理解が進んで記憶が定着! 「コーネル式ノート術」で「資格試験勉強」がかなりはかどる

ノートを使って勉強している様子

あなたは資格試験の勉強をするとき、ノートをとっていますか? 難なくノートをとっている方がいる一方で、「わざわざノートをとっていたら時間がかかりそう。勉強の効率が落ちるのではないか……」「いざやってみると、紙面がぐちゃぐちゃになりがち。こんなノートでは意味がなさそう」とお悩みの方も多いでしょう。

そこで今回、そんなお悩みを解消でき、資格試験の勉強にもってこいな「コーネル式ノート術」をご紹介します。筆者の実践模様や感想も詳しくお伝えしますので、ぜひ最後までご一読ください!

【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

(参考)

Cornell University|Take Note: Popular Study Method has ‘Cornell’ Written All Over It
Cornell University The Learning Strategies Center|The Cornell Note Taking System
WAOサイエンスパーク|こうすれば記憶力は高まる!~脳の仕組みから考える学習法
東洋経済オンライン|マンガ!東大生の「最強の勉強法」は要約である
一般社団法人FLAネットワーク協会(2022),『改訂版【公式】食生活アドバイザー3級テキスト&問題集』,日本能率協会マネジメントセンター.

「コーネル式ノート術」とは

「コーネル式ノート術」は、コーネル大学で長年教授を務めたウォルター・パーク氏が考案したもの。紙面に線を引いて3分割するのが最大の特徴です。このノート術には、理解や記憶を手助けする効果があるとされています。書き方は、次のとおりです。

コーネル式ノート術の図解

(画像は編集部が作成)
  1. 「ノート」欄
    講義内容など、インプットしたい情報を書きとります。ここで重要なのが、一言一句書きとるのではなく、大事なポイントに絞って簡略化して書くこと。
  2. 「キュー」欄
    1に書いた内容に対する疑問や最も重要なキーワードなどを、その日のうちに書き込みます。
  3. 「サマリー」欄
    学んだ内容を、自分の言葉で2〜3文程度の短い文章でまとめます

(参考:Cornell University Learning Strategies Center|The Cornell Note Taking System

※より詳しい書き方はこちらの記事で紹介しています。
>>アメリカの名門大学発! コーネル式ノート術をやってみたら驚くほど勉強が捗った話。

この独特なノート術は、現在アメリカの有名大学や研究機関で数多く導入されています。私たちの資格試験勉強にももちろん有用で、さまざまなメリットがあるのです。

次章で、そのメリットについて詳しく見ていきましょう。

コーネル式ノート術を「資格試験勉強」に活用するメリット

勉強のなかでも特に資格試験のための勉強となると、「記憶」ができていないことには話になりません。ですがコーネル式ノートで勉強をすれば、以下ふたつの作業によって記憶定着を促すことができます。

「反復学習」で記憶に残る

コーネル式ノート術を資格試験勉強に活用するメリットのひとつめは、記憶の定着を手助けしてくれる点です。

このノート術で勉強をすると、下記のように3つの欄に記入しながら、必然的に学習内容を何度も想起することになります。

  • ノート欄:学習内容を書き留める
  • キュー欄:キーワードや質問を書き出して、復習に役立てる
  • サマリー欄:学んだ内容のポイントを押さえる

東京大学教授で脳研究者の池谷裕二氏によれば、記憶を定着させるためのポイントは「反復」。同氏は、こう語ります。

記憶について考えるとき、キーとなるのが海馬(かいば)です。(中略)海馬が必要と判断した情報だけが、脳の中の大脳皮質と呼ばれる場所に送られ、長期間保存されます。では、海馬は何を基準に判断を下しているのでしょうか? なんと、それは「生きていくために不可欠かどうか」なんですね。

そして、勉強した内容を「何度も繰り返し脳に送り続けると、海馬は『これは生きるのに必要な情報に違いない』と勘違い」して記憶に定着させてくれるとのこと。

(カギカッコ内および枠内引用元:WAOサイエンスパーク|こうすれば記憶力は高まる!~脳の仕組みから考える学習法

つまり、反復学習必須のコーネル式ノートであれば、脳に繰り返し学習内容が送られ、記憶に定着させられると言えますね。

「要約」の作業で記憶に残る

ふたつめのメリットは、サマリー欄での「要約」工程にあります。

教育事業などを手がける株式会社カルペ・ディエム代表の西岡壱誠氏は、「要約」ができる学生は「必ず成績を上げることができる」と述べます。

「短くまとめて説明する」というのは、すごくいい勉強なんです。

人間というのは、「一言で言うと要するに何なのか」を頭の中で組み立てられた瞬間、一気に頭への残り方が変わるものです。

(カギカッコ内および枠内引用元:東洋経済オンライン|マンガ!東大生の「最強の勉強法」は要約である ※太字は編集部が施した)

「勉強後、学んだ内容を人に説明する」という行為は、勉強内容を定着させるための有益な方法としてメジャーですよね。コーネル式ノートのサマリー欄での要約にも似た効果が得られると言えるでしょう。

ただ漫然と勉強しているだけでは頭に残りにくかった内容も、「要約」の作業を必須で行なえば、「要点はどこだろう」「つまり、ひとことで言うと……?」と能動的に考えながら学習できますよ。

能動的に思考しているイメージ

コーネル式ノート術で資格試験の勉強をしてみた

というわけで、食生活アドバイザー3級を取得すべく勉強中の筆者も、コーネル式ノート術で勉強してみることにしました。実際の写真と一緒に、順を追ってご紹介します。

1. 紙面に線を引き、3分割する

ノート、キュー、サマリーの3項目を書き込めるよう、まずは紙面を3分割します。

紙面に線を引いた様子

2. ノート欄に「テキストを読んで理解した内容」をメモする

独学中の筆者は、 “講義を聞きながら” ではなく “テキストを読みながら” 理解した内容を「ノート欄」に書き込みました。

「ノート」欄に書き込んだ様子

ノート欄には手早く書くことが必須であるため、筆者は以下の工夫をしました。

  • 箇条書きする(テキストの文章を丸写しせず、なるべく自分の言葉で簡単に)
  • 文字を記号で代用する(因果関係を示すときは「→」や「=」を、増減を示すときは「↑」や「↓」を使う など)
  • ペンを持ち替える時間を省略するため、3色ボールペン(黒、ピンク、青)を使う
  • 「何色を使おう?」と考えるのがタイムロスになるため、感覚で色分けする

3. キュー欄に「ノート欄でメモした内容に対する疑問やキーワード」を書く

ノート欄の内容で疑問に思ったことや重要だと判断したことを、その日のうちに「キュー欄」に書き留めます。

「キュー」欄に書き込んだ様子

筆者は、「極端な食事制限がNGであること」と「ダイエットの基本は生活習慣の改善であること」が重要だと判断。それらについて「キーワード」として書き込みました。

4. サマリー欄に「学んだ内容」をまとめる

最後に、学んだことを自分の言葉で要約して「サマリー欄」に書きます。

「サマリー」欄に書き込んだ様子

筆者は、勉強内容を “自分のもの” にする工夫として、「隠れ肥満は生活習慣病になりやすいと知って怖いと思った」といった感想も要約にプラスして記入するようにしました。

そして、見開き一面が埋まった状態がこちらです。

コーネル式ノートの見開き紙面

「コーネル式ノート術」×「資格試験勉強」の組み合わせは、たしかに効果的だった!

テキスト内容の理解が進み、記憶が定着しやすい

以前は、資格試験用のテキストを読むだけでノートをとっていなかった筆者。「テキストを一読しても内容がスッと頭に入らない」「勉強しても3日ほど経つと記憶が薄れがち」といった悩みがありました。

今回、コーネル式ノート術で勉強してみると、まずは理解のしやすさを実感しました。テキストを読みつつ自分の言葉で手早くまとめることで、頭のなかを整理しながらテキストを読み進められたのです。

また、勉強期間が3日ほど空いてもほとんどの内容を覚えていられたことにも驚きました。この点については、「キーワード」と「サマリー」が特に役立ったのではないかと思います。

今回披露した紙面とは別のページに、以下のようにメモしたときのこと。

  • ノート:水が不足すると体にさまざまな不調が生じる
  • キーワード:水分の摂り方にコツはあるか?

あとから水の摂り方を復習してメモした結果、数日後も復習内容を正確に覚えていました。

また、「サマリー」については感想を書いた工夫が効果的だったと感じます。というのも、「この内容についてこう思ったな」といった具合に感情とセットにすることで勉強内容を覚えやすくなったのです。

勉強範囲が広くて忙しい人も挑戦の価値あり!

今回、筆者が紙面を1ページ書くのに要した時間は約30分。テキストを読むだけなら10分程度でしたから、ノートをとることに時間がかかるのはたしかです。

しかしながら、理解のしやすさや記憶の定着度合は格段にアップ。「こんなに覚えやすくなるのだから、この程度の時間差なら資格試験勉強にコーネル式ノート術を活用したい」と、筆者は思います。

実践してみて気がついた新たなメリットは、復習がはかどる点です。ノートをとる作業は机に向かって行なう必要がありますが、復習はノートさえあればどこでもできます。ノートはテキストよりも薄くて持ち運びやすく、自分の言葉で簡潔に書かれていて読みやすいです。

勉強範囲が広くて忙しい人も、ノートをとる時間さえ確保できれば、復習はスキマ時間を活用して手軽に行なえるはず。力を入れたい分野や苦手分野だけでも、コーネル式ノート術の活用をおすすめします。

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これから資格試験を受ける方も、すでに資格試験に向けて勉強中の方も、ぜひコーネル式ノート術をお試しください!

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