「ビジネスについて勉強したいけど、何から始めたらいいんだろう」と、お悩みではありませんか?
そんな社会人におすすめの勉強を、詳しく解説します。記事の最後でビジネスの勉強に役立つ本もご紹介しますので、ぜひご覧ください。
- ビジネスを勉強する方法1:ビジネスマナーを学ぶ
- ビジネスを勉強する方法2:思考の深め方を学ぶ
- ビジネスを勉強する方法3:ITスキルを磨く
- ビジネスを勉強する方法4:英語を学ぶ
- ビジネスを勉強する方法5:教養を身につける
- ビジネスの勉強に役立つ本
ビジネスを勉強する方法1:ビジネスマナーを学ぶ
ビジネスの勉強で何をしようか迷ったら、とりあえず正しいビジネスマナーを学ぶことから始めてみては? ビジネスマナーとは、仕事をするうえでのルールや礼儀のこと。多様な価値観をもつ人たちと気持ちよく仕事をしていくために、欠かせないものですよね。
『安心と自信を手に入れる! ビジネスマナー講座』(同文舘出版、2021年)の著者でフリーアナウンサーの田巻華月氏によると、ビジネスマナーを磨けば次のようなメリットが得られるのだとか。
- 常識がある人だと好印象をもたれる
- 良好な人間関係を築くことができる
- 信頼を得て仕事がスムーズに進められる
田巻氏は、お辞儀や言葉遣いなど、ビジネスマナーの基本の形式や型から入る勉強法をすすめており、理由を次のように語っています。
一番大切なのは、基本に沿いながら、相手にどのように接すればいいのかを臨機応変に自ら考え、自分の型を創り上げることです。その対応こそが相手を思いやっているマナーです。
(引用元:田巻華月(2021),『安心と自信を手に入れる! ビジネスマナー講座』, 同文舘出版.)
ビジネスの現場では、相手や場面、自分の立場などを考えながら、柔軟に対応せねばなりません。経験が浅いために、どう振る舞えばよいか戸惑うこともあるでしょう。そんなとき、ビジネスマナーの基本的な部分が身についていれば、基本を軸に、自信をもってなすべきことを判断できるというわけです。
ビジネスマナーを勉強するには、会社の社員研修や個人向けのビジネスマナー講座を受講するほか、本を使って独学する方法があります。おすすめのビジネスマナーの本は、「ビジネスの勉強に役立つ本」の章で紹介していますので、参考にしてみてください。
ビジネスを勉強する方法2:思考の深め方を学ぶ
ビジネスの場で、斬新なアイデアや効果的な問題解決策を出せるようになるため、「図で考える」思考法を勉強してはいかがでしょう。
経営学の専門家で筑波大学大学院教授の平井孝志氏は、「図で考える」利点を次のように説明しています。
「図で考える」ことが威力を発揮する理由は、ビッグ・ピクチャー(全体像)を描ける、論理展開が明確になる、構造やダイナミズムを的確に把握できる、といったところにあると思います。
(引用元:平井孝志(2020),『武器としての図で考える習慣 「抽象化思考」のレッスン』, 東洋経済新報社.)
つまり、よくわからないことを図に書き出しながら考えていくうちに、余計な情報がそぎ落とされ、本質的なものが見えてくるというわけです。平井氏の著書を参考に、「一番の基礎となる型」だという概念図を解説しましょう。
概念図は、考えがまとまっていない状態から、アイデアを出したり問題の構造を見つけたりするときに使えます。思いついたことを紙やホワイトボードにすべて書き出し、線を引き、丸や四角でくくるだけ。
平井氏の概念図は、次のようなものです。
(引用元:同上)
考えるべきことを全部書き出せば思考の全体像が見え、線や図形でくくれば物事の関係性が明らかになるそうです。筆者も、本記事のテーマ「ビジネスの勉強に何をする?」で実践してみたところ、このような概念図ができあがりました。
難しく考えず、頭に浮かんだことを書いて、囲んで、結ぶだけ。概念図を描いてみると、たしかに考えていることの全体像がはっきりしました。
あなたも、ビジネスパーソンの頼もしい武器となる、「図で考える」思考法を勉強してはいかがでしょう。
ビジネスを勉強する方法3:ITスキルを磨く
ビジネスの勉強としてITスキルを磨けば、チャンスをつかめるかもしれません。猛スピードで世界のデジタル経済化が進行していく時代にありながら、日本ではITスキルを備えた人材不足が問題となっているからです。
経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」では、2030年には45万人のIT人材が不足すると予想されています。情報処理推進機構の「DX白書2021」では、「事業戦略上の変革を担う人材」の確保について日本企業に調査(534社が回答)したところ、76.0%が「量」の不足を、77.9%が「質」の不足を感じているとの結果でした。
経済産業省商務情報政策局サイバーセキュリティ・情報化審議官の江口純一氏は、「70%以上が不足感を感じているというのは、組織のDXを進めるうえではデメリットになる」と指摘。「常に新しい技術を身につけ、変革を起こせる人材を組織のなかで確保していくことが必要不可欠」と語っています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用した経営改革。情報学を専門とするインディアナ大学教授、エリック・ストルターマン氏が提唱しました。2004年、「IT技術が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させる」という概念をDXと名づけたのが始まりです。
ITスキルがあり経営改革を担える能力をもった人材(DX人材)の需要の高さが、おわかりいただけましたか?
ITの勉強法としては、経済産業省がDX人材育成のため推進している、初心者向けの施策を利用する手があります。詳しくは、Webサイトで確認してみてください。
- ITパスポート試験:
すべての社会人・学生が備えておくべき、ITの基礎知識が証明できる国家試験 - 巣ごもりDXステップ講座情報ナビ:
新しい知識・スキルを自宅で習得できる、無料のオンライン講座を紹介
「いきなり試験や講座で勉強するのは、ハードルが高いな……」と感じるなら、かみ砕いた表現とイラストで、わかりやすくIT用語を解説してくれる本を読んでみては? 言葉を知れば視野が広がり、ITを身近に感じられるようになりますよ。
ITスキルは、これからのビジネスパーソンにとって、勉強する価値が非常に高いのです。
ビジネスを勉強する方法4:英語を学ぶ
ビジネスの勉強に、英語力のブラッシュアップも加えておきたいところです。でも、「普段仕事で使わないし、英語を学ぶ必要ってあるのかな?」と疑問に思うかもしれませんね。英語力を磨いておくといいわけは、多くの企業や団体が、ビジネスパーソンの英語力を重要視しているからです。
日本でTOEICを実施する一般財団法人・国際ビジネスコミュニケーション協会による「英語活用実態調査2019」では、2017年1月~2018年8月にTOEICを受験した企業・団体にアンケート調査を実施(有効回答数528)。次のような結果でした。
- 「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル」は?
→英語(82.6%で最多) - 「社員や職員に不足している・今後強化する必要がある知識やスキル」は?
→英語(67.0%で最多)
企業がビジネスパーソンの英語力を重要視しており、強化の必要があると考えていることがわかりますよね。英語を勉強する意味を感じていただけたでしょうか?
英語の勉強法は、テキストやアプリで独学したり、英会話スクールに通ったりと多種多様。たとえばIT業界にお勤めの方であれば、こちらの記事で、技術的な専門用語や最新のトレンドワードなどを学べる英語のスクールを探してみてはいかがでしょう。
>>IT業界の英語を学べるサービス・スクールおすすめ12選【エンジニア向け】|THE NUNOBLOG
なお、自分にぴったりの勉強法がわからず困ったら、まずはご自身の英語レベルを確かめてみることをおすすめします。「TOEIC Listening & Reading Test」や「実用英語技能検定」などを受験し、腕試ししてみるのです。現状の英語力がわかれば、勉強の目標や道筋が立てやすいのではないでしょうか。
もっと手軽な方法をお探しなら、チェックリストであなたにピッタリの学習法を調べられる『マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ 新装増補版』を利用してみては? 詳細は、「ビジネスの勉強に役立つ本」をご参照ください。
英語力をいまよりレベルアップする勉強で、ビジネスパーソンとしての可能性を広げていきましょう。
ビジネスを勉強する方法5:教養を身につける
一流のビジネスパーソンになりたいなら、ビジネスの勉強で教養を身につけることが肝要です。ライフネット生命保険の創業者で、ビジネスや教養関連の本を多数執筆している出口治明氏も、教養はビジネスに有益だと力説しています。
出口氏の言う教養とは、「広く浅く」といった雑学的な知識ではなく、「広く、ある程度深い知識」のこと。教養は仕事のヒントを与えてくれるだけでなく、「グローバル化した世界を生き抜くための最強の武器」にもなるそうです。
出口氏は、かつて英国で仕事をしていたとき、シェイクスピアの話題で距離が縮まった相手から仕事をもらえたのだとか。同じように教養に助けられ、ビジネスに成功してきた数々の経験から、「ビジネスには教養が大切なのだ」と考えるようになったそうです。
ビジネスの成功には、相手と信頼関係を結ぶことが欠かせません。教養を磨いておけば、どんな人が相手でも共通の話題を見つけることができ、共感を得やすくなるメリットがあるのです。
出口氏が「この人はすごい」と思ったグローバルリーダーは、「ビジネスや経済だけではなく、文学、美術、音楽、建築、歴史などにも間違いなく深い素養」をもっていたそうですよ。
ビジネスに役立つ教養は、新聞や雑誌、本で養うことができます。新聞なら、ビジネスに直結する情報が得られる「日本経済新聞」がおすすめ。日経新聞のWebサイトでは、読み方のコツが次のように解説されています。
- 電子版:
トップページで最新情報を得る。雑談に使える話題を仕入れたいなら「アクセスランキング」をチェック - 紙面:
朝刊1面から読む。時間がないときは、1面に近い前の面や、面積が大きい記事を優先
続いて、教養の勉強におすすめのビジネス誌を3つご紹介しましょう。
- 日経ビジネス:
主要ビジネス誌で最大の読者数。「生きた企業事例」「リーダーの行動と本音」「ニュースの裏側」に迫る記事が、ビジネスヒントを与えてくれる。話題の新アイテムや最新テクノロジーに関する話題も豊富 - 週刊ダイヤモンド:
書店で一番売れているビジネス週刊誌。グラフやチャートでわかりやすい。経済動向、企業情報から投資のテクニックまで幅広い - 週刊東洋経済:
『会社四季報』と同じ東洋経済新報社による、日本で最も歴史の長い週刊誌で、硬派な内容。業界専属の記者集団によって練られた記事や、独自データに基づくランキング・図解がポイント
上記の雑誌はいずれも電子版があります。安く、効率よく読みたいなら、「楽天マガジン」などの読み放題サービスもいいでしょう。
教養を身につけたい社会人におすすめの本は、こちらの2冊です。
- 出口治明『哲学と宗教全史』
- 田中靖浩『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語』
詳しくは、次の「ビジネスの勉強に役立つ本」で解説していますので、ご覧になってみてください。
ビジネスの勉強に役立つ本
ここからは、本記事でも参考にした、ビジネスの勉強に役立つ本をご紹介します。
『安心と自信を手に入れる! ビジネスマナー講座』
前出の田巻氏による著書で、就職活動中の学生から新米社会人、指導的立場にある人まで使える、ビジネスマナーの本です。おすすめポイントは、ビジネスマナーの基本から応用まで網羅された内容の濃さ。
あいさつ、会話、ビジネス文書、冠婚葬祭、食事でのマナーといった基本に加え、「社会人として守るべきSNSの基本ルール」「良好な人間関係づくりのヒント」など、社会生活に役立つ知識も学べます。
そのまま職場で活かせる、言葉遣いの具体例も豊富。社会人なら手元に置いておきたいビジネスマナーの教科書です。
『武器としての図で考える習慣 「抽象化思考」のレッスン』
前出の平井氏が著した、図で自分の考えを深めるメソッドを学べる本。基礎編と実践編の2部構成です。
基礎編では、本記事でも触れた概念図のほか、「構成図」「分析図」といった基礎的な図の描き方や、次のような「図で考える」メリットを紹介しています。
- 本質が現れる
- 思考が見える化される
- 「ビッグ・ピクチャー」をとらえられる
- 新しいアイデアが生まれる
実践編では、実際にプロも使用している下記の4つの型の描き方が出てきて、さまざまな「図の型」や「思考の切り口」を学ぶことができます。
- ピラミッド
- 田の字
- 矢バネ
- ループ
手書きふうのシンプルなイラストと簡潔な文章で、読みやすくわかりやすく説明してくれます。「思考法」の本選びに迷ったら、とりあえず『武器としての図で考える習慣 』から読んでみてください。
『見るだけIT用語図鑑278』
「最近よく聞くDXってなんだろう?」という疑問に答えてくれる、親切なIT用語の図鑑です。すべての解説ページに、IT用語をひとことで表現した「キャッチコピー」とかわいいイラストがあり、略語の正式名称(または英訳)もついています。
「この言葉の意味がすぐに知りたい!」というときに『見るだけIT用語図鑑278』をめくれば、信頼できる情報に短距離で行きつくでしょう。IT用語に自信がない人の心強い味方になってくれること請け合いです。
ITをストレスなく勉強したいなら、まずは『見るだけIT用語図鑑278』を読んで言葉の知識をインプットしませんか?
『マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ 新装増補版』
「ビジネスの勉強に英語を学びたいけれど、どう進めれば?」とお悩みなら、『マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ 新装増補版』の英語力マップを参考にしてみては?
英語力マップとは、英語習得の全体像を示した「英語学習の地図」のこと。平地の「基本文法・基本語彙」からスタートし、山頂の「複雑に話し、書くことができる」がゴールです。
あなたの現在地は、「チェックリスト」で調べることができます。「基本文法・基本語彙」までは十分に習得できているとわかったら、次の「ゆっくり読めば理解できる」レベルを目指して学習すればよいのです。
ほかにも、実際のトレーニングに使えるコーナーや教材など、独学に役立つ情報も載っています。マンガ仕立てなので、読み物としても楽しめますよ。
『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語』
「お金」と「数字」が苦手なビジネスパーソンには、魅力的な歴史エピソードとともに会計の仕組みを学べる『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語』がおすすめです。
著者で公認会計士の田中靖浩氏が「会計の全体像を、歴史とともに楽しく学べる」内容を目指したと述べているように、細かい数字や計算はいっさい登場しません。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」と「簿記革命」、「蒸気船」と「投資家革命」など、名画や発明品と会計の歴史が結びつく、興味深いエピソードが満載。名所めぐりのように、簿記・会計・ファイナンスの世界を案内してくれますよ。
専門用語や登場人物には解説がつき、文章では理解しにくい内容をイラストで説明してくれるので、歴史に詳しくない人でも安心です。著者によると、事実に基づきおもしろく「盛って」いるエピソードもあるそうなので、娯楽的な読み物として気軽に楽しんでくださいね。
数字が苦手でも、お金についての教養を楽しく高められる『会計の世界史』で、ビジネスの勉強をしてみませんか?
『哲学と宗教全史』
世界で活躍したいビジネスパーソンにとって、哲学や宗教の教養は身につけておかねばならないもの。とはいえ、堅苦しさを感じてしまうかもしれませんね。
そんな方には、サクサク読めて、哲学や宗教に関する知識がすっと頭に入る『哲学と宗教全史』がおすすめ。ディスカヴァー・トゥエンティワンが主催する「ビジネス書大賞2020」でビジネス教養部門の特別賞を受賞しました。
著者の出口氏は、哲学・宗教を学ぶ意義を次のように語っています。
僕は人生の節目節目において哲学や宗教に関わる知見にずいぶん助けられてきた感じがします。そうであれば、哲学や宗教の大きな流れを理解することは、間違いなくビジネスに役立つと思うのです。
(引用元:出口治明(2019),『哲学と宗教全史』, ダイヤモンド社. 太字による強調は編集部が施した)
実際、「世界初のインターネット生命保険会社」としてライフネット生命を創業する際、人間に関わる哲学的・宗教的な考察が役立ったそうですよ。
「どのような人物が、どのような時代に、どんな哲学や宗教を生み出してきたのか」を知るために読んでほしい、と出口氏。関連書籍がたくさん紹介されているので、次に読む本を探すのにも役立ちます。
超一流のビジネスパーソンにならって、あなたもビジネスに使える教養の勉強をしてみませんか?
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社会人におすすめの、ビジネスの勉強方法をご紹介しました。やってみたい勉強をこの記事で見つけたら、さっそく始めてみてください。
社会が必要としているスキルを磨く勉強は、あなたのビジネスライフにきっと役立つはずです。
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週刊ダイヤモンド|週刊ダイヤモンドとは
東洋経済STORE|週刊東洋経済の定期購読
平井孝志(2020),『武器としての図で考える習慣 「抽象化思考」のレッスン』, 東洋経済新報社.
田巻華月(2021),『安心と自信を手に入れる! ビジネスマナー講座』, 同文舘出版.
出口治明(2019),『哲学と宗教全史』, ダイヤモンド社.
田中靖浩(2018),『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語』, 日経BP.
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。