勉強にすぐとりかかれる人は「脳の準備」ができている。重要な「4つの要素」あなたは満たせてる?

学び直しを始めるべく「脳の準備」をするためのロジックツリー

専門家いわく、何かを行動するには「脳の準備」が必要なのだとか。だとすれば、やろうという気持ちがあるのに、学び直しを始められない社会人は、脳の準備ができていない可能性があります。勉強を軸にそれを掘り下げ、脳の準備を整えるコツを探ってみました。

すぐ行動できないのは、脳が準備不足だから?

医学博士で「脳の学校」代表の加藤俊徳氏は、「すぐ行動できるのは、脳の中にその行動をするための準備が整っているから」と説きます。逆に、すぐ行動できないのは、脳の準備が整っていないからなのだとか。一連の加藤氏の説明を参考にすると、脳の準備を整える要素はこの4つです。

  1. 頭のなかに(行動するための)情報を入れる
  2. 自分が「できること」に気づき、それを優先する
  3. とにかくカラダを動かす
  4. 動きを分解し、あえてゆっくりやってみる

(参考およびカギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|パッと「すぐ行動できない人」に共通する脳のクセ

詳しく説明しましょう。

1. 頭のなかに(行動するための)情報を入れる

一見すると簡単に見える「頭のなかに情報を入れる」という行為ですが、人の脳にはそれぞれ得意・不得意があるため、時としてスムーズにはいかないようです。

たとえば、見本を見るとパッと理解できるのに、説明を聞いてもピンとこない人は「見て頭に入れるのが得意な脳」の持ち主。説明を聞くとパッと理解できるのに、見本を見てもピンとこない人は「聞いて頭に入れるのが得意な脳」の持ち主。こんなふうに加藤氏は説明しています。したがって、得意なほうから情報を入れたらいいとのこと。

筆者の場合、文献を読んだり図解を見たりして情報収集を行なうことが多く、実際にそれがやりやすいと感じているので、「見て頭に入れるのが得意な脳」かもしれません。みなさまはどちらですか?

(参考元:同上)

2. 自分が「できること」に気づき、それを優先する

また、加藤氏は

「できないこと=脳の準備ができていないこと」

だと述べ、「できないこと」をいくらやろうとしても、脳が動かなくなり、ただ時間が経過してしまうと注意を促します。だからこそ、自分が「できること」に注意を向ける意識が大切なのだとか。ひとつ例を挙げましょう。

売り場づくりの経験が豊富なAさんは、店に入ってくるお客さまの動きを熟知しており、それをもとに商品を分類し、配置するのがとても得意です。しかし、「最近の流行」はよくわかりません。そのAさんが上司に「最近の流行」も取り入れるよう言われたとき、思考が停止して、何をやったらいいのかわからなくなりました。

つまり、Aさんは視界のいい「できること」より、視界が非常に悪い「できないこと」ばかりに意識が向いて、1ミリも動けない状態になってしまったわけです。こんなふうに動けなくなることを防ぐために、加藤氏は、

 「できる」ことと「できない」こと、すぐにやるべき2つの選択肢で迷ったら、ためらわずに「できる」ことを選んでください。

とアドバイスしています。同氏によれば、すぐ動ける人も「できないこと」を抱えているが、「できること」を優先しているから、すぐ動けるとのこと。

Aさんにも、まずは「いままで通りのやり方」で商品をいったん配置して、不得意な部分は、あとで周囲にアドバイスをもらえばいいのでは? と教えてあげたいですね。そうすればAさんはフリーズ状態を避けられたはずです。

(参考および引用元:同上)

3. とにかくカラダを動かす

では、「できないこと」にはどう対処していくのか?――に対する答えは、加藤氏の、

自分の中で一番早くやれることを探し、とにかくカラダを動かすこと

というアドバイスが参考になるでしょう。脳とカラダはつながっており、カラダを動かすと脳が活性化するため、「できないこと」も始めやすくなるからです。たしかに、ジッとしているより動いたほうが、なんらかの可能性を見いだしやすい気がします。

先述の――すぐ動ける人も「できないこと」を抱えているが、「できること」を優先しているから、すぐ動ける――といった内容にもつながります。

(参考および引用元:同上)

4. 動きを分解し、あえてゆっくりやってみる

そしてもうひとつ、「できないこと」への対処として加藤氏は、できる状態まで動きを分解して、ゆっくりやってみることをすすめています。そうする理由は、まだ存在しない脳の回路をつくるためです。

加藤氏の説明を参考に例を挙げると、たとえば公衆電話を使った経験がない世代は、公衆電話を使うための脳の回路が存在しないため、いざ携帯電話が使えないとき、どうやって町にある公衆電話を使えばいいのか、脳がうまく指示を出せない可能性があります。

そんなときは、

  1. 受話器を持つ
  2. コインを入れる
  3. 相手の電話番号を押す

といった具合に分解して、ゆっくり実行すれば、簡単に順番どおり、すべての工程を踏めるはず。こうやってひととおりこなすと、これに対応した脳回路ができあがるのだそうです。そして、それを何度も繰り返すことにより、脳のネットワークはどんどん強化され、準備が整った状態になっていくとのこと。

(参考:同上)

「脳の準備」を整えるために頭を整理してみた

筆者がつくった学び直しのためのロジックツリー

これまでの内容から、脳の準備を整える方法が、なんとなくわかりました。しかし、それに「なかなか学び直しを本格的に始められない自分」を当てはめて脳の準備を整えていこうとすると、案外整理が難しい……。

そんなとき、“複雑になった多くの要素を整理すること” について書かれた記事を見つけて、「これだ!」と思いました。その記事のなかでは、株式会社ユーグレナ 執行役員CTOで、理化学研究所 微細藻類生産制御技術研究チーム チームリーダーの鈴木健吾氏が、

 仮説を検証していく上で難しいのが、検証すべき条件が増えて手順が複雑化しやすいことである。多くの要素を整理するとき、私が思考の補助ツールとしていつも使っているのが、ロジカルシンキングで使われる「ロジックツリー」だ。

(引用元:日経ビジネス電子版|研究者よ、なぜ「ロジックツリー」をもっと使わないのか!?

と語っていたのです。

筆者の頭のなかにある多くの要素は、(並べて語るのも恐縮するほど)鈴木氏のそれとは大きく違いますが、これを読んだときに、「勉強行動を起こす目的で『脳の準備を整える』にあたり、そのためにやるべきこと(調べること)を、ロジックツリーを用いて整理しても、いいのではないか」と考えました。

そうして学び直しのためのロジックツリーを、先の “脳の準備を整える要素” を念頭に置きながら、つくってみたところ――

筆者がつくった学び直しのためのロジックツリー。上部中心のものと、下部中心のものを横並びにしている。

「ああ、ここで『見て頭に入れる』方法を選べばいいんだな」
「こんなときは、まず『できること』優先で『カラダを動かす』んだな」
「ここで行動を『分解』すればいいんだな」

などと4つの要素が頭に浮かび、進めるほど物事が具体的になっていきました。

そして、これを書き出す前よりも、行動を起こすことが現実的になったと感じられたとき、筆者にとって “勉強するための脳の準備” とは、“どう選択し、どう動くかなど、行動の輪郭がハッキリ見えてくること” だとわかったのです。

加えて言えば、ロジックツリーで整理を始めた時点で「カラダを動かした」ことになり、脳が活性化されたのかもしれません。さらに踏み込んで、勉強行動へとつなげていきたいと思います。

***
学び直しを始めるための、脳の準備を整えるコツについて探ってみました。みなさんもスムーズに勉強に取り組めるようになるといいですね。

【ライタープロフィール】
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