「内向的」でも「デキる人」になれる。間違いなく仕事で生かせる “内向型の4つの強み”

堤ゆかりさんインタビュー「内向型の4つの強み」01n

仕事が「デキる人」というと、どんな人をイメージするでしょうか? 多くの人が、「周囲の人を巻き込みながら、バリバリと活動的にスピーディーに動ける人」といった「外向的」な人をイメージするはずです。一方、「内向的」な人は仕事の成果を挙げづらいとも考えてしまうかもしれません。

ただ、「内向型コンサルタント」の堤ゆかりさんは、「仕事上の悩みを抱えがちな内向的な人は、自分の特徴を生かしきれていないだけ」と語ります。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

内向型と外向型の違いが表れる4つのポイント

「内向型」「外向型」とは人のタイプであり、文字通り、内向型は内向的な人、外向型は外向的な人を指します。両者にはさまざまな違いがありますが、なかでも大きな違いが表れるポイントは、次の4つだと私は考えます。

内向型と外向型の違いが表れるポイント

  1. 好む行動
  2. ストレスを感じたときや元気になりたいときの過ごし方
  3. 見聞きした情報を処理する速度
  4. 受ける刺激に対する許容量

1つめの違いは、好む行動内向型が考え事をしたり物思いにふけったりすることを好むのに対し、外向型はアクティブに活動したり挑戦したりすることを好みます。これは、それぞれが求める神経伝達物質の違いによるものだと言われています。内向型が求めるのは、リラックスを促すアセチルコリンという神経伝達物質であり、外向型が求めるのは、意欲や運動に関わるドーパミン。そのため、両者が好むものが異なってくるのです。

2つめの違いは、ストレスを感じたときや元気になりたいときの過ごし方内向型はひとりでくつろいだりゆっくり過ごしたりします。一般的なイメージに沿った「休息」で、元気を充電するのです。一方、外向型は友人などとにぎやかに過ごしたり遊びに行ったりするなど、やはりアクティブに過ごすことで元気になる。この違いの要因は自律神経にあると考えられています。自律神経のうち、内向型は人をリラックスモードにする副交感神経が優位に働きやすく、外向型は人をアクティブモードにする交感神経が優位に働きやすいのです。

また、3つめの違いは見聞きした情報を処理する速度です。内向型は外向型に比べて情報処理速度が遅い傾向にあり、考えながら話すといったことが苦手で、自分のなかで話すことをしっかり組み立ててから話したいと考えます。このことは、脳のなかにある、情報処理のための経路の違いによるのだそう。内向型の人の経路は、外向型の人の経路よりも長くて複雑なために、情報処理に時間がかかると言われています。

最後の4つめの違いは、受ける刺激に対する許容量内向型のほうが外向型よりも刺激に対する許容量が小さいのです。これは、D4DR遺伝子という遺伝子の違いによるもの。内向型は、外向型なら物足りないくらいの少しの刺激でも幸せを感じられますが、一方で、一定以上の刺激を受けるとすぐに疲れてしまいます。簡単に言えば、内向型のほうが外向型より刺激に対して敏感だということです。

堤ゆかりさんインタビュー「内向型の4つの強み」02

あなたは内向型? 外向型? 1つの質問に答える簡単診断

このような違いがあるのですから、悩みもそれぞれに異なってきます。特に仕事においては、「デキるビジネスパーソンとは、周囲の人を巻き込みながら、バリバリと活動的にスピーディーに動ける人だ」といったイメージがありますから、内向型の人は「自分は外向型の人より劣っているのではないか」と考え、仕事に関する悩みを多く抱えがち。ここで、私自身の経験などから、内向型の人が抱える仕事上の主な悩みを挙げてみます。

内向型の人が抱えがちな仕事の悩み

  1. 会議の場などで発言するのが苦手
  2. オフィスでの電話の音や他人の気配が気になって集中できない
  3. 急な仕事を頼まれてタスクが増えると混乱しやすい

これらの悩みを抱えている人は、内向型である可能性が高いと言えます。また、私の著書『もう内向型は組織で働かなくてもいい 「考えすぎるあなた」を直さず活かす5ステップ』(世界文化社)には「内向型診断テスト」というものを掲載していますので、自分のタイプが気になる人はそのテストで診断してみてください。

でも、いますぐに自分のタイプを知りたい人もいるかもしれませんね。そこで、1つの質問に答えるだけの簡易的な診断法を紹介しておきます。その質問とは、ストレスを感じたときや元気になりたいときにどのように過ごしますか?というもの。先にお伝えした「内向型と外向型の違いが表れるポイント」の「2. ストレスを感じたときや元気になりたいときの過ごし方」が、それぞれのタイプの違いが最もわかりやすく表れるポイントなのです。

その質問に対する回答が、「ひとりでくつろいだりゆっくりしたりする」といったことなら内向型、「友人などとにぎやかに過ごしたり遊びに行ったりする」といったことなら外向型である可能性が高いでしょう。

堤ゆかりさんインタビュー「内向型の4つの強み」03

とらえ方次第で「弱み」は「強み」に変わる

ただ、診断の結果が内向型だったからといって悲観する必要はありません。たしかに、デキるビジネスパーソンのイメージは外向型の人ですし、内向型の人は仕事に関する悩みを抱えがちなものです。でも、最初に紹介した内向型の特徴のとらえ方次第で、弱みだと思っていた部分を強みに変えることもできます。

たとえば、「考え事をしたり物思いにふけったりすることを好む」という特徴は、見方を変えれば「自分の心としっかり向き合える」とか「自分の感性を大事にできる」といったことになるでしょう。だとすると、たとえばアーティストなど表現者として働くことに向いているとも考えられます。また、自分の心としっかり向き合えるのですから、他人の心にもしっかり向き合い寄り添える、器の大きさや優しさをもっているとも考えられる。その強みは多くの仕事で生かせるはずです。

また、「ひとりでくつろいだりゆっくり過ごしたりすることで元気を充電する」という特徴を強みとしてとらえるならば、「自分をコントロールできる」だとか「他人に依存せずにひとりで熱心に物事に取り組める」といったことになるでしょう。その強みは、それこそどんな職種であっても生かせる力です。

それから、「情報処理速度が遅い」ことは、「粘り強く深く考えることができる」ととらえられます。この強みを仕事で生かせば、たとえば「リスクも踏まえて複数のいろいろな選択肢を取引先に提案する」といったことができるはず。また、じっくり考える内向型には「観察力に長けている」という特徴もあります。外向型の人なら見落としてしまうようなことにも気づけるのです。すると、「クライアントの状況に合わせた細やかな提案ができる」ことにもつながります。

内向型の4つめの特徴は「刺激に対する許容量が小さい」ことでした。外向型の人なら物足りなく感じる少しの刺激でも幸せに感じられるのですから、「大きな変化がなくても楽しめる」とも言えますよね? つまり、重要な仕事にもかかわらず外向型の人なら退屈に感じてしまうルーティーンワークなどで、力を発揮できるでしょう。また、このことは、「自分のペースを貫くための努力ができる」ことでもあると、私は解釈しています。自分のペースを乱されたくないからこそ、計画性があるという一面もある。計画性をしっかりもつことができれば、多忙なビジネスパーソンにとって間違いなく大きな武器になるはずです。

いずれにせよ、内向型の人であれ外向型の人であれ、自分の特徴を「これは私の弱みだ」などと思い込まず、「この特徴を強みに変えられないか?」という視点をもったほうがいい。そうすれば、仕事において自分の特徴を生かせる場がきっと見つかるはずです。

堤ゆかりさんインタビュー「内向型の4つの強み」04

【堤ゆかりさん ほかのインタビュー記事はこちら】
内向型に対する3つの「間違った思い込み」。あの一流経営者もじつは内向的!
刺激に敏感な「内向型」のあなたでも、“これ”をすれば悩むことなく仕事ができる

【プロフィール】
堤ゆかり(つつみ・ゆかり)
1985年、東京都生まれ。内向型コンサルタント、心理カウンセラー。自身が20年間にわたりコンプレックスを感じていた内向性を受け入れられるようになった経験と独自の分析をもとに、InstagramやYouTubeなどで「内向型を直さず生かす生き方」を発信している。内向型向けオンラインサロンの主宰やイベント・講演を行う。年間の個人コンサルティング、SNS相談実績は300件を超え、内向型の人の気持ちに寄り添った提案に定評がある。自分らしいライフスタイルを追求するため、同じく内向型の夫と起業し、2018年12月より夫婦ふたりで東京から福岡に移住。内向型の強みを生かす働き方を体現している。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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