無理な指示をする上司)45.5%
2位:気まぐれな上司(指示がコロコロ変わる上司)42.7%
3位:パワハラ上司(高圧的な態度の上司)42.4%

こんな上司が、みなさんの職場にもいませんか? 抱えている仕事で明らかに手いっぱいで疲れもたまっている部下に、「これも今日中に頼むよ」なんて仕事をわたして帰っていく「無茶ぶり上司」。気分次第で指示が変わったり、会議で決まったこととは違う指示をしたりする「気まぐれ上司」。高圧的で説教が長く、ダメ出しばかりの「パワハラ上司」。こんな上司と一緒に仕事をしていたら、業務に支障があるどころか、メンタルにもダメージがきてしまいます。

それでは、こうした厄介上司たちにどのように対応していけばよいのでしょう。それぞれの厄介上司のタイプ別に役立つ対応の方法を紹介します。

厄介上司と付き合う方法03

「無茶ぶり上司」に対応する方法:アサーション

「無茶ぶり上司」と付き合うのに役立つコミュニケーション法が「アサーション」です。これは、アメリカの心理学者ジョセフ・ウォルピ氏とアーノルド・ラザラス氏によって確立された、自分の気持ちや状況を相手に配慮して伝える方法のこと。具体的には、以下の「DESC」という流れを意識して相手に自分の気持ちを伝えます。

D=Describe(状況の描写):自分がおかれている状況や相手の行動を客観的に描写する。
E=Express(感情・状態の表現):状況や相手の行動に対する自分の気持ちや状態を伝える。
S=Specify(特定の提案):相手に望む行動、妥協案、解決策を提案する。
C=Choose(選択):肯定的・否定的結果を考え、それに対する行動の選択肢を示す。

ではこれを、「自分の仕事で手いっぱいなのに、上司から『今日中に終らせてほしい』と別の仕事を頼まれたとき」というシチュエーションだとどうなるか、見てみましょう。

「今手掛けている案件が大変で、手が回らない状況です」(状況の描写)
「引き受けたい気持ちは山々なのですが、今日中には難しそうです」(感情・状態の表現)
「明日以降であればお受けできると思うのですが」(特定の提案)
「必ず今日中に終らせなければならないのでしたら、ほかの方にお願いできますか?」(選択)

この際の注意点は、自分が感じた感情を否定しないことです。「こう感じるのは自分が間違っているのでは?」と思う必要はありません。感じたことを自由に表現する権利があるというのが、アサーションの考え方なのです。

露骨に不満を言うと上司の感情を逆撫でしてしまいますし、自己主張をしなさすぎても余計に無茶ぶりをされ続けることになるでしょう。「アサーション」を使って上手に断ったり、代替案を示したりすれば、「きちんとしているヤツ」という印象を上司に与えることもできますよ。

厄介上司と付き合う方法04

「気まぐれ上司」に対応する方法:アクティブリスニング

気分に流されて指示が変わる「気まぐれ上司」と付き合うには、「アクティブリスニング」によって上司の話を聞き出し、指示の理由や状況を明確にするのが有効です

ForbesJAPAN副編集長で、トニー・ブレア元英首相や、Apple社の共同設立者スティーブ・ウォズニアック氏ら超一流ご指名のインタビュアーでもある谷本有香氏によると、アクティブリスニングとは「相手に気持ちよく話してもらいながら、相手の言語化を促すような問いを投げかけるメソッド」のこと。

アクティブリスニングは、「準備(事前の情報収集や目標確認)」「本番(実際の会話」「フォロー(本番後も関係を深める)」という3つのステップから成ります。ここでは職場ですぐに使える「本番」のステップについて詳しく解説しましょう。

谷本氏によれば、アクティブリスニングの「本番」ですることは以下の2つです。

  • 傾聴:相手の話に相槌を打ったり頷いたりして、聞くことに徹し、相手が気持ちよく話してくれる土台を作る。
  • 問答:ところどころで質問を投げかけ、より深い答えを聞き出す。

たとえば、「上司が会議で決定したこととは違う指示を出してきた」とします。

「ご判断が変わった事情をもう少し詳しくご説明いただけますか?」と、話を聞き出すきっかけを作る。相槌や頷きで共感を示す。(傾聴)

「つまり予算組みが変わったということですか?」「まだ資料が間に合っていないのですね?」など、状況が具体化できるような質問をする。(問答)

谷本氏いわく、もし質問がすぐ浮かばないときには「それで?」というフレーズが有効なのだそう。「それで、どうなったのですか?」という問いかけで上司の話を促してみましょう。

アクティブリスニングをしながら話しているうちに、上司の判断が変わった経緯や根拠がわかれば、納得して仕事に向かうことができるはずです。

厄介上司と付き合う方法05

「パワハラ上司」に対応する方法:メタ認知

高圧的に接してくる上司、やたらと説教やダメ出しばかりしてくる上司。そんな「パワハラ上司」の言うことを全て受け止めていたらストレスがたまる一方です。メタ認知を使った受け流し方を覚えておきましょう。

脳科学者の中野信子氏によると、人間は自慢や説教をしているとき、脳内でドーパミンという物質が分泌され、快楽を感じるそう。そうすると脳は、説教や長話をもっと続けたくなります。そのため、一度始まった説教やダメ出しを止めるのは、じつは難しいことなのだそうです。

そんな状態に陥っている上司から身を守る方法として中野氏がすすめているのが、メタ認知という方法です。メタ認知とは、自分の考えや行動を客観的に把握し、認知すること。その方法は以下の2つです。

  1. 類型化することで、客観的に相手の分析を試みる。
  2. 相手の心理分析を試みる。

たとえば、「上司から理不尽な説教を受けている最中」には、以下のように思考してみます。

  1. この上司はすぐに「今の若いやつ」というフレーズを使うけれど、新しいことが嫌いなタイプなのだろうか(類型化して相手を分析)
  2. この上司が自分に理不尽に文句をいうのは、同じように理不尽に文句を言われたからではないか(相手の心理分析)

このように上司の心理状態を推察すると、今上司から言われている説教の内容から気を逸らすことができ、不安感やストレスを低減させることができるでしょう。

***
人と人との関係や他人に対する感情は、今日明日ですぐに変えられるほど簡単なものではありません。「相手を受け入れる」「自分の視点を変える」といったことはよく言われますし理想的ですが、難しいこと。しかし、相手と向き合う方法が見つかれば、その一歩を踏み出しやすくなるはずです。ここで紹介した方法が、上司との関係についての悩みを解消する手助けになることを願っています。

(参考)
マイナビ転職|「上司が嫌いで辞めたい!」実際に転職した人はXX%。退職理由にしていいの?
メディケア生命保険|ビジネスパーソンの疲れとストレスに関する調査2018
平木典子(2012),『アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法』,講談社.
谷本有香(2015),『アクティブリスニング なぜかうまくいく人の「聞く」技術』,ダイヤモンド社.
本間正人(2010),『厄介な上司を使いこなす50の処方箋』,PHP研究所.
StudyHacker|波紋を呼ぶパワハラ騒動。「理不尽」にはどう対処すればいいのか?
StudyHacker|毎日聞くのが苦痛な自慢や説教――。そんな困った人から「自分を守る方法」とは【中野信子『カリスマの言葉』第9回】

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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