仕事で同じような失敗を繰り返してしまう……そうお悩みの方はいませんか?
頭ではわかっているはずなのに……注意しているはずなのに……それでも失敗が繰り返されるのは「分析が足りていない」ことが原因かも。
今回は、失敗の分析に役立つ「失敗まんだら」についてご紹介します。
失敗に対する「精緻な分析」が改善アクションを生む
資料作成するとけっこうな頻度で誤字脱字がある。社内会議にいつも遅刻してしまう。大なり小なり、同じような失敗を何度も繰り返してしまう人は意外と多いのではないでしょうか。自分に対する評価や今後のキャリアのためにも、「癖だから仕方がない……」と思考停止するのではなく、対策を練る必要があります。
みなさんは「失敗学会」の存在を知っていますか? 失敗学会とは、「広く社会一般に対して失敗原因の解明および防止に関する事業を行ない、社会一般に寄与すること」を目的として2002年に設立された特定非営利活動法人です。失敗や事故の原因究明や、その再発防止策の開発などを行なっています。
そして、この失敗学会では、失敗の事例を分析し同じ失敗を繰り返さないために「失敗まんだら」をつくることを推奨しています。失敗まんだらとは下画像のようなもの。この例では、「工業界における108件の事故事例の事故原因」が分析されています。
(画像引用元:StudyHacker|もう同じ過ちを繰り返さない! 原因分析が捗る「失敗まんだら」ってどんなもの?)
失敗まんだらをつくる利点は、なにか失敗や事故があったときにその原因を客観的に特定でき、その後の予防策考案に役立てられるということ。失敗学会の副会長を務める飯野謙次氏は次のように述べます。
たとえば、工場で事故が起きたとき、組織の場合には事故原因の分析がなかなかうまくいかないこともある。というのも、事故原因を個人の責任に帰属させるということが起きがちだからです。(中略)でも、この失敗まんだらがあれば、話は変わってきます。誰もが冷静に、「組織的な問題はなかったのか」と考えられますから、本当の事故原因を特定できますし、その後の予防策の策定もスムーズに的確に行なうことができます。
(引用元:同上)
そして飯野氏は、個人でも失敗まんだらをつくることをすすめています。失敗の原因と思われる要素を自分なりに書き出せば、「どうすれば同じ失敗を繰り返さないで済むかと考える方向に意識が向くようになる」とのことです。
自分の「失敗まんだら」をつくってみた
というわけで、筆者自身も失敗まんだらをつくってみることにしました。筆者は当サイト「STUDY HACKER」でライター業務を行なっていますが、良い記事テーマがなかなか思いつかなかったり、原稿のクオリティが足りず修正依頼がかさんだり、誤字脱字を指摘されたりといった面で悩んでいたのです。筆者の失敗まんだらはこのようになりました。
(※画像は筆者が作成)
失敗まんだらをつくるために、自分の仕事の仕方や日常生活の過ごし方を必死で振り替えてみると、 失敗の原因と思しきものがたしかに炙り出されてきました。
たとえば、記事テーマを考えるために、以前はほぼ毎日書店に足を運んで情報収集を行なっていたのですが、最近は通う頻度が減っていました。思い浮かぶテーマがこれまでの記事の焼き直しのようになり自分で納得が行っていなかったのも、ここに原因があったのかもしれません。初心に帰り、書店に行く回数をもっと増やすべきだと感じました。
誤字脱字が多発するのも、時間内に原稿を完成させようと焦るあまり、文章を見直す回数が充分でなかったことに一因がありそうです。仕事が習慣化するにつれ、悪い意味で場慣れしていたのは大きな反省点でした。また、睡眠不足といった生活習慣の乱れもまた、ケアレスミスを生んでいた原因のひとつかもしれません……。
たとえ偶然と思える失敗であったとしても、その背後にはもっと根本的な原因が潜んでいる……実際に失敗まんだらをつくってみると、そう感じました。その可能性に気づけるか気づけないかは、やはり分析の有無にかかっていると言えるでしょう。
みなさんもぜひ、頭をひねりながら失敗まんだらをつくってみてください。思いもよらなかった原因が浮かんでくるかもしれませんよ。
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飯野氏は、失敗まんだらは「どんどん更新していくべきもの」と述べています。失敗のない超人なんてこの世にいません。大切なのは、失敗してしまったあとにどうするか。そこで具体的アクションを起こさないといけないのです。
失敗まんだらをとおして、「同じ失敗を繰り返さないためにはどうすればいいか?」を考える機会を積極的につくっていきましょう。
(参考)
失敗学会
StudyHacker|もう同じ過ちを繰り返さない! 原因分析が捗る「失敗まんだら」ってどんなもの?
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。