新型コロナウイルスの流行により、日本全国で不要不急の外出の自粛が呼びかけられています。テレワークの導入も進み、きっと多くの人が、大部分の時間を家で過ごしているのではないでしょうか。
しかし、生活がこうも縛られると、ストレスがたまるのも事実。仕事の敵となるストレスを解消するには、どうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、家で気軽にできるリフレッシュ方法を4つご紹介。仕事の休憩時間や休日に、ぜひ実践してみてください。
1. 部屋に「自然環境」を取り入れる
家にいる時間が長くなると、外の自然が恋しくなりませんか。そんな場合は、室内に疑似的な自然環境を再現しましょう。
たとえば、みなさんは「フィトンチッド」という言葉を聞いたことがありますか。これは、樹木が放出する化学物質のこと。森林浴がすがすがしく感じるのもこの物質のおかげと言われており、吸い込むことで、副交感神経が優位になってリラックス効果がもたらされるそうです。
室内に森林のような環境を再現するのは不可能ですが……スギ・ヒノキといった、“いい香り” を出してくれる木材でつくられた雑貨や家具を置けば、森林浴と同じような効果が期待できるかもしれませんね。
また、2013年に豊橋技術科学大学と長崎大学が行なった研究では、「緑視率(視界に占める緑の割合)が10~15%の環境にいるときに、ストレスが減ってパフォーマンスが最も向上する」ことが明らかになっています。部屋に観葉植物を置くのも手でしょう。
パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社が展開するオフィス緑化サービス「COMORE BIZ(コモレビズ)」のサービスサイトでは、おすすめとして「テーブルヤシ(卓上に置きやすい)」や「ポトス(高い空気清浄効果も持つ)」、「サボテン(水やりがほぼ不要で育てやすい)」などが挙げられています。ぜひ植物の力を借りてみてください。
2.「ティータイム」で、お茶に含まれる “あの成分” を
緑茶に含まれる「テアニン」という成分。じつはこれ、リラックスやストレス緩和に効きます。
大妻女子大学名誉教授で “お茶博士” として知られる大森正司氏によれば、テアニン摂取により「副交感神経が優位になる」「リラックス気分をもたらすアルファ波が脳波に現れる」「精神的ストレスに対する抑制作用が発揮される」といった効果が証明されているのだそう。
大森氏いわく、テアニンは抹茶や玉露に特に多く含まれており、沸騰したての熱いお湯よりも、冷水やぬるめのお湯(40℃程度)でいれたほうが多く抽出されるそうです。ちなみに、テアニンには「睡眠の質を改善する」という効果もあるとのことで、寝る前に飲むのもおすすめ。
お茶で “ほっと一息” してみては?
3. 気軽に「アート活動」に取り組む
欧米を中心に行なわれている「アートセラピー」をご存じでしょうか。これは、アート活動に取り組むことで、悩みの苦しみの解消や精神のケアを目指す心理療法のこと。
ドレクセル大学(アメリカ)の研究者が、18~59歳の39人を対象に行なった実験によると、45分間アート活動に取り組むことで、ストレスホルモン「コルチゾール」の値が大幅に下がったとのこと。クリエイティブなことに取り組むと気分が爽快になる――そんな感覚は、意外と気のせいではないのかもしれませんね。
アート活動というと大仰に聞こえますが、ここでは「塗り絵」をおすすめしましょう。順天堂大学医学部教授で小林弘幸氏は、その効果を次のように述べています。
「音楽鑑賞やヨガ、太極拳などと同じで、塗り絵に取り組むと呼吸が整う。無意識にした深呼吸が自律神経を良い方向に調整するためだ」
(引用元:日経スタイル|大人の塗り絵でリラックス? 30分集中、ストレス解消 ※太字は筆者が施した)
今では、大人用の塗り絵ブックも豊富に売られています。童心に返り、思うまま紙に色を塗っていけば、きっとリフレッシュできるはずです。
4. 思いっきり泣く
東京メンタルヘルス所長で臨床心理士の武藤清栄氏によると、感情が動かされて流す涙には、「プロラクチン」や「ACTH」「コルチゾール」といったストレス物質が含まれているのだそう。つまり、感動や悲哀によって涙を流すと、ストレスの原因となる物質も一緒に体外へ排出されて気分が浄化されるということ。泣いてスッキリするのも、このおかげです。
そこで、休日など時間があるときに、ぜひ “感動的” あるいは “悲しくて” 涙を誘う映画・小説を楽しむことをおすすめします。
うまく泣くコツは、自分の経験に近いものを題材にした作品を選ぶこと。故郷の自然が恋しい人は「田舎を舞台にした映画」、学校の部活で苦労した経験を持つ人は「スポーツを取り上げた小説」など。自分の経験と重ねられるほど、涙の感情浄化作用が強くなるそうです。
人目を気にせず、思いっきり涙を流せるのが、家のいいところ。休日はぜひ涙を流してストレスも洗い流してください。
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仕事の休憩時間や休日にできるリフレッシュ方法を4つ紹介しました。制限された生活を送らざるを得ない今だからこそ、家でできることを積極的に取り入れ、仕事に備えましょう!
(参考)
農林水産省|フィトンチッドについておしえてください。
榎戸材木店|あなたを癒す杉の効能
パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社|オフィスの緑視率を高めて業務効率アップを目指すには?
日経 Gooday|お茶は「ストレス」「不眠」にも効果あり! 緑茶パワーをフルに活かす“いれ方”とは?
Kaimal, Girija, Kendra Ray, and Juan Muniz (2016), “Reduction of Cortisol Levels and Participants’ Responses Following Art Making,” Art Therapy: Journal of the American Art Therapy Association, Vol. 33, No. 2, pp.74-80.
日経スタイル|大人の塗り絵でリラックス? 30分集中、ストレス解消
月刊元気通信|涙の数だけストレス解消!この春は思いっきり泣いてスッキリ!
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。