鳥の目思考×システム思考。「頭がいい人」の問題解決術を徹底解説

デスクにて書類を手にほほえむビジネスパーソン

ビジネスの世界では、複雑な問題を迅速に解決し、状況を冷静に分析できる能力が高く評価されます。この「頭の良さ」は生まれつきの才能ではなく、特定の思考法を身につけることで誰でも向上させることができます。

「頭がいい人」はどのように複雑な問題を解決し、状況を分析し、本質を見抜いているのでしょうか。その秘密は、彼らが共通して用いている特定の思考法にあります。

本記事では、「頭がいい人」が実践している二つの革新的な思考法を解説します。全体を俯瞰する「鳥の目思考」と、複雑な関係性を理解する「システム思考」です。これらの思考法を習得することで、あなたも問題解決のエキスパートになれるでしょう。

日々の業務でこれらの思考法を実践するための具体的な方法も紹介します。ビジネスパーソンとしての能力を向上させたい方、より効果的な問題解決者になりたい方に必読の内容です。「頭がいい人」の仲間入りへの第一歩は、この記事から始まります。

頭がいい人の思考パターン1:鳥の目思考

物事の本質を見極めるためには全体を見据えることが大切です。しかし、目の前の出来事にとらわれてしまうと、全体を見据えるのは難しいもの。

そこで参考にしたいのが、マッキンゼーのコンサルタントが新人のうちに叩き込まれるという「鳥の目思考」です。*1

青空を飛ぶ鳥

マッキンゼーを経て人材開発コンサルタントとして活躍する大嶋祥誉氏は、全体を広く見て考える思考が「鳥の目」ならば、目の前の事象にとらわれてしまう思考が「虫の目」だと説明します。そして、物事を虫の目で見ていないかどうか自分を振り返ることが、鳥の目で見て考えるコツだと伝授します。*1

さらに、虫の目で見ていたことに気づけたときに「『なぜ自分はいま虫の目で見ていたのだろう?』と思えれば、一段高い視点をもつことができ」ると言うのです。*1

自分の視点の偏りに気づくことで客観性をもて、物事の全体をとらえられるようになるということです。

とはいえ、自分の視点の偏りに気づくのはなかなかできることではありません。

そこで、気づきを得るために 「セルフモニタリング」を活用してみるのはいかがでしょうか。

セルフモニタリングは「普段の自分が無意識にやっている思考・行動への気付きを、自分自身がえるトレーニング」のことで、「今の状況」「思考」「気分」「行動」「身体の反応」の5つを書き出す方法です。*2(引用部「自分自身がえる」は「自分自身が得る」の意)

たとえば、会議で使う資料の提出期限が迫っているときのセルフモニタリングをしてみましょう。

  • 今の状況:期限は明日の午前中で、午後にある会議までに完成させる必要がある。現時点で全体の構成はできているが、細部の調整が終わっていない。
  • 思考:ほかの業務もあるので焦っている。全体を見直して落ち着こう。
  • 気分:焦りと不安でいっぱい。
  • 行動:焦ると見落としが発生するので、上司に現時点でのフィードバックをもらう。会議で使いやすいように、簡潔で視覚的にもわかりやすくできているかの確認。時間配分に問題がないかの確認もする。
  • 身体の反応:疲れて集中力が落ちてきたので、5分だけ休んでリフレッシュしよう。

「今の状況」では、全体を意識するために 「あるべき姿」の確認とあわせて 「いまの状況」を俯瞰。

「思考」では、思考をそのまま記述。

「気分」では、自分の心理状態を可視化。

「行動」では、現時点でどんな行動をとっているか、その行動に無駄がないかを確認。

「身体の反応」では、身体の状態が思考や行動に影響を与えていないか確認しました。

こうしてセルフモニタリングをすることで、資料の提出期限が迫っている現況、本来あるべき姿、やるべきことを客観視できると思います。目の前のことだけに集中すると全体に意識を向けるのが難しくなりがちですが、セルフモニタリングを通しての振り返りは、全体を意識できているかの確認にもなります。

こうした積み重ねが全体を見据える意識を養い、鳥の目思考の定着に役立つはずです。

頭がいい人の思考パターン2:システム思考

頭のいい人は物事の本質を見極めます。たとえば、トラブルが発生しても表面的な問題に振り回されず、根本原因を突き止めて対応します。

このように物事の本質をとらえるのに有効な思考法が「システム思考」です。

システム思考とは「物事の全体像を捉え、さまざまな要素とのつながりを把握したうえで、最も効果的な解決法へ向かうアプローチ」のことで、「つながりの把握」がポイントと言えるでしょう。*3

ホワイトボードを見ながら考える人の後ろ姿

システム思考教育家の福谷彰鴻氏はこの思考法について、以下のように述べています。

システム思考は、起きていることにはいろいろな背景があるよとか、誰かが悪くて起きているのではなく、さまざまなつながりの中で共に作り出しているという捉え方をしていくので、受動的で反応的な行動パターンにハマるのではなく、ちゃんと思考して自分の行動を起こしていく思考の一つのツールとして使うことができます。 *4

つまり、起きていることの全体を俯瞰し、それは自分も含めたあらゆる事象が影響し合った結果だと考えるのです。

たとえば、同僚が資料の提出期限を守れなかったために、自分の仕事に影響が出たとします。そのとき、「時間管理ができていなかった同僚のせいで、自分の仕事が遅れて最悪だ……」と考えるのは、福谷氏の言う「受動的で反応的な行動パターン」です。

一方で、システム思考で考えると「提出期限を守れなかった要因がチームにもあるかもしれない」と、問題にいたるまでのつながりに着目できます。

同僚にタスクが集中していたために資料作成の着手が遅れたのだとしたら、適切にタスクを割り振れなかった上司にも責任があります。チーム内でコミュニケーションがとれていれば、お互いの状況を把握でき、問題が起こる前に対処できたかもしれません。

このように、システム思考では影響し合うあらゆる事柄のなかに自分もいるととらえるので、問題が起こったときに自分事として受け入れることができるのです。

ひとりひとりがこの思考をもてば人間関係も円滑になり、問題が起きても建設的なコミュニケーションをとって解決へと導けそうです。

では、システム思考を身につけるにはどうすればいいのでしょうか。

福谷氏は、「自分にとって許せない、理解し難いことが起きたときこそ、『そうさせてるものは何だろう?』という問いを持つ」のがコツだと話します。*4

物事の背景を考えるクセを普段からつけることが、システム思考を養うトレーニングになるのです。

デスクにてノートパソコンを前にサムズアップするビジネスパーソン

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あなたも頭がいい人が実践するふたつの思考法をまねて、思考力を養ってみませんか。

※引用部分の太字は筆者が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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