「いいね」が欲しい、ほめられたい……。厄介な「承認欲求」から解放される方法を考えてみた

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他人からどう思われているか、気にしすぎていませんか?
SNSでもらう「いいね」の数にとらわれすぎていませんか?
ほめられるためだけに、頑張っていませんか?

……心当たりがある方は、承認欲求が強すぎるかもしれません。

承認欲求は、誰もが持つもの。多少は問題ありませんが、承認欲求に振り回されてしまうと、さまざまな弊害が生じてしまいます。

今回は、承認欲求が私たちにどのような影響を与えるのか説明したうえで、上手に付き合うための方法を提案しましょう

承認欲求が強すぎるとどうなる?

承認欲求とは、「他者から認められたい」と願う感情のことを指します。生活の中にSNSが定着した昨今、友人や知らない人からまで「いいね」をもらうことで、承認欲求を満たしている人は多くいることでしょう。

人から認められたいという気持ちを持つのは、何かを頑張るためのモチベーションになりますし、必ずしも悪いこととは言えません。しかし、それが強くなりすぎると、周りの不確かな評価を気にするあまり、かえって評判が悪くなったり、自分を見失ってしまったり、いつも満たされなかったり……と、さまざまな弊害が出てきてしまうのです。

承認欲求が強すぎると、人間関係を築くのが難しくなる

精神科医で、著書『「若作りうつ」社会』や、ブログ『シロクマの屑籠』の発信で知られる熊代亨氏によれば、承認欲求が強すぎると、人間関係を築くのが難しくなる可能性があるのだとか。認められたい気持ちが強すぎるあまりに、自分以外の人に意識がまわらず、結果、自己中心的な振るまいをしてしまうのだそう。たしかに、そんな人たちからは距離をおきたくなりますよね。

また、精神科医で、著書『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』などを持つ名越康文氏は、承認欲求を「自己実現をするためのエネルギーになる」一方で、「さまざまな問題を引き起こす原因にもなりうる」と説明しています。気をつけたいのが、自分の実力や行動以上の評価を願ってしまっている場合です。そうなってしまえば、満たされることはないうえ、周りからも「面倒な人だ」という印象を持たれてしまうでしょう。

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承認欲求が強すぎると、自分を見失ってしまう

他人の評価を気にしすぎると、自分の人生ではなく、他者の期待に応えるための人生になってしまいます。人に好かれるために自分を殺して生きていれば、不満ばかりの毎日になってしまうでしょう。

前述の熊代医師によると、承認欲求にモチベーションを頼りきっている人は、職業の選択も限られてしまうとのこと。多くの職業において、新人のうちは、ほめられたり認められたりするのは少ないものですよね。そのため、モチベーションが「ほめられたい」しかない人は、自分がすぐに認めてもらえる環境でしか努力ができなくなってしまいます。強すぎる承認欲求は、本当にやりたいことにも歯止めをかけてしまうかもしれないのです。

著書『嫌われる勇気—自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)で注目を浴びたアドラー心理学は、承認欲求に否定的です。たしかに、他人から嫌われるのはつらいことですが、誰かの期待に応えるために生きるのは非常に不自由なこと。

アドラーの教えによると、自分を見失わないためには「課題の分析」が必要なのだとか。自分が抱えている課題を洗い出し、今できる最善の行動をとることが大切です。すべての人から承認が得られなかったとしても、自分ができる最善の行動をしてこそ、自分らしく、満足感の得られる人生になるのではないでしょうか。

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承認欲求から解放されるための方法を考えてみた 

承認欲求は、誰もが持つ自然な欲求です。しかし、あまりに強すぎると不自由になってしまい、人間関係や仕事、自分の行動に制限をかけることになってしまいます。

そこで、承認欲求に振りまわされずに生きていくためにできることを5つ考えてみました。順を追ってご説明しましょう。

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新しいコミュニティに所属する

まず、承認欲求が強すぎる原因のひとつに、所属欲求が満たされていないことが考えられます。

アメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏は、人間心理学の生みの親と言われている人物で、「マズローの欲求5段階説」というものを提唱しました。マズロー氏は「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化しています。

  1. 生理的欲求:食事、睡眠、排泄などの基本的な欲求
  2. 安全の欲求:経済的安定、よい健康状態の維持、よい暮らしの水準など安心して暮らすことへの欲求
  3. 所属欲求:家族や恋人、友だち、同僚、サークルなど共同体の一員に加わりたいという欲求
  4. 承認欲求:自己の自己に対する評価の欲求(自己をより優れた存在と認めること、自己肯定感の欲求)に加え、他者からの評価に対する欲求
  5. 自己実現の欲求:人が潜在的に持っているものを開花させて、自分がなり得る全てのものになりきりたいと感じる欲求

承認欲求と付き合う04

 

熊代医師によると、承認欲求が強すぎる人は、「所属欲求」を満たすことで承認欲求の強さが改善されるのだそう。所属するコミュニティでよい関係が築けていれば、気持ちが満たされるため、必要以上に他者から褒められたい気持ちがなくなるのだとか。

もしも、いま所属しているコミュニティで満たされていないと感じるのであれば、自分が認められやすそうなコミュニティを探してみましょう。オンラインのコミュニティでもよいですし、社会人サークルに入ってみるのもよいかもしれません。自分の趣味や好きなことで、所属の幅を広めてみるのもひとつの方法ですよ。

SNSのアカウントを増やす

熊代医師によると、コミュニケーション能力を磨くことも重要なのだとか。上記の所属欲求にもつながりますが、コミュニケーション能力が高いほうが、会話中の誤解が生じづらく、結果的に他者から認められやすいのだとか。所属するコミュニティの中で円滑なコミュニケーションがとれていれば、所属欲求が満たされ、承認欲求が高まるリスクが減りますね。

同氏によると、オンラインのコミュニケーションでも所属欲求は満たされるのだそう。あまり話すのが得意ではない、という人はSNSで複数のアカウントをつくり、所属するコミュニティを増やし、その中で話しやすい仲間を見つけるのがおすすめです。周りから理解されやすい文章で発信をすることを心がければ、コミュニケーション能力の向上につながるでしょう。

純文学を読む

コミュニケーションを円滑にすすめるためには、共感力も重要です。他者の意図や感情を正しく読み取ることが、適切に発信するポイントとなります。共感力を高めるためには、純文学を読むことが効果的です。

米ニュースクール大学は、純文学を読むことで共感力が上がったという研究結果を発表しています。実験ではグループごとに大衆小説、純文学、ノンフィクションなど決められたジャンルの本を読む、もしくは何も読まないよう指示され、その後「他者に感情移入ができるかどうか」をチェックするテストをしました。結果、純文学を読んだグループのみ、他者に共感する力が飛躍的に上がったそう。

複雑な心の機微を描く文学的なフィクションが、読む人の共感性を上げたと考えられています。自分の「認められたい」感情と上手に付き合うためには、他人の気持ちを理解し、認めることが重要なのですね。

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認められたことを確認しない

アドラーの教えは承認欲求を否定していますが、対して、前述の名越氏は、承認欲求はあっていいものだと述べています。

他人からほめられたり、認められたりすることを一切期待しないのは、ちょっとペシミスティックでつまらないと僕は思います。仕事の先輩なり、芸事の師匠なりからほめられたり、認められたりすることは、かけがえのないエネルギーとなります。

(引用元:東洋経済オンライン|成功する人は「承認欲求」とどう付き合うのか

その一方で名越氏は、承認欲求は付き合い方を間違えれば身を滅ぼす原因になりかねないと苦言を呈しています。同氏いわく、「ほめられた」「認められた」ことを確認したり、証明しようとしたりするのはNG。

ポイントは、自分が承認欲求を持っていることを認識したうえで、それにとらわれすぎないよう気をつけること。ほめられたときに「もっとほめられたい」と思う気持ちも、承認欲求のひとつです。たとえほめられても、一時的には喜ぶけれど、またすぐに次の課題に向かうのが「できる人」なのだそう。

他者からの評価が全てにならない人こそ、自分の軸を持ち、自由に力を発揮できるのでしょう。名越氏によると、もしも承認欲求にとらわれそうになったときは、それを「手放す」イメージが大事だそう。無意識のうちに躍起になって「認められたい」という感情を暴走させるのではなく、その存在を認めたうえで、しがみつかないということですね。

自分と対話する

名越氏は、承認欲求を手放すためには、自分と対話する時間を作ることが大切だと言います。

日頃から自分の心と対話する習慣を持っていると、他者から認められることにばかり躍起になるのではなく、「認められたがっている自分」を受け入れることができ、心が安定するのだとか。

自分と対話する方法としておすすめなのがジャーナリングです。ジャーナリングは「書く瞑想」とも呼ばれ、一定の時間、自分の頭に浮かぶ思いや考えをあるがままにひたすら紙に書き綴っていくというもの。時間は5分間ほどでかまいません。

起床時や就寝前などに5分間だけノートに感情を吐き出し、自分を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

***
承認欲求は誰しもが持つもので、周りから評価されることをモチベーションに頑張るのは決して悪いことではありません。しかし、「認められたい」気持ちをコントロールできていないと、自分の身を滅ぼす原因になりえます。承認欲求と上手に付き合う方法を、ぜひ模索していってください。

(参考)
東洋経済オンライン|成功する人は「承認欲求」とどう付き合うのか
新R25|承認欲求が強くなる原因は? どうやって充たせばいい? 精神科医に聞いてきた
岸見一郎, 古賀史健(2013), 『嫌われる勇気—自己啓発の源流「アドラー」の教え』, ダイヤモンド社.
The New School|READING LITERARY FICTION IMPROVES “MIND-READING” SKILLS FINDS A STUDY FROM THE NEW SCHOOL FOR SOCIAL RESEARCH
Very well mind|The 5 Levels of Maslow's Hierarchy of Needs

【ライタープロフィール】
Yuko
大学卒業後、外資系企業に就職。現在は会社を辞め、ライター・翻訳家として活動中。趣味は散歩、ヨガ、カフェ巡り。

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