内向型に対する3つの「間違った思い込み」。あの一流経営者もじつは内向的!

堤ゆかりさんインタビュー「内向型に対する3つの間違った思い込み」01

「血液型がA型の人は几帳面」だとか「関西の人はノリがよくておもしろい」といったことがよく言われます。もちろん、そういう傾向がまったくないとは言えませんが、なかにはただの「思い込み」もあるでしょう。

それは、「内向型」の人に対する評価にも言えること。「内向型コンサルタント」の堤ゆかりさんが、内向型の人に対する3つの思い込みを覆してくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

【思い込み1】内向型の人は社会で活躍できない?

世間では、「外向型の人こそ社会で活躍できる」といった認識が強いように思います。このことを逆に言えば「内向型の人は社会で活躍できない」ということになる……。でも、これは思い込みに過ぎません。

たしかに、メディアに頻繁に登場するような大企業の経営者には、スピード感をもってまわりの人たちを巻き込むようなカリスマ性や、従業員をぐいぐい引っ張る強いリーダーシップなど、多くの人と関わる外向的な特徴をもっている人が多いようです。もちろん、彼らはそれらの才能により成功したのでしょう。でも、そういった能力がないからといって社会で活躍できないわけではありません。

たとえば、内向型にはひとり孤独に粘り強く深く考えることができる」といった強みがあります(インタビュー第1回『「内向的」でも「デキる人」になれる。間違いなく仕事で生かせる“内向型の4つの強み”』参照)。これは社会で活躍するための大きな武器になるはずです。

それこそ、日本でも有数の経営者であるファーストリテイリングの柳井正さんは、「私は内向的」と自身で語っています。もちろん柳井さんには、多くの人を巻き込むカリスマ性もあると思います。でも、その一方で、柳井さんは毎日平均1時間以上、必ず就寝前にひとりでゆっくり本を読むのだそう。このことは、柳井さんが「ひとり孤独に粘り強く深く考える」時間を好み、大切にしていることの表れではないでしょうか。

苦手なことを克服する、つまりマイナスをゼロにするのはなかなか難しいものです。それよりも、自分の強みであるプラスのことを伸ばしていく方向に考えれば、内向型の人も社会でどんどん活躍できるようになっていくはずです。

堤ゆかりさんインタビュー「内向型に対する3つの間違った思い込み」02

【思い込み2】内向型の人はコミュニケーション能力が低い?

内向型に対する思い込みの2つめは、「内向型の人はコミュニケーション能力が低い」というもの。その思い込みがあるために、たとえば「営業職にはコミュニケーション能力が必須だから、話下手な内向型の人は向かない」というふうにも思われています。

でも、そもそもコミュニケーション能力とは「自分から話す」能力のみを指すのでしょうか? 私はそうは思いません。コミュニケーションというのはあくまでもキャッチボールなのですから、一方的に話せることをもってコミュニケーション能力が高いとは言えないはずです。

話をしっかりと聞いて、相手が言わんとしていることをきちんと理解できる、あるいは、相手の立場に立ってじっくり考えられることも重要なコミュニケーション能力です。そして、これらの能力が高いのが内向型の人なのです。その能力を生かせば、自分から話すことを優先しがちな外向型の人なら見落としてしまうような、相手の小さな要望をきちんと把握することができるはず。それだって、営業職にとって重要な能力のひとつでしょう。

話すことが苦手だと悩んでいる営業マンなら、聞くことにフォーカスしてみましょう。商談の場で、自分から話したりプレゼンしたりすることばかり考えるのではなく、お客さんの要望や悩みをじっくり聞くことに注力すればいい。そして、把握したお客さんの要望や悩みをもち帰り、今度は持ち前の熟考力をもってして質の高い提案を考える。そういったスタイルで営業すれば、お客さんの満足度は間違いなく上がるはずです。

堤ゆかりさんインタビュー「内向型に対する3つの間違った思い込み」03

【思い込み3】内向型の人はマルチタスクが苦手?

最後の思い込みは「内向型の人はマルチタスクが苦手」というものです。これはさまざまなメディアでも言われていることですが、それこそ思い込み。なぜなら、脳の構造上、内向型か外向型かを問わず人間は誰しもマルチタスクが苦手だからです。

もちろん、マルチタスクが完全にできないわけではありません。マルチタスクができる条件は、そのタスクが単純作業であること、あるいはすでに慣れていて無意識でもできる作業であることです。たとえば、鼻歌を歌いながら得意料理をつくるといったことならできるわけです。

でも、みなさんのまわりには、バリバリとマルチタスクをこなしているように見える人がいるかもしれません。ただ、それはそう見えるだけのこと。そういう人は、じつはタスクをひとつずつ確実に終わらせているだけで、そのスピードが速いために、いろいろなタスクを同時にしているように見えるのです。

しかも、そういうふうにマルチタスクをこなしているように見える人には、どちらかというとバリバリとスピーディーに働く外向型の人が多いはずです。そういう人をうらやみながら、内向型の人がそれこそ「内向型の人はマルチタスクが苦手」なんて思い込みをもっていると、「自分はダメな人間だ……」と余計な思いが生まれて仕事に支障をきたしてしまうでしょう。そうではなく、「そもそも人間は誰しもマルチタスクが苦手な生き物」だと思っていれば、目の前のシングルタスクに集中できて仕事の効率も上がっていくはずです。

堤ゆかりさんインタビュー「内向型に対する3つの間違った思い込み」04

【堤ゆかりさん ほかのインタビュー記事はこちら】
「内向的」でも「デキる人」になれる。間違いなく仕事で生かせる“内向型の4つの強み”
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【プロフィール】
堤ゆかり(つつみ・ゆかり)
1985年、東京都生まれ。内向型コンサルタント、心理カウンセラー。自身が20年間にわたりコンプレックスを感じていた内向性を受け入れられるようになった経験と独自の分析をもとに、InstagramやYouTubeなどで「内向型を直さず生かす生き方」を発信している。内向型向けオンラインサロンの主宰やイベント・講演を行う。年間の個人コンサルティング、SNS相談実績は300件を超え、内向型の人の気持ちに寄り添った提案に定評がある。自分らしいライフスタイルを追求するため、同じく内向型の夫と起業し、2018年12月より夫婦ふたりで東京から福岡に移住。内向型の強みを生かす働き方を体現している。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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