なかなか成果を出せないと悩む、若手ビジネスパーソンは少なくありません。
その原因のひとつは、なんでも複雑に考えすぎてしまうことではないでしょうか。多くの情報を詰め込み、過度に分析を行なうことで、物事の本質が見えにくくなってしまうのです。
そんなことはもうやめて、思考をシンプルにしてしまいましょう。もっと効率的に結果を出せるはずです。その理由と、シンプルに考える際に役立つ方法を提案します。
成果を出せない人は複雑に考える
複雑に考える人ほど成果を出せない理由は、物事の本質がぼやけて、本当に考えなければならないことや、必要な行動から遠ざかってしまうからです。
たとえば、複数のプロジェクトを同時に進行しているビジネスパーソンが、すべてのタスクに対して細かい戦略を練り、リスクやメリットを考慮したとします。しかし、それだと複雑になりすぎて動きにくくなるうえ、本来の目標に集中できず、どのタスクも中途半端に終わってしまうのではないでしょうか。
実業家の堀江貴文氏は、原点を見失うと複雑に考え、ムダな時間を浪費してしまうと指摘。そして、スピード命のビジネス最前線では、シンプルな思考ができないと敗北するとしています。*1
成果を出す人はシンプルに考える
だからこそ成果を出すには、シンプルな思考が必要です。シンプルな思考とは、つまり、最も大切にしていることへの集中です。
たとえば、世界大手の輸送機器および機械工業メーカーであるスズキ株式会社は、他社をまねずに経営資源を軽自動車に集中させたことで、1973~2006年までの34年間、軽自動車の分野で連続日本一を維持できました。*2
ムダや複雑さをなくして、集中すべき対象を絞り込み、成功を収めた実例と言えるのではないでしょうか。
また、日本にスターバックス コーヒーの第1号店が登場した1996年当時、カフェと言うより “コーヒー喫茶” はタバコを吸いに来る客層中心でした。しかし、スターバックス コーヒー ジャパンは喫煙層からの批判を受けつつも、コーヒーの香りがタバコの煙に邪魔される状況を避けるべく、3号店から全面禁煙に踏み切ったといいます。*3
そうした理由は、それが何より大事なことであり、リソースを集中させるべきことだと考えたからではないでしょうか。
事実、米スターバックスのハワード・シュルツ氏(同社元CEO)は、日本の第1号店が分煙だったため、タバコの煙が喫煙スペースから流れてくる状況を見て、開店初日から怒りをあらわにしたといいます。*3
もしも、その後も客足が遠のくリスクを恐れ、少しだけ分煙スペースを残す、時間で区切って喫煙タイムを設けるなどしていたら、どっちつかずで複雑な状況を招いていたでしょう。この選択が成功であったか否かは、当時のスターバックス コーヒーの盛況ぶりが物語っています。
思考の整理家®として知られる、株式会社コンパス 代表取締役の鈴木進介氏も、仕事で成果を上げるために必要なことは「シンプル思考」だと述べ、「シンプルに物事を考えることができれば、ノイズに振り回されることなく、本質が見えます」と強調しています。*4
つまり、シンプルに考えることは、成功への道を切り開くための強力なテクニックなのです。次項では、思考をシンプルにするための方法をふたつ提案します。
1. パレートの法則に基づく
前項で示したように、本質を見極め、最も大切にしていることに集中しようとすると、20%の要素が80%の成果を生む傾向を指す、パレートの法則(80:20の法則)が浮かび上がってきます。
たとえばアメリカン航空はこの法則に基づき、「20%の高頻度・高価格旅客が80%の収益をもたらす」として、マイレージサービスを導入しました。つまり、優良顧客に集中し、収益を効率よく拡大する方法を選択したわけです。このサービスが、やがて日本を含む世界に拡がったことが、成功の事実を表していると言えるでしょう。*5
この法則をビジネスパーソンが個人で活用する場合は、まず自分の業務で最大の成果を生む少数のタスクやプロジェクトを、見極めることから始めるといいのではないでしょうか。
もちろん、それ以外のことを切り捨てるわけではありません。上記の作業を行ない、その対象に集中すると同時に、そのほかのタスクは効率化を徹底したり、外部委託を検討したりするのです。そうすれば限られた時間で、効率よく大きな成果を出せるようになるはずです。
- まずは最も大事なことを見極める
- 最も大事なことに集中する
- ほかのタスクは効率化を徹底・もしくは外部リソースを活用
2. 生成AIを利用する
自分の考えをシンプルに整理する場合、chatGPT や Claude など、生成AIを使うのもひとつの手です。たとえば、「私が思考を整理するための質問をして」と投げかけるだけで、以下のように、
- 現在取り組んでいる問題や課題は何か?
- この問題を解決するために何が必要か?
- なぜこれが重要なのか?
といった具合に、すぐ役立つ質問を提示してくれます。
また、上記の質問に回答した際に「その内容をまとめて」と頼めば、こんなふうにまとめてくれます。
こうすることで、自分の考えや状況を客観的に見ることができるはず。何が大事で、何が不要か判断しやすくなるでしょう。
自分ひとりでずっと考え込んでいると客観性を失い、物事を複雑にしてしまいかねません。考えをシンプルにするためにも、いつでもどこでも応えてくれる、AIの助けを借りてみてください。
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この記事では、考えをシンプルにすることの重要性と、その方法について述べてきました。思考をクリアにし、複雑な問題に対してもシンプルな視点で取り組むことで、成果を出しやすくなるはずです。 積極的に取り入れていきましょう。
*1: 東洋経済オンライン|堀江貴文「"複雑に考えたがる人"は逃げている」
*2: nippon.com|「軽」の評価は時代とともに変わった——鈴木修・スズキ会長兼社長
*3: ライブドアニュース|スターバックスが日本で成功した理由 女性客を取り込んで成長
*4: note|複雑に考える凡人、シンプルに考える一流。成果の違いは思考法の違いにあった。
*5: 乗りものニュース|航空会社の「マイレージサービス戦争」過熱 戦場は空からウェブへ 利用者は何を得る?
Shinya
大学では経済学を専攻。集中力があり、長時間、長期間にわたって勉強し続けることが得意。現在は、資格試験に向けて効率的な勉強法の情報を収集中。心理学にも関心があり、コミュニケーション力の向上を目指してさまざまなメソッドを学び、実践している。