“創造力の才能” を持つのはたった5%!? だからこそ95%の凡人は「アート」を学ぶべきだ。

周囲よりも一歩進んで一目置かれたいという思いや、革命的なアイデアをどんどん思いついてみたいという思いは、成長意欲の高いビジネスパーソンの方なら誰にでもあると思います。

驚くべき発想をどんどん生み出すには、当然のことながら創造性が必要です。しかしその創造性とは、一部の人にしか備わっていないものではありません。どんな人でも創造性を身につけることはできるのです。そのための方法とは「アートを学ぶ」こと。詳しくご紹介します。

なぜ今の時代にアートを学ぶ必要があるのか?

アートを学びビジネスに役立てようとする前に、「なぜ今私たちはアートを学ぶ必要があるのか」について、理解を深めるところから始めなくてはいけません。

インターネットをはじめとする技術の進化は、様々な物事を高速化させています。モノやサービスが生み出されるスピードが速まっている分、様々な問題がより速く発生するようになり、問題解決に求められる速度も速まっているのです。

しかし、既存の考え方だけではそれらの問題に対応することはできません。ついこの間までは役立っていた戦略やフレームワーク、経験則も、新しい問題を解決するには物足りないものになってしまう可能性は大きいのです。

例えば、ビジネスの世界でよく使われるPDCAサイクルは、今や前時代的なものになりつつあるという見方があります。

PDCAサイクルでは、まずPlan(計画)を立てることから始めますが、状況が頻繁に変わる今の時代では、なかなか先を見通すことができないため、そもそもPlanを立てることができません。そのため、PDCAサイクルに固執すると、意思決定は当然遅くなり、物事が前に進まなくなってしまいます。問題ばかりが山積して解決できないままになることは目に見えていますね。PDCAサイクルだけを頼りにしていては、今の時代の変化についていくことはできないのです。

そこで今求められているのは、日々生まれる問題に対して、全く新しい目線と方法を使って最速で答えを導き出すことができる人材。つまり、創造性を持った人材の価値が増しているのです。そしてその創造性は、アートを学ぶことによって身に着けることができるのです。

創造性は限られた人間だけのものではない

「創造性とは限られた人が生まれながらに持つものだ」と考える方は多いかもしれません。確かに、天才的な創造力を持つ人材はいるでしょう。ですが、実は創造性は後天的に身に着けることができる能力です。

イノベーション研究の第一人者でハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が、5千数百人以上もの起業家やエグゼクティブたちを対象に研究したところによると、5%の人間にはイノベーティブな考えを生み出せる能力が生まれながらに備わっているものの、それ以外の残りの人々も、習慣や訓練次第でその能力を後天的に身につけることができるのだそう。

また、「なぜ問題解決に創造性が必要なのか」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。これについては、新しい問題に立ち向かうからこそ創造性が必要だと言えます。

これまでに経験したことのないような問題を解決するには、既存の戦略とは全くの別次元からアプローチしなくてはいけません。新しい視点から、誰も想像しなかった答えを導き出すことに価値があるのです。創造性を持ったビジネスパーソンが、新時代の問題を解決するスキルを持った人材として重宝される存在になることは、明らかではないでしょうか。

豊かな創造性は「デザイン思考」に役立つ

では、創造性を身につけることがビジネスにどう役立つのか、より具体的に説明しましょう。

先ほど、今のビジネスパーソンには「日々生まれる問題に対して、全く新しい目線と方法を使って最速で答えを導き出すこと」が求められていると述べました。それはすなわち、今注目の「デザイン思考」を実践することだと言えます。創造性を身につけると、デザイン思考をより強力に使いこなせるようになるのです。

デザイン思考とは、ユーザーからのフィードバックや改善を重ねることで、イノベーティブなアイデアを形にする思考方法のプロセスのこと。デザイン・イノベーション・ファームのTakram代表で、数々の受賞経験もあるデザインエンジニアの田川欣哉氏は、デザイン思考について次のように述べています。

デザイン思考は「ビジネスパーソンがデザイナーのように考えるための手法」と言われていますが、「デザイナーのように」という説明ではミステリアスです。もう少し噛み砕いて言えば、デザイン思考は、ユーザーのリアルな課題、気持ち、体験などの観点を、ビジネスやテクノロジーの現場に体系的に取り込むための手法と言えます。

(引用元:「Takramが斬る「デザイン思考」の真の意味」,Forbes Japan, 2019年2月号, p39.)

デザイン思考では以下のプロセスを繰り返しがら、問題解決や製品作りを徐々に完成へと近づけていきます。

1. 共感・理解:ユーザーを観察し、そこで得られたさまざまなデータを分析することによってユーザーの価値観を理解する 2. 問題定義:観察したことから、ユーザーすら自覚していないような解決すべき課題を定義づける 3. 創造:ブレインストーミングなどにより、課題解決につながりそうなアイディアをできる限り挙げる 4. 試作:アイディアを可視化するためにプロトタイプを作り、新たな気づきを得る 5. 検証:プロトタイプをユーザーに使ってもらい、そのフィードバックをもとに改善を行う

(引用元:StudyHacker|『システム思考』と『デザイン思考』。賢い大人が実践する「問題解決」の技法。

このようにデザイン思考とは、問題点を分析し問題解決に当たるという既存のやり方とは少し違った、創造性をベースにしたプロセスなのです。特に、3番目の「創造」の段階で、高い創造性を持っていることは有利にはたらきます。

デザイン思考によって生み出されたものの代表例として、AppleのiPodが挙げられます。無駄のない洗練されたデザインや使い勝手の良さは、何百もの試作品を重ねながら作品として磨き上げられた結果です。このようにモノを徐々に洗練させるプロセスの中に、アートを学ぶことが大いに活きてくるのです。

ビジネスパーソンが実践しやすい、アートを学ぶ方法

ここまで、今の時代にビジネスパーソンが創造性を身につける必要性について説明しました。最後に、創造性が身につくアートの学び方を紹介したいと思います。

メディアアーティストの落合陽一氏と、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』の著者である山口周氏が、「なぜビジネスパーソンにアートが必要なのか?」について対談を行ないました。そのなかで、芸術作品を見て美意識を磨き創造性を高める方法について次のように語られたそうです。

落合さんは、見たものを言葉にしてみることと、その後作ること、そのループを繰り返すことが大事だといいます。 山口氏も、アートや音楽、建築をたくさん見て、何が自分の心に響くのかを知ることが美意識を形成するといいます。その上で、落合さんが言うように言語化するプロセスに入ると、自分なりの感性やそれを評価するリテラシーを持てるようになると。

(引用元:Note|Weekly OCHIAI「なぜビジネスパーソンにアートが必要なのか?」)太字は編集部にて施した

誰かの作品を見て、意見交換し、自分で作品を作る。つまりビルドアンドスクラップの作業を繰り返すことが創造性を育むのですね。美術品や建築物などを見て、良いとされるデザインの普遍性を見つけ出すことができるようになれば、きっとデザイン思考の「創造」の質はより高まっていくでしょう。

また、シリアルアントレプレナーであり、「影響力のあるマーケタートップ25」の1人としてForbesに認められたディープ・パテル氏は、自分で美術作品を作ることの意義は、大きな視点から物事を考えることの重要性を学べることにあると言います。芸術家は絵画を描く際、いくつもの細かな部分を組み合わせて、ひとつの作品をまとめ上げています。芸術家ではない私たちも、実際に絵を描いてみれば、細部のデッサンだけでなく作品の全体を捉えなければいけないことに気づくことができるのです。

そしてこれは、美術作品づくりだけでなく、写真撮影によっても学べると言います。自分が見たものを手で表現したり写真に収めたりすると、目の前の景色の見え方が変わるのだそうですよ。美術作品づくりはハードルが高くても、写真撮影ならできそうな気がしますよね。

パテル氏は、アートを学ぶ以外の方法も紹介しています。そのうちのひとつは、意外にもチェスをするというもの。いくつかのパターンを融合し柔軟な戦術を繰り広げるチェスは、創造性を高めるのにもってこいなのだとか。将棋なども良いかもしれませんよね。また、何もしないでリラックスするのも、創造性アップには有効だそう。情報を処理しすぎると創造力が低下してしまいます。創造力を発揮したいなら、疲れたら休憩するに限るのです。

*** 今回ご紹介した方法により創造性を身につけたならば、過去の経験や公式がなくても問題を解決することができるようになるでしょう。ビジネスシーンで重宝される、価値ある人材になれるはずです。とっつきにくいと考えがちなアートに、今までより少し近づいてみてはいかがでしょうか。

(参考) Harvard Business School Working Knowledge|Five Ways to Make Your Company More Innovative Forbes JAPAN|破壊的イノベーターに共通する5つの能力 Forbes Japan|創造力を高める6つの方法 「Takramが斬る「デザイン思考」の真の意味」,Forbes Japan, 2019年2月号, p39. Note|Weekly OCHIAI「なぜビジネスパーソンにアートが必要なのか?」 StudyHacker|「PDCA」を回しまくっている人が時代遅れなワケ。世界は “まずはやる” 方式にシフトしている。 StudyHacker|質より量を重視、未完成で当たり前。「デザイン思考」でアイデアがどんどん形になる。 StudyHacker|『システム思考』と『デザイン思考』。賢い大人が実践する「問題解決」の技法。

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