勉強にすぐとりかかれる人は「脳の準備」ができている。重要な「4つの要素」あなたは満たせてる?

学び直しを始めるべく「脳の準備」をするためのロジックツリー

専門家いわく、何かを行動するには「脳の準備」が必要なのだとか。だとすれば、やろうという気持ちがあるのに、学び直しを始められない社会人は、脳の準備ができていない可能性があります。勉強を軸にそれを掘り下げ、脳の準備を整えるコツを探ってみました。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

すぐ行動できないのは、脳が準備不足だから?

医学博士で「脳の学校」代表の加藤俊徳氏は、「すぐ行動できるのは、脳の中にその行動をするための準備が整っているから」と説きます。逆に、すぐ行動できないのは、脳の準備が整っていないからなのだとか。一連の加藤氏の説明を参考にすると、脳の準備を整える要素はこの4つです。

  1. 頭のなかに(行動するための)情報を入れる
  2. 自分が「できること」に気づき、それを優先する
  3. とにかくカラダを動かす
  4. 動きを分解し、あえてゆっくりやってみる

(参考およびカギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|パッと「すぐ行動できない人」に共通する脳のクセ

詳しく説明しましょう。

1. 頭のなかに(行動するための)情報を入れる

一見すると簡単に見える「頭のなかに情報を入れる」という行為ですが、人の脳にはそれぞれ得意・不得意があるため、時としてスムーズにはいかないようです。

たとえば、見本を見るとパッと理解できるのに、説明を聞いてもピンとこない人は「見て頭に入れるのが得意な脳」の持ち主。説明を聞くとパッと理解できるのに、見本を見てもピンとこない人は「聞いて頭に入れるのが得意な脳」の持ち主。こんなふうに加藤氏は説明しています。したがって、得意なほうから情報を入れたらいいとのこと。

筆者の場合、文献を読んだり図解を見たりして情報収集を行なうことが多く、実際にそれがやりやすいと感じているので、「見て頭に入れるのが得意な脳」かもしれません。みなさまはどちらですか?

(参考元:同上)

2. 自分が「できること」に気づき、それを優先する

また、加藤氏は

「できないこと=脳の準備ができていないこと」

だと述べ、「できないこと」をいくらやろうとしても、脳が動かなくなり、ただ時間が経過してしまうと注意を促します。だからこそ、自分が「できること」に注意を向ける意識が大切なのだとか。ひとつ例を挙げましょう。

売り場づくりの経験が豊富なAさんは、店に入ってくるお客さまの動きを熟知しており、それをもとに商品を分類し、配置するのがとても得意です。しかし、「最近の流行」はよくわかりません。そのAさんが上司に「最近の流行」も取り入れるよう言われたとき、思考が停止して、何をやったらいいのかわからなくなりました。

つまり、Aさんは視界のいい「できること」より、視界が非常に悪い「できないこと」ばかりに意識が向いて、1ミリも動けない状態になってしまったわけです。こんなふうに動けなくなることを防ぐために、加藤氏は、

 「できる」ことと「できない」こと、すぐにやるべき2つの選択肢で迷ったら、ためらわずに「できる」ことを選んでください。

とアドバイスしています。同氏によれば、すぐ動ける人も「できないこと」を抱えているが、「できること」を優先しているから、すぐ動けるとのこと。

Aさんにも、まずは「いままで通りのやり方」で商品をいったん配置して、不得意な部分は、あとで周囲にアドバイスをもらえばいいのでは? と教えてあげたいですね。そうすればAさんはフリーズ状態を避けられたはずです。

(参考および引用元:同上)

3. とにかくカラダを動かす

では、「できないこと」にはどう対処していくのか?――に対する答えは、加藤氏の、

自分の中で一番早くやれることを探し、とにかくカラダを動かすこと

というアドバイスが参考になるでしょう。脳とカラダはつながっており、カラダを動かすと脳が活性化するため、「できないこと」も始めやすくなるからです。たしかに、ジッとしているより動いたほうが、なんらかの可能性を見いだしやすい気がします。

先述の――すぐ動ける人も「できないこと」を抱えているが、「できること」を優先しているから、すぐ動ける――といった内容にもつながります。

(参考および引用元:同上)

4. 動きを分解し、あえてゆっくりやってみる

そしてもうひとつ、「できないこと」への対処として加藤氏は、できる状態まで動きを分解して、ゆっくりやってみることをすすめています。そうする理由は、まだ存在しない脳の回路をつくるためです。

加藤氏の説明を参考に例を挙げると、たとえば公衆電話を使った経験がない世代は、公衆電話を使うための脳の回路が存在しないため、いざ携帯電話が使えないとき、どうやって町にある公衆電話を使えばいいのか、脳がうまく指示を出せない可能性があります。

そんなときは、

  1. 受話器を持つ
  2. コインを入れる
  3. 相手の電話番号を押す

といった具合に分解して、ゆっくり実行すれば、簡単に順番どおり、すべての工程を踏めるはず。こうやってひととおりこなすと、これに対応した脳回路ができあがるのだそうです。そして、それを何度も繰り返すことにより、脳のネットワークはどんどん強化され、準備が整った状態になっていくとのこと。

(参考:同上)

「脳の準備」を整えるために頭を整理してみた

筆者がつくった学び直しのためのロジックツリー

これまでの内容から、脳の準備を整える方法が、なんとなくわかりました。しかし、それに「なかなか学び直しを本格的に始められない自分」を当てはめて脳の準備を整えていこうとすると、案外整理が難しい……。

そんなとき、“複雑になった多くの要素を整理すること” について書かれた記事を見つけて、「これだ!」と思いました。その記事のなかでは、株式会社ユーグレナ 執行役員CTOで、理化学研究所 微細藻類生産制御技術研究チーム チームリーダーの鈴木健吾氏が、

 仮説を検証していく上で難しいのが、検証すべき条件が増えて手順が複雑化しやすいことである。多くの要素を整理するとき、私が思考の補助ツールとしていつも使っているのが、ロジカルシンキングで使われる「ロジックツリー」だ。

(引用元:日経ビジネス電子版|研究者よ、なぜ「ロジックツリー」をもっと使わないのか!?

と語っていたのです。

筆者の頭のなかにある多くの要素は、(並べて語るのも恐縮するほど)鈴木氏のそれとは大きく違いますが、これを読んだときに、「勉強行動を起こす目的で『脳の準備を整える』にあたり、そのためにやるべきこと(調べること)を、ロジックツリーを用いて整理しても、いいのではないか」と考えました。

そうして学び直しのためのロジックツリーを、先の “脳の準備を整える要素” を念頭に置きながら、つくってみたところ――

筆者がつくった学び直しのためのロジックツリー。上部中心のものと、下部中心のものを横並びにしている。

「ああ、ここで『見て頭に入れる』方法を選べばいいんだな」
「こんなときは、まず『できること』優先で『カラダを動かす』んだな」
「ここで行動を『分解』すればいいんだな」

などと4つの要素が頭に浮かび、進めるほど物事が具体的になっていきました。

そして、これを書き出す前よりも、行動を起こすことが現実的になったと感じられたとき、筆者にとって “勉強するための脳の準備” とは、“どう選択し、どう動くかなど、行動の輪郭がハッキリ見えてくること” だとわかったのです。

加えて言えば、ロジックツリーで整理を始めた時点で「カラダを動かした」ことになり、脳が活性化されたのかもしれません。さらに踏み込んで、勉強行動へとつなげていきたいと思います。

***
学び直しを始めるための、脳の準備を整えるコツについて探ってみました。みなさんもスムーズに勉強に取り組めるようになるといいですね。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト