脳疲労を1分で回復! 「閉眼安静」 で集中力を取り戻す方法とは

脳疲労の回復方法をお探しですか? 情報社会を生きる私たちは、大量の情報を次々に受け取っているため、脳疲労を溜めやすいですよね。

脳疲労は集中力の低下などを引き起こしますが、ビジネスパーソンや勤勉な学生が脳疲労の原因を完全に避けるのは不可能。おまけに、現代人はゆっくり休む暇もありません。そこで今回は、最新の研究で判明した「最も効果的に脳疲労を回復させる方法」と、すぐに行える「脳疲労の応急処置」をご紹介します。

脳疲労の原因とは

脳疲労の原因とは、パソコンやスマートフォンのブルーライトや、過剰な情報、精神的なストレス、睡眠不足などです。食事の偏りや酸素不足も原因だといわれています。

東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身先生によると、「自律神経に負荷がかかることで起きる脳疲労こそが、日常的に感じる疲れの正体」なのだとか。長時間のデスクワークによる過度の集中状態も、自律神経の中枢を疲れさせる原因だそうです。つまり、一日中パソコンによるデスクワークをこなす職種の人や、パソコンを使って勉強している人は、脳疲労を溜めやすいといえます。

脳疲労の悪影響

脳疲労は人間の精神に悪影響を及ぼします。過去の研究によると、脳疲労は、脳の一部分「前頭前野」の血流を低下させてしまうのだそう。

神奈川歯科大学名誉教授の小野塚實氏によれば、前頭前野の中心的な働きは「集中力」「意欲」「共感力」「切り替え力(情動を抑える力)」とのこと。したがって、脳疲労は集中力・モチベーションの低下につながり、イライラすることが増えてケアレスミスも多くなるといえるでしょう。脳疲労は悪影響しか及ぼさないのです。

脳疲労の回復に最も効果的な方法

脳疲労の回復に効果的な方法としては「アロマセラピー」や「ガム」などが挙げられがちですが、国際医療福祉大学福岡保健医療学部に所属する今泉敦美氏らの研究によると、最も前頭前野の脳血流を上げたのは「閉眼安静」だったそう。

研究は、22歳前後の健康な成人9名(男性3名、女性6名)を対象に、脳の活性化状態を可視化できる「光トポグラフィETG4000」という機器を用いて行われました。研究では、以下の3つの方法が5分間ずつ試されたそうです。

  1. 安静:光を遮断した室内で目を閉じ、安静にする。
  2. ガムをかむ:メトロノームに合わせて毎分60回のスピードでガムをかむ。
  3. アロマセラピー:レモングラスの精油レモングラスを浸した紙から香りを吸う。

3つの方法のうち、最も前頭前野の脳血流が増加したのは、「安静」だったそうです。2番目は「ガムをかむ」、3番目が「アロマセラピー」とのこと。つまり、「暗い部屋で目を閉じて休む」ことが脳疲労の回復に最も効果的だったのです。視覚を遮断し室内を暗くすることで睡眠に近い状況になったため、副交感神経が活発になり、心身ともにリラックスできたのではないかと推測されています。単純すぎるかもしれませんが、脳疲労の回復には、安静がいちばんだということです。

今すぐ脳疲労を回復させる方法

つまり、今すぐ脳疲労を回復させる方法は以下の通りです。仕事や授業の合間でも簡単に行なえますよ。

  1. 座ったまま、タオルかハンカチで顔を覆う。
  2. それを両手で押さえて目を閉じ、視界から入る情報と光を遮断する。
  3. そのままの状態で1~5分間程度、脳を休める。

この際、眼球を圧迫しないよう注意してください。手ではなくタオルやハンカチなどで覆うことにより、周囲の人に「調子を整えている」という印象を与えることができます。タオルやハンカチを温めたり冷やしたりしてもよいですね。

もしも周りの人に「大丈夫?」と聞かれたら、「集中力を保つために、視界からの情報を遮断して、脳の前頭前野の血流量を上げてます」と伝えましょう。職場ではやりにくいというビジネスパーソンは、堂々と実施できるよう、職場で提案してみるのもよいかもしれません。

上で紹介した研究において休む時間は5分でしたが、目を閉じて外からの情報をシャットアウトする時間がわずか1分だけでも、大脳皮質を休ませられるといわれています。時間の長さよりも、「情報と光を遮断して目を閉じる」ことが大事なのです。実践してみるとわかりますが、目を閉じるだけで自然と呼吸が深くなるので、酸欠防止の効果も得られます。

脳疲労の回復にはいろいろな方法がある

脳疲労の回復に効く方法は、もちろん「安静」だけではありません。「ガム」にも「アロマセラピー」にも効果はあるのです。ただし、脳血流が増えやすい脳の部分は、それぞれの方法で異なります

  • 安静:左右の背側前頭前野の血流量が増加
  • ガム右側背側前頭前野の血流量が増加
  • アロマセラピー:左側上部前頭前野の血流量が増加

それぞれの脳疲労回復方法を取り入れることにより、「集中力」「意欲」「共感力」「切り替え力(情動を抑える力)」の働きを持つ前頭前野をまんべんなく活性化させることが期待できます。

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脳疲労の回復方法をご紹介しました。やってみたくなりましたか?

睡眠クリニックの梶本修身先生によると、「脳疲労が蓄積されると取り返しのつかない状態になることもある」のだそう。体や脳の病気を発症させる可能性があるということです。

今回ご紹介したのは、あくまでも応急処置。できるだけまとまった休養をとって脳疲労を回復させつつ、仕事や勉強を頑張りましょう!

なお、集中力を保つ方法については、「勉強に集中する方法まとめ。音楽・場所・食べ物を利用しよう」でも詳しく紹介しています。ぜひご参照ください。

(参考)
今泉敦美, 小川亞子, 鄭飛, 田熊公陽, 阪元甲子郎, 松崎航平, 丸田健介, 矢野佑菜(2016),「脳疲労と脳血流量の関係性~閉眼安静・ガム・アロマセラピーの比較~」, 第51回日本理学療法学術大会(札幌).
小野塚實 (2011),『噛めば脳が若返る』, PHP研究所.
プレジデントオンライン|3分で改善! 脳の疲労解消でパフォーマンスを上げる
Study Hacker|脳を活性化させよ! 集中力の維持と回復に役立つ6つの脳科学的方法
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