みなさんは、日々の生活の中で、自分の好きなことややりたいことができていますか?
大人になるにつれ、我慢しなければならないことが多くなってきますよね。「最近なかなか楽しいと感じている時間がない……」「自分の好きだったことは何かさえ忘れてしまった……」という人も、なかにはいるのではないでしょうか。
そんなときには、「マンダラート」という手法を使って自分の思考を整理してみるのがおすすめです。そこで、今回は、大学4年生である筆者が、残りの大学生活を最高にエンジョイするための方法をマンダラートで考えてみました。
マンダラートとは
「マンダラート」とは、デザイナーの今泉浩晃氏が考案した発想法です。3×3に9マス並んだ大きな正方形それぞれの中に、さらに小さな正方形が3×3の9つ、合計81マスを順に埋めていくことで完成するものです。プロ野球の大谷翔平選手が目標達成のために実践していたことでも有名ですよね。
マンダラートは、自分の思考を整理し可視化することによって、その思考を自覚するために使うものです。これを使うことによって、目標を達成するための具体的な手段を考えたり、自分の思考を深堀りすることができます。
「楽しいこと」をマンダラートで考えてみた
そこで今回、筆者はマンダラートを使い、残りの大学生活を最高にエンジョイする方法を探すという目的で、自分の好きなことややりたいことを挙げてみました。限られた大学生活を最大限に有意義なものにしたいと考えたからです。
中央に「楽しいこと」を据え、マスを埋めていきます。その結果がこちら!
大きな正方形それぞれの真ん中マスに、ざっくりしたテーマを8つ掲げ、次に各テーマについて詳細を8つずつ記入していきます。
筆者は、マスをすぐにすべて埋めることができなかったため、空き時間を使用しながら埋めていきました。そして、いったん記入し終わると、しばらく放置。数日後に、本当に好きなことなのかを再確認しました。一気に書き上げることは難しいため、時間をかけて完成させていったのです。
マンダラートを作ってみた感想
上記のマンダラートを実際に作成してみて、マスを埋める作業が想像以上に大変だと感じました。普段から、自分の好きなことややりたいことを意識していないと、81マスすべてを埋めるには、なかなか時間がかかります。
しかし、時間がかかっても、「自分は何が好きなんだろう?」「最近はあまりできていなかったけれど、やりたいことは何だろう?」と考えて想像するのはとても楽しく、しばらく忘れていた「ワクワクした気持ち」を思い出すことができました。それだけでなく、筆者の場合はアウトドアよりもインドアでの活動を好む傾向があることを、マンダラートで発見できました。
では、マンダラートをうまく作ったり、せっかく書いたことを実践したりするには、どうすればいいのでしょうか。コツもご紹介していきましょう。
「カラーバス効果」をうまく使うのが記入のコツ
マンダラートのマスを埋める際、「好きなことややりたいことなんて、そんなに多く思いつかない」と感じるかもしれません。そんなときは、「カラーバス効果」を取り入れてみてください。
大手広告代理店の博報堂に勤める加藤昌治氏によれば、「カラーバス効果」とは、気になっていることに関する情報を意識的に取り入れる作業のことだそう。たとえば、「今日は “赤”」と決めて、手帳にメモしたり口に出してときどき呟いたりしながら1日を過ごしてみたとしましょう。そうすると、赤色のものや赤に関係するものが目につきやすくなります。自分の意識が、無意識のうちにそちらへ向くからです。
したがって、この効果を、楽しいことややりたいことを探す際に応用してみましょう。それらにまつわる情報が、どんどん集まってきますよ。
筆者も、実験的に「レジャー」をテーマに1日を過ごしてみましたが、旅行会社のパンフレットが自然と目に入ったり、ネットで調べ物をしていても行ってみたいと感じる場所を偶然見かけたりすることが増えました。マンダラートに書いた「Green Dayの音楽ライブに行く」は、そうして埋めることができたものです。規模の大きい音楽ライブに行ったことはこれまでありませんでしたが、素直に体験してみたいと感じられました。
自分の好きなものがよくわからない場合は、選ぶ言葉は何でもかまいませんから、試しに一度決めてみてください。たとえば、歌手にフォーカスしたとします。すると、いつもは気にならなかったエンターテイメントのニュースも、目に飛び込んでくることでしょう。また、普段きちんと聴いていなかったお店のBGMに意識が向き、歌手が誰なのか気になるかもしれません。
このように、カラーバス効果をうまく使えば、それまで自分でも気づいていなかった興味関心をうまく発見できるようになるはずです。
せっかく書いた内容は「締め切り」を設けて確実に実行を!
マンダラートを作成するだけでも意味はありますが、せっかく作成したのであれば、それを実行へ移したいものですよね。忙しい日々のなかで「いつかできたらいいな」と思っているだけでは、いつまで経ってもできないでしょう。
そこで、「これは○月×日までに絶対やるぞ」と締め切り日を決めてみましょう。筆者の場合は、大学卒業が迫っているので、そこを期限に設定してみました。
マンダラートと締め切り設定を組み合わせるのがいい理由は、「分割したタスク×適度な制限時間」です。学際的消費者行動研究の専門雑誌『Journal of Consumer Research』に掲載された論文によると、大きなタスクを分割すると達成が容易になるのだそう。また、締め切りは、厳しすぎず、ある程度のゆとりを持って設定することで、生産性を落とさず実行できやすくなると伝えています。
たとえば、やりたいこととして読書が浮かんできた人の場合、「近いうちに本を読む」ではなく、「この小説を、2週間後までに読む」と決めてしまってください。そうすれば、より取り組みやすくなるはずです。
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みなさんも、ぜひ一度時間をとってマンダラートを作成してみてください。自分の思考を整理でき、楽しい時間を今まで以上に増やすことが可能になりますよ。
(参考)
Dropbox|マンダラートとは?9つのマスで閃きが加速する一流のアイデア発想法
日経xTECH|提案が通るかどうかの分かれ道 ロジカルシンキング入門
ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト|「今日は赤」と意識するだけ 「カラーバス」で見える世界が変わる
Journal of Consumer Research Oxford Academic|When an Hour Feels Shorter: Future Boundary Tasks Alter Consumption by Contracting Time
【ライタープロフィール】
三島春香
神戸大学経営学部所属。京都市立西京高等学校卒業。海、宇宙、音楽、レモンが好き。旅行も大好き。大学生のうちにいろいろな所へ出かけて見聞を広めたい。