言葉にして手書きすると夢はかなう――「MUSEの法則」とはなにか?

渡邊康弘さんインタビュー「言葉にして手書きすると夢が叶う根拠」01

誰しもにひとつやふたつは夢があるものでしょう。でも、現実を見て「かなえるのは無理かな……」と、半ば諦めてしまっている人もいるはずです。でも、「言葉にして手書きすると夢はかなう」と言われたらどうでしょうか?

著書『言葉の力を高めると、夢はかなう』(サンマーク出版)が話題となっている経営コンサルタントの渡邊康弘(わたなべ・やすひろ)さんに、そのメカニズムを教えてもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/玉井美世子

渡邊康弘さんインタビュー「言葉にして手書きすると夢が叶う根拠」02

「手書きすると夢がかなう」ことのさまざまなエビデンス

言葉にして手書きすると夢はかなう――。そう聞くと、「ちょっと、あやしいなぁ……」と思った人もいるでしょう。でも、そうではありません。このことにはいくつものエビデンスがあるからです。たとえば、過去にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の行動経済学者、ダニエル・カーネマン名誉教授の研究もそのひとつ。

その研究では、入学してきた学生たちにそれぞれの夢を書き出させました。そして、20年にわたり、その学生たちがどんな生活を送っているのかをカーネマンは追跡調査しました。すると、「お金持ちになりたい!」など経済的な夢を書いた人とそうでない人では、たしかに経済的格差があったのです。お金持ちになっていたのは……もちろん「お金持ちになりたい!」と書いていた人たちです。

また、米ドミニカン大学の心理学者であるゲイル・マシューズ教授の研究では、目標を手書きした場合とキーボードで書いた場合の目標の達成率を調査しました。その結果、手書きのほうが、達成率が42%も高いことがわかったのです。

この調査結果においては、別の研究がその裏づけとなります。世界的なベストセラー作家であるバーバラ・ピーズによれば、手書きとタイピングでは脳の神経を使う度合いがまったく違うのだそう。前者は1万種類ほどの脳の神経を使い、後者はわずか8種類。手書きではそれだけ多くの脳の神経を使うために、脳の血流が増えます。血流が多いと、脳は目の前のこと――この場合は書き出している夢を現実だとみなすのです。そのために、手書きで書き出した夢の実現に近づけるというわけです。

渡邊康弘さんインタビュー「言葉にして手書きすると夢が叶う根拠」03

「未来の自分」になりきり、夢を手書きすることが実現率を高める

そして、手書きした夢を実現させるための方法をより強化したのが、私が開発した「MUSEの法則」というメソッドです。以下の言葉の頭文字を取ってそう名づけました。

【MUSEの法則】
M/Manifest:紙に言葉で書き、明らかにする
U/You are the Universe. Thank U:未来のあなたの「体の状態」になりきり、感謝する
S/Scene:未来の「シーン」を映像で浮かべる
E/Emotion:達成したときの「感情」で味わう

それでは、それぞれ解説していきましょう。

Mは「Manifestあなたの夢を手書きしてください。そのときに注意してほしいのは、実現可能性には目を向けないこと。遠慮がちな日本人の場合、「どうせ私にはできない」「私なんかがこんな夢を持ってはいけない」と考えてしまう人が多いのです。

また、肯定形で書くことも大切です。ダイエットをしたい人なら、「間食をしない」「甘いものを食べない」といった否定形で書くことはNGです。なぜなら、言語学者のノーム・チョムスキーによれば、「脳は否定形を理解しづらい」という特徴を持っているからです。「食べたくない」と言ったとしても、脳は「食べる」という行為を思い浮かべてしまう。だから、断定形や完了形で書き出すことが大切です。ダイエットの場合なら、具体的に体重を思い浮かべ「〇kgになる」でいいのです。

ふたつ目のUは、ちょっと強引ですが、「You are the Universe. Thank U。「私は宇宙と一体。先に夢をかなえてしまった未来の自分になってしまう、未来のあなたの『体の状態』になりきり、感謝する」という意味です。

未来の自分を思い描くとき、「未来の自分になりきる」ことが大事です。「ある車のニューモデルを買う」と思っている人が、現行モデルをイメージしてその夢を描いていたとしたらどうでしょうか? しばらくして実際に発売されたニューモデルは、現行モデルとはまったく違うデザインかもしれません。そうして、「やっぱりいらない」と思う可能性もある。

だからこそ、いまの自分ではなく未来の自分になりきって、そのときの自分はどんな人物で何をしていて、どんなものや人に取り囲まれているのかとイメージすることが大切なのです。

渡邊康弘さんインタビュー「言葉にして手書きすると夢が叶う根拠」04

夢を「感情」で脳に強く刻み込むために、「感謝する」

そのときに有効なのが、Sの「Scene未来の自分を思い浮かべるときに、具体的なシーンをベースに考える。そうすると、夢もより具体的になるのです。たとえば、10年後にどこのどんな家に住んでいるのかというところからスタートする。そこから、自分はどんな服装や体形をしていて、どんな状況に置かれているのかといったことをイメージするのです。

この方法は、特に女性に有効です。というのも、男性よりも「年を取りたくない」という気持ちが強い女性は、未来の自分をイメージすることに抵抗を感じやすいからです。でも、ある場所をイメージすることには抵抗がありません。そこから未来の自分もイメージしやすくなるのです。

最後のEが「Emotion達成したときの「感情」で夢を味わうことです。人は強い感情が伴った出来事ほど強く記憶できるものですよね。そうして記憶を強化することが大切。かなえたい夢を達成したときの感情をイメージして記憶を強化し、自分の夢をしっかり脳に刻み込みましょう

そのときの助けになるのが、Uが持つもうひとつの意味である「Thank U」です。夢を達成したときの感情をイメージするといっても、なかなかイメージできないということもあるでしょう。でも、「感謝する」ということを心がけたらどうですか? 夢を達成して幸せな状況にいるときは、さまざまな感謝の気持ちを持っている状態でもあるはずです。夢を達成するまでに助けられたであろう誰かに、あるいはがんばった自分にでもいい。「ありがとう」と感謝することが感情となり、夢の記憶強化を助けてくれるのです。

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言葉の力を高めると、夢はかなう

言葉の力を高めると、夢はかなう

  • 作者:渡邊康弘
  • サンマーク出版
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【プロフィール】
渡邊康弘(わたなべ・やすひろ)
人生実現コンサルタント。日本トップレベルの「読書家」。神奈川県横浜市出身。青山学院大学経済学部卒。幼少期より、読書が大の苦手だったこともあり、2度大学受験に失敗する。20歳のときに神田昌典氏の本に出会い本が読めるようになり、人生が激変。ベンチャー企業の立ち上げに関わり、ゼロから8億の売上をつくる(のちにマザース上場)。独立後、最新の脳科学、行動経済学、認知心理学を基にした独自の読書法「レゾナンスリーディング」を生み出す。この読書法は、10歳から91歳まで全国3500人以上が実践している。年間の読書数は、(洋書含め)ビジネス書で2000冊、文芸書、実用書含め年間3000冊以上。「日本トップ5」に間違いなく入るほどの読書家。この膨大な読書量によりビジネス、歴史、科学、芸術、スピリチュアルに関するさまざまな知識をもつ。「読書」というスキルを通して、その専門知識を実務レベルで実践。その結果、短期間で、驚くほどスキルレベルが向上する「研修プログラム」や個人の「自己実現のプログラム」などを次々と開発。そのコンテンツは高い評価を受けており、上場企業やベンチャー企業、地方の有力企業での講演多数。企業コンサルタントも務める。読書の苦手な人をなくし、読書を通じて夢をかなえる人を増やすべく、書評などの読書情報の発信や読書イベント、海外著者との交流会を催すなど、読書文化を広げる活動を行っている。著書に『1冊20分、読まずに「わかる!」すごい読書術』(サンマーク出版)、翻訳協力に『ビジネスモデルYOU』(翔泳社)、『イルミネート:道を照らせ。』(ビー・エヌ・エヌ新社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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