「頑張って勉強しようと思っても、集中力がすぐ切れてやる気がなくなってしまう」
「納期まで時間があまり残っていないのに、疲れてしまって作業が手につかない」
一生懸命物事に取り組んでいると、脳が限界を迎え、疲れを意識するタイミングがやってくるでしょう。
しかし、もしそのタイミングで十分な休憩時間をとれない場合、何をするのが最善なのでしょうか。無理やり作業を続けても、集中力が落ちてパフォーマンスが下がってしまうかもしれません。そこで今回は、”たった5分間” の休憩で集中力を取り戻せるリフレッシュ方法5つをご紹介します。
【リフレッシュ法1】腕立て伏せで脳を休ませる
メンタルヘルスコーチであり精神科医の中嶋泰憲氏は、勉強に疲れたときのリフレッシュ方法として「腕立て伏せ」を推奨しています。
一般的に「腕立て伏せ」などの筋肉トレーニングをすると、かえって疲れがたまってしまいそうですが、中嶋氏によると、脳の疲れをとるには効果的とのこと。
「腕立て伏せ」で体を動かすことで筋肉に負荷がかかり、交感神経系に刺激が与えられるため、心身は緊張状態となります。しかし、そのあいだ余計なことを考えなくなるため、脳を休ませることができるそうです。
また、順天堂大学大学院教授・町田修一氏によれば、健康的な生活を維持する範囲では、「腕立て伏せ」を10回程度行ない、少し負荷を感じる程度が効果的とのこと。5分間の休憩時間を利用して、準備運動をしたうえで自分のペースに合わせ10回前後の「腕立て伏せ」に取り組めば、集中力を効率よく取り戻せるでしょう。
【リフレッシュ法2】窓を開けて換気する
「窓を開けて新鮮な空気を取り入れ、深呼吸をすること」も、効率的なリフレッシュ法です。
アメリカのローレンス・バークレー国立研究所の研究員らが行なった研究によると、空気中のCO₂濃度が低くなればなるほど、脳のパフォーマンスが向上することが明らかになったそう。窓を開けず空気中のCO₂濃度が高いままの状態よりも、窓を開けて換気し、空気中のCO₂濃度を低くしたほうが作業効率は高くなるのです。
また、前出の中嶋氏は、「深呼吸」を繰り返すことでリラックスの役割を担う副交感神経系を刺激することができるため、勉強に疲れたときには外の空気を吸って深呼吸することが推奨されると伝えています。
短時間でしっかりリフレッシュするためには、開いた窓の近くまでいき、5秒間息を吐ききったあと、3秒間鼻から息を大きく吸い込む深呼吸を3〜5回程度繰り返すようにしてみてください。
【リフレッシュ法3】冷たいタオルで頸動脈を冷やす
コミュニケーション・アナリストの上野陽子氏いわく、根本的な脳の回復には至らないが、一時的な脳のやる気の回復や覚醒を得られるものとして「擬似回復」という方法があるそう。上野氏は、「擬似回復」の手段のひとつとして頸動脈を冷やすことを挙げています。
頸動脈とは、首の両横側に位置する血管です。上野氏によれば、頸動脈に流れる血液を冷やすことによって脳の温度を下げることができ、脳のエネルギー消費の削減につながるとのこと。
あわせて、サステナビリティの専門家であるメーガン・ノルマン氏が示すところによれば、温度が高く暑いと感じるオフィスでは生産性が落ちてしまうのだそう。また、東京大学名誉教授の板生清氏は、頸動脈を冷やすことは身体全体の温度の上昇を防ぐ効果があると伝えています。体を冷やし、自ら温度を調整するのも、作業効率を向上させるうえで重要なポイントだと言えるでしょう。
冷やしたタオルやネッククーラーを用いて1〜2分程度、頸動脈のあたりを冷やしてみてください。そうすれば、短時間で脳のやる気がきっと回復するはずです。
【リフレッシュ法4】閉眼安静を取り入れる
脳の疲労は、脳の一部である「前頭前野」の血流を低下させ、集中力やモチベーションを低下させます。そのため、前頭前野の血流を促進することが、脳疲労の回復には必要です。
国際医療福祉大学福岡保健医療学部の今泉敦美氏らが2016年に行なった研究では、「ガムを噛む」「アロマセラピー」といった方法よりも、光を遮断した部屋で5分間目を閉じて休む「閉眼安静」という方法が最も前頭前野の血流を促進したという結果が示されました。
この研究によれば、目を閉じて視覚情報を遮断すること、さらに部屋を暗くして睡眠に近い状況をつくり出すことによって、リラックスの役割を担う副交感神経の活動が活発化し、脳の血流が促進されたのだそう。勉強や作業をしていて「集中力が切れたな」と感じたときは、実際に部屋の電気を消すなどして、目をつむって5分間休憩すると効果的です。
【リフレッシュ法5】瞑想をする
看護師免許をもつメンタル心理カウンセラーの大島絵美氏によると、「瞑想」をして脳の疲れの原因である前頭前野を活性化させると、認知機能や集中力が向上して意思決定もスムーズになるとのこと。「瞑想」の具体的なやり方について、大島氏は気をつけるべきポイントを3つ解説しています。
1つめが「調身」と呼ばれる要素で、体の姿勢を整えることです。一度肩をすくめるように力を入れて背筋を伸ばしてから、脱力して肩をストンと落とすことで、リラックスした正しい姿勢をつくることができるそう。そのほか両足は地面につけ、両手は軽く握った状態で太ももの上にのせ、目は閉じるか、まぶたを少し開く半眼にして1mほど先をぼんやりと見ることが推奨されています。
2つめが「調息」と呼ばれる要素で、息を整えることを表します。約5秒かけて鼻から息を吸い、10秒から15秒かけて口か鼻から息をゆっくりと吐いていくとよいそうです。
最後の3つめが「調心」と呼ばれる要素で、意識や心を整えることです。基本的な調心では1つの対象に注意を集中させることが重要で、はじめのうちは、自分の呼吸に集中するのがよいと大島氏は伝えています。
瞑想をたった5分間行なうだけでも、脳の疲れが軽減し、頭をスッキリした状態に戻すことができるでしょう。
***
長時間作業し続けるのがつらいと悩んでいる方や、集中して勉強したいという方は、短い時間で効率よくリフレッシュできる方法を実践してみてください。
なかなかやる気がでないなら、「【社会人向け】勉強のやる気が出ないときの原因5つ×対処法8選」もおすすめです。
(参考)
マナトピ|医師がおすすめする、勉強に疲れたときのリフレッシュ方法とは?ストレス対策や息抜きの方法をご紹介!
NHK|無理なく続けられる! 簡単筋トレで延ばそう健康寿命
StudyHacker|多すぎる二酸化炭素は脳の敵。仕事の生産性を上げる、上手な “換気” のしかた。
BUSINESS INSIDER|なぜ、カフェでは仕事がはかどるのか?
PRESIDENT online|1日2分を30日続けると自分が見違える
PRESIDENT online|3分で改善! 脳の疲労解消でパフォーマンスを上げる
Regus|Too Hot or Cold? Your Office Temperature Matters More Than You Think
ドリコムアイ.net|熱中症の危機を回避するネッククーラーの実現
StudyHacker|脳疲労を1分で回復! 「閉眼安静」 で集中力を取り戻す方法とは
今泉敦美, 小川亞子, 鄭飛, 田熊公陽, 阪元甲子郎, 松崎航平, 丸田健介, 矢野佑菜(2016), 「脳疲労と脳血流量の関係性~閉眼安静・ガム・アロマセラピーの比較~」, 第51回日本理学療法学術大会(札幌).
Rakuten|なかなか取れないその疲れ「脳疲労」?脳疲労の原因と解消法は
【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。