「スケジュール管理が苦手で、勉強が進まない」
「毎日勉強できず、頻繁に先延ばししてしまう」
ひとりで勉強しながら、このような悩みに直面していませんか? もしかするとそれは、手帳の使い方を変えてみるだけで解決できるかもしれません。勉強計画も立てられ、先延ばしも防げる万能の手帳術――「バレットジャーナル」を試してみてはいかがでしょう?
今回は、最強の手帳と言われるバレットジャーナルを筆者が勉強に活用してみました。実践の手順から効果まで、詳しくお伝えします。
「バレットジャーナル」とは
バレットジャーナルの発案者は、ニューヨーク市のデザイナーであるライダー・キャロル氏。幼少時からひとつの物事に集中できず注意が散漫になってしまう注意欠陥障害(ADD)に苦しんできたキャロル氏が、試行錯誤の末に、思考を整理しやすいノート術として考案しました。
デジタル時代に必要なアナログ・メソッドとして、ニューヨーク・タイムズをはじめとする数多くのメディアに取り上げられ、世界中で一大ブームを引き起こしています。
バレット(Bullet)とは、英語で “弾丸” のこと。箇条書きの頭につける「・」を指します。つまり、バレットジャーナルとは、箇条書きを用いてタスクや思考、情報を整理し、それらを管理するメソッドなのです。
バレットジャーナルの主な手法には、以下の3つが挙げられます。
ラピッドロギング
メモ、イベント、タスクなどを素早く(rapid)分類し、情報を効率よく記録します(logging)。〇×△などの記号を用い、自分の ”キー” を決めることもポイント。
キーで情報を振り分けることにより、完了済みのタスクや優先度の高いタスクなどがひとめでわかるようになります。
コレクション
関連する内容をまとめて記入します。主なコレクションは次の4つ。
- インデックス……目次(どのページに何が書いてあるのか)
- フューチャーログ……半年~1年間などの長期的な予定
- マンスリーログ……1か月の主な予定
- デイリーログ……1日のタスクや目標
移行
内容を見直し、確認作業をします。不要となったタスクは削除し、未達成のタスクは次のログへと移動。
「なんだか複雑そう……」と心配になる人もいるかもしれませんね。しかし、安心してください。やることはコレクションを作成し、そのつど振り返るだけ。手順は以下のとおりです。
- フューチャーログに半年~1年間の予定を月単位で書く。
- マンスリーログに日付を振り、1か月の予定を書く。
- 前日またはその日の朝に、やるべきタスクをデイリーログに書く。
- 1日の終わりにデイリーログを振り返り、未達成のものは次のログへ移動。
あとは「ログの記入→確認」を繰り返すだけ。意外とシンプルに思えてきませんか? 筆者の実践写真とともに、バレットジャーナルを勉強に活用するより詳しい手順を見ていきましょう。
「バレットジャーナル」を勉強に活用してみた
今回、筆者はバレットジャーナルを勉強に活用してみました。
使用したノートはA4サイズ。一般的な手帳よりも少し大きいほうがマンスリーログの一覧がつくりやすいと考えたためです。みなさんが実践する際は、持ち運びに便利な手帳サイズや、お気に入りのノートなど、お好みで選んでみてください。
最初のページには作成したキーと、インデックスを書きました。
今回使用したキーは6つ。「完了→〇」「未達成→△」「優先→*」のように、その記号が何を意味しているのか、自分でわかるキーを使います。
次のページには、フューチャーログを作成。
「1月 TOEIC申込、過去問開始」「3月 TOEIC試験」のように、月ごとのイベントや勉強で達成したい目標を書きました。右側は空白が目立ちますが、あとで情報を追加することも可能です。
そして、次がマンスリーログです。
順に日付を振り、その横には予定を書き込みます。ざっとわかるようにあまり詰め込みすぎず、特に集中して取り組みたいタスクだけを、「洋書」「英文法」という感じでシンプルに入れました。その下には、その月に読んでおきたい本がわかるよう付箋にリスト化したものを貼ります。
デイリーログでは、その日の朝にタスクリストを作成しました。
普通のスケジュール帳だとスペースが限られていますが、バレットジャーナルはスペースを自分で調整できるため、その日やるべきタスクの量に関係なく、自由に書くことができます。
そして1日の終わりにタスクを確認。
〇や△で達成状況を記録しました。そのうえで、その日未達成のタスクは翌日のリストに移動。読み終えた本はリストの下にメモとして残しておきました。
実践後の感想
1. 自由にカスタマイズできて使いやすい
実践後、筆者がまず感じたのは、“意外と使いやすい”ということ。自分でつくる手帳にハードルを感じ、これまで市販のスケジュール帳を使っていた筆者ですが、その手軽さに驚きました。
というのも、自由度が高いわりに、日々やることはタスクの書き出しと、自分で決めたキーを使った確認だけとシンプルだからです。また、タスクの完了・未達成や優先順位などを記号で表記することで、簡単に情報が整理され見やすいと感じました。
それに、既成の手帳だとスペースが仕切られているため何かと制約があるもの。自分でカスタマイズできるバレットジャーナルなら、スペース調整がしやすく、好きなように使えて便利だと思いました。
2. 逆算して計画できて便利
フューチャーログで1年間の勉強予定を立てられるのも、大きなメリット。1年間の予定を見開きで一覧できるので、勉強計画を逆算して考えるときに便利だと感じました。
たとえば、試験日が半年以上先だとしても、フューチャーログを見れば、何月までに単語帳を覚えればよいか、何月までに過去問を網羅すればよいのか、月ごとにざっくりと計画が立てられるうえ、ひとめで把握することができます。
目の前の勉強をこなすうちに先々のことを見失いやすい人には、まさにぴったりではないでしょうか。
3. タスクを細分化しやすく、先延ばしを防げた
バレットジャーナルを使用してから、普段よりタスクの達成率が上がったのも実感しました。これは、達成したいタスクを書き出し、明確にすることによる効果だと考えられます。
習慣化コンサルタントの古川武士氏によれば、タスクを “チャンクダウン” すると先延ばしが防げるのだそう。チャンクダウンとは、「大きな塊を小さく」すること。つまり、やるべきタスクを大きくて曖昧なままにせず、細分化して具体的にしていけば、「これならやれそう」と思えて、行動に結びつくのだとか。
デイリーログを通じてチャンクダウンを実践することが、実際の勉強行動につながるのだと実感しました。
4. バレットジャーナルをつくる目的を明確に!
使いやすくタスクも達成しやすいバレットジャーナルですが、ひとつ注意をしておきたいのが「目的」を忘れないということ。
初め、筆者は機能的に使おうと思い、キーを増やそうとしましたが、あとで自分が使いこなすためにはできるだけシンプルなほうがいいと考え直しました。
美しくクリエイティブな手帳をつくることなのか、機能的な手帳をつくることなのか、勉強などのタスクを確実にこなすことなのか――みなさんも、自分の目的に合った方法で、バレットジャーナルを作成することをおすすめします。
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ぜひ、みなさんも自分だけのバレットジャーナルをつくってみてください。きっと、日々の勉強を支えてくれますよ。
(参考)
ライダー・キャロル著,栗木さつき訳(2019),『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』,ダイヤモンド社
ダイヤモンド・オンライン|バレットジャーナルが続かなかった私が発案者ライダー・キャロル氏から直接聞いた3つのアドバイス
dummies|What is a Bullet Journal (BUJO)?
STUDY HACKER|「先延ばし癖」どうすれば解消できるのか? “すぐやる” ための『3つの習慣』
【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。