仕事はサクサク進めたいですよね。あなたは「いまの職場はなんだか仕事のスピードが停滞気味……。どうにか改善したい!」そう思っていませんか?
今回は、自分の仕事もチームの仕事もサクサクスピーディーに進めてしまうビジネスパーソンの特徴を8つまとめてみました。あなたはいくつ当てはまっているでしょうか。
【1】最初にゴールを決める人
仕事が速い人のひとつめの特徴は、最初にゴールを決めること。『ラクして速いが一番すごい』著者で人事戦略コンサルタントの松本利明氏は、日本のほとんどの企業では、いまやっていることの延長で今後の計画を決めていると言います。たとえば、次のような方針です。
いまやっていること:既存顧客の購買意欲を促すプロモーションを打つ
→計画:いままで通りのプロモーションをもっと頑張って、商品の売上を伸ばそう
しかしこれでは根拠がなく、売上が確実に伸びるとは限りません。どう頑張れば売上が伸びるのか模索するのに、時間がかかりすぎてしまいます。
松本氏いわく、仕事が速い人は、いまやっていることはいったん無視してゴールを先に決め、それを実現するためにはどうすればよいかを考えるとのこと。以下のような感じです。
ゴール:売上を倍にする
→計画:売上を倍にするには、購入者層を広げることが必要なので、幅広い層に使いやすく商品を改良する
このように、ゴールを最短距離で達成する方法を常に考えることが、仕事をスピーディに進めるコツなのです。
【2】相手がいる仕事からやる人
仕事が速い人は、相手がいる仕事から着手する――こう言っているのも松本氏です。
たくさんのタスクを抱えていると、優先順位を決めるのは大変ですよね。松本氏によれば、「1. 相手のいる仕事」→「2. ひとりでできる仕事」の順に取り組むと最も仕事がスピーディに片づくそう。
- 相手のいる仕事:
企画書や報告書の作成など期限が決まっている仕事。確認や判断業務など。 - ひとりでできる仕事:
期限までまだ余裕がある仕事。個人のプロジェクトなど。
待っている相手がいる仕事を先に終わらせれば、そのぶん相手の仕事を速く進めることができます。さらに相手を待たせているという心理的負担もなくなるので、自分ひとりでできる仕事にも集中できるでしょう。結果、仕事相手も自分も仕事がサクサク片づくというわけです。
【3】いきなり完璧を目指さない人
著書に『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』をもつ税理士の石川和男氏によれば、仕事では最初から完璧な出来を目指すより、完璧でないラフ案から始めて方針をすり合わせていくほうが効率的なのだとか。
石川氏は自身の経験から、仕事の遅いリーダーと速いリーダーの違いを以下のように示しています。
仕事が遅いリーダー:部下の仕事に完璧を求める
→最初から完璧なものをつくらせようとするので、つくる段階で時間がかかるうえ、修正する段階でも時間がかかる。
仕事の速いリーダー:部下がラフ案をつくった時点でチェックする
→ラフ案なのでつくる段階では時間がかからない。早い段階でアドバイス・修正するので大幅な修正もいらない。
このように、仕事が速い人は、速いからといっていきなり完璧に仕上げているわけではないのです。
【4】マルチタスクをしない人
仕事が速くてデキる人は、いくつもの仕事をマルチタスクでテキパキと終わらせていくイメージがあるかもしれませんね。しかし、彼らはマルチタスクをしません。
グロービス経営大学院経営研究科副研究科長の村尾佳子氏によれば、マルチタスクをすると、短い時間のうちに次々と別の仕事へ切り替えをしなければならず、そのたびに集中力が途切れてしまうそう。
村尾氏いわく、仕事をスピーディにこなすコツは、ひとつの仕事だけに集中し、終わらせるかキリのいいところまで完了させてから別の仕事へ移ること。そのほうが、集中力を無駄なく生かせて結果的に仕事が速く終わるそうですよ。
【5】メールに即レスしない人
前出の松本氏いわく、仕事が速い人はメールにすぐ返事をしないとのこと。「メールをためないほうが、自分も相手も仕事がサクッと片づくのでは?」と思うかもしれませんが、そうとも限らないようです。
ここにも先ほどの「マルチタスク」が関係してきます。資料作成のさなか、メールの通知にすぐさま反応して返信すれば、それまでに集中していた資料作成を中断することに。返信を終えてまた資料作成に戻り……というマルチタスク状態となり、集中力が切れてしまうのです。
仕事が速い人のメールの返し方は、普段は通知を切っておき、決まった時間にまとめて返すこと。一度に処理したほうが、マルチタスクにならず作業効率は上がります。とはいえ、よほど緊急の案件であれば個別に対応してもかまいません。
これには石川氏も同意見。メール処理の時間は1日4回(例:9時、13時、15時、終業時)などと決めておくことをすすめています。
【6】会社の価値観で判断する人
さらに松本氏は、仕事が速い人は自分の価値観ではなく、会社の価値観で物事を判断するとも述べます。
それぞれが自分の価値観で話し合うと、「コストがかかっても高品質なほうがお客様の求めるものになる」「いや、価格を抑えるほうがお客様のためだ」などと意見がぶつかり、いつまでも結論が出ません。
一方、話し合いをスピーディーに運ぶ人は、自分の価値観は横に置き、「会社の価値観に合う結論は何か?」と考えます。どの会社にもある「経営理念」や「ミッション」に基づいて考えるのです。
「高品質をとるか、低価格をとるか?」
→「経営理念に『お手頃価格で届ける』と書いてある。だから低価格をとる」
このように、会社の価値観を判断基準にすれば、チームの考えはサッとまとまるはずです。
【7】感情的にならない人
仕事が速い人は、感情的になりません。元マッキンゼー勤務の人材戦略コンサルタント大嶋祥誉氏によれば、焦りやイライラなどの負の感情を仕事にもち込むと、無駄なエネルギーを使ってしまうため効率が落ちるとのこと。
大嶋氏は、仕事がデキる人は例外なく感情が安定していると言います。そのうちのひとり、大嶋氏がマッキンゼー時代にメンターとして尊敬していたと語る先輩の言葉がこちら。
「感情的になっても、悩んで思い煩っていても、仕事がうまく進むわけではないだろう。どうしたら問題を解決し、目標達成できるか? それだけを考え、ひたすら実行するだけだよ」
(引用元:青春オンライン|一流ほど仕事が早い秘密! マッキンゼー流「悩まない」行動原則 ※太字による強調は編集部にて施した)
たとえば、指示に従わない後輩にイライラしそうなときは、「どうすれば伝わるだろうか? 図で説明してはどうか? 実際にやりながら説明しようか?」などと、解決策を考えていくと仕事がスムーズに進みます。仕事の速い人は、怒りのような極端な感情を抱く前に、問題解決の頭に切り替えているのです。
【8】まわりと信頼関係を築いている人
仕事が速い人の特徴として最後に挙げるのは、チームのメンバーと信頼関係を築いていること。こう説くのは前出の村尾氏です。
信頼関係を築けているチームは、コミュニケーションが円滑。「こんなことを言ったらダメかな」などと迷うことなく、思ったことをなんでも発言できるので、意見交換や相談が活発に行なわれます。結果として、仕事がスピーディーに進み、成果を挙げやすくなるのです。
村尾氏の解説から、職場で信頼関係を築くポイントをふたつにまとめます。
- 人間対人間としての関わりを大事にする
例:雑談、好きなものを伝えるなどの自己開示をする、相手の話を興味をもって聞く - 約束を守る
例:「何日までに仕上げます」といった仕事上の約束や、「ご飯に行きましょう」などプライベートの約束を守る
このふたつを実践してチームで信頼関係を築き、仕事がはかどりやすい職場をつくりましょう。
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8つの特徴をまとめると、以下のようになります。
自分の仕事もチームの仕事もサクサク進める人の特徴、あなたはいくつ当てはまったでしょうか。あなたがこんな人になれば、あなたの職場もグッと仕事しやすく変わるかもしれません。
(※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです)
(参考)
松本利明 (2018), 『ラクして速いが一番すごい』, ダイヤモンド社.
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【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。