10年後に「一流になれる人」「二流止まりの人」。決定的な差を生む5つの行動習慣。

一流と二流の差を生む行動習慣01

仕事をしていると、ふと「今のままでいいのかな」と将来に対して漠然とした不安を覚えることはありませんか? もし明確な将来のビジョンを思い描けずに、ただなんとなく毎日を過ごしているとしたら要注意です。

若いうちは大抵のミスも「若いから」「経験が浅いから」といって許されることも多いでしょう。しかし、その立場に甘んじて、自分自身を成長させることを怠れば、10年後には必ずそのツケが回ってきます

今回は、「10年後の自分のために今からやっておくべき大切なこと」を5つお伝えします。

1. 相手の頭の中を理解する「ロジカルリスニング」を実践する

ビジネスのシーンでもプライベートでも、会話をしなければ物事は進んでいきません。近年メールや社内チャットでのやり取りが増えたとはいえ、重要な場面では実際に顔を合わせて会話をすることが必須ですよね。コミュ障」「人見知り」、これらを言い訳にしてコミュニケーション能力を上げる努力をしないのは二流の証です。会話力を上げるための第一歩として、コンサルタントとして活躍する船川淳志氏が編み出した『ロジカルリスニング』をおすすめします。

ロジカルリスニングとは、相手の話を聴きながら、相手の頭の中で組み立てられたことと意図を理解する技術であり、「論理的思考」と「受容・傾聴」を統合した、思考力と対人力が合わさったスキルのことです。そして、そのために必要な手順として、船川氏は次の4つのステップを紹介しています。

  1. 頭の中で物事を組み立てる
  2. 自分の頭の中で組み立てたことを、相手にわかりやすく伝える
  3. 相手の話を聴きながら、相手が頭の中で組み立てたことを理解する
  4. 複数の相手とお互いの考えを交換、共有しながら、問題解決や新たな考えを共創する

たとえば、あなたは出版社の営業担当だとします。今度新刊を出すにあたって「書店でフェアを展開してほしい」と店長に提案する場面で、この本の魅力や著者の知名度、過去の売り上げなどを数字を交えて伝えます(1・2)。ところが店長はあまり乗り気ではありません。

話を聞いてみると、「このジャンルの本は最近売り上げが悪い」「本を買わない若い層に向けてフェアを展開するのは気が進まない」など、ネガティブな要素が出てきました。そこで、書店の若いアルバイト店員も含めて話をしてみると、「この作家はSNSで発信力がある」「ルックスがいいので顔写真のパネルも一緒に置いてみては?」といった新しいアイデアが次々と出てきて、店長の不安要素を取り除くことができました(3・4)。

ビジネスに生かすには、このように「相手が不安に感じていることは何だろう?」「自分の説明だけでは補えない不安要素を解決するために必要なことは?」と、自分自身に常に問いかけるようにすると、相手の話をしっかりと聴く訓練につながります。相手の言葉の裏に隠された意味や、表情の変化に敏感になることが大切です

2. 相づちは「さしすせそ」を意識する

ただ黙って話を聴くよりも、合間に相づちを挟んだほうが、会話にリズムが生まれ、話しているほうも気分が良いものです。しかし「はい」「へえ」「たしかに」「そうなんですか」と、同じような相づちを繰り返しているだけでは、ワンパターンでつまらない人だという印象を与えてしまいます。また「本当に私の話を聞いてるの?」と相手を不安にさせてしまうことも。

バリエーション豊かに相づちを使いこなせれば、どんな相手でも臆することなく会話を楽しめるでしょう。『1日1分、30日で人生が変わる「話し方」「聴き方」』(ダイヤモンド社)の著者・下平久美子氏は、「さしすせそ」を頭文字にした相づちをすすめています

知らなかった
さすが○○さんですね
自分にはない視点でした
すばらしいですね
それは○○だったでしょう

これらはほんの一例ですが、どれも相手を不快にさせることなく、会話をスムーズに進めるのに役立ちます。10年後、あなたはたくさんの部下を抱える立場になるかもしれません。自分よりも下の立場の相手にこそ、威圧的にならず優しい相づちを心がけましょう。相手の信頼を得るためにも、話しやすい雰囲気でいることは大切です。

3. 質問力を高める

コミュニケーションが苦手な人は、相手の知りたいことや聞きたいことなどのニーズを知ろうとせずに話す」と述べるのは、コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀氏。若い頃営業マンだった松橋氏は、お決まりの営業トークを一方的にしゃべり続けた結果、まったく成果を上げることができませんでした。

相手の話を聞かない、むしろ相手にできるだけしゃべらせないようにする。そこには「想定外の質問をされたら自分のペースが狂ってしまう」といった理由が潜んでいます。会議で発言するとき、自分が話す内容にばかり気をとられて、周りの反応に意識が向いていない。誰かに意見を挟まれると頭が真っ白になってしまう。それではいつまでたっても、相手に伝わる話し方は身につきません。

また、一方通行で独りよがりな会話、齟齬が生じる会話には原因があります。神経科学の理論を適用して企業を支援する会社のCEOを務めるジュディス・E・グレイザー氏が提唱する会話の知能指数(Conversational Intelligence = CI)」は、建設的で有意義な会話には欠かせないとのこと。では「CI」を高めるにはどうしたら良いのでしょうか? グレイザー氏は次のような意識改革をすすめています。

  1. 「自分がこう思うのだから相手も同じだろう」と考えるのは間違っている。ほとんどが違う考えであり、意見が合わないのは当たり前だと自覚する
  2. あなたが会話を「支配する」時間は最小限に。自分ばかりが一方的に発言していないか、常に注意を払う
  3. イエス/ノーではない「発見のための質問」をして、会話を持続させるよう心がける
  4. フォローアップのための質問をする

まずは相手の話を「聴く」こと。そして一方的にならないように落ち着いて話すことから始めてみましょう。また、質問の仕方にもコツがあります。「何の影響からその考えに至ったのですか?」「その過程においてどんな気づきがありましたか?」など、会話の内容をさらに深い部分まで進めるように意識するのです。これらを続けていくうちに自然と身につき、どんな相手とも有意義な会話ができるようになるでしょう。

4. 自分の感情を「分析する」習慣を作る

感情のコントロールができるかできないか、それは一流と二流を分ける大きな条件なのです。今はまだ感情に振り回されていることが多くても、10年後に備えて感情コントロール術を身につけておきましょう。

多くの経営者やビジネスパーソンに向けてパフォーマンスアップのサポートをしている大嶋祥誉氏は、著書『マッキンゼーで学んだ感情コントロールの技術』(青春出版社)の中で次のように述べています。

優秀なビジネスパーソンほど感情コントロールの達人です。(中略)逆に仕事のできない人物に限って、些末なことに心を奪われ、そのたびに感情を乱しがちです。その結果、仕事のパフォーマンスも人間関係も悪くなる。まさに、「負のスパイラル」に落ち込んでいくのです。

(引用元:DIAMOND online|マッキンゼー流感情コントロール術、怒り・悲しみの「見える化」で能率アップ

大嶋氏は、マッキンゼーで学んだ問題解決のスキルを応用して感情コントロールの方法を編み出しました。その方法は次の通りです。

1. 感情を意識化し、冷静に受け止める

2. 感情が湧き起こった構造を把握する

3. どうしたらその問題が解決されるのかを仮説を立てて検証する

4. 解決策を導き出す

(引用元:同上)

大事なことは、たとえネガティブな感情であってもしっかりと受け止めることそして、その感情が起こった“真の問題”について検証することです。

たとえば、企画のアイデアを出し合う場面で、あなたが出すアイデアがことごとく否定されたとします。すると怒りや悲しみ、苛立ちが湧いてくるでしょう。ここで、その感情が湧いた“真の原因”を突き詰めます。後輩の手前「恥ずかしい」という羞恥心、自分の居場所がなくなりそうな不安感、時間をかけて企画を考えたことを認めて欲しいという承認欲求など、秘められた感情が背景にあることに気づくはずです。

その結果、もしかしたら自分がチームの一員として認められたいという気持ちが強いだけなのかもしれない、と仮説を立ててみると「怒り」にとらわれる必要性がなくなります。すると、良い企画を出した後輩をサポートしたり、みんなの意見をまとめて新しい企画として打ち出したりと、自分の企画を通す以上に満足感を得られる結果に結びつくのです。

5. 生きた人脈を築くために、「会いたい」と思われる人になる

社会人として働き始めて数年経てば、名刺の数は順調に増えてきているでしょう。しかし、それが “生きた人脈” になっていなければ無意味です。10年後、仕事でステップアップしたいときや転職を考えたときに役立つのは、その “生きた人脈”。では、どのようにして築けばいいのでしょうか。

日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子氏は、ずば抜けて人脈が広い人の特徴として「即レス、即実行」を挙げています。メールの返信をつい後回しにしていませんか? すぐに返事をくれる相手にはこちらもすぐに対応しなければ、という気持ちになり、あなたという人物に対する優先度も上がります。迅速な対応を心がけることで、あなたへの信頼度は格段にアップするのです。

また、人材育成コンサルタントであり一流秘書養成スクールの校長を務める能町光香氏は、一流の人たちの仕事術について語る連載で「人脈を作りたいのなら、外に目を向けるのではなく自分自身に目を向けること」が大切だと述べています。たとえたくさんの人に出会っても、あなた自身に何の魅力もなければその関係は続かないでしょう。だからこそ「会いたい」と思われる人、つまり「気になる存在」になるのです。自分を輝かせる個性は何か、ということを自問自答しながら見つけていきましょう。

「この人と仲良くなれば得をしそう」といった欲や思惑はすぐに見抜かれてしまうものです。10年後につなげるためにも目先の利益を優先するのではなく、まずは確かな信頼関係を築き、双方にプラスがある関係に発展させるよう心がけましょう。

***
ここでご紹介した行動習慣を改善する方法は、すぐに目に見える効果が出るわけではありません。しかし、今この瞬間から意識して行動を変える努力をすることで、10年後には歴然とした差が生まれるはずです。

(参考)
StudyHacker|話を“聴く”だけで相手の気持ちを変えられる!? 説得は『傾聴』から始めよ。
リーダーたちの名言集 名言DB|船川淳志の名言
StudyHacker|相手の思いを引き出す会話テクニックーー佐藤委子『ビジネスシーンで役に立つ「伝える技術」』第6回
NIKKEI STYLE|相手の話を引き出す「相づち」の極意
リクナビNEXTジャーナル|コミュニケーションが苦手だと思う人が「意識していない」こと
StudyHacker|「一方通行の話し方」していませんか? 建設的な議論のための『会話の知能指数』の高め方
Harverd Business Review|「会話の知能指数(CI)はこうして高める
DIAMOND online|マッキンゼー流感情コントロール術、怒り・悲しみの「見える化」で能率アップ
東洋経済ONLINE|「ずば抜けて人脈が広い人」は何が違うのか
DIAMOND online|一流の人は絶対しない!間違った人脈づくりの発想

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