名門進学高出身者が当たり前のように東大合格できる理由。彼らには “これ” が見えている

西岡壱誠さん「メタ認知能力の重要性」01

「勉強するぞ!」——。そんなふうに意気込んで勉強を続けても、まるで成果が出ない……。このような状況では、誰だってストレスを抱えると思います。でも、なぜ強い思いがあるのに成果を出せないのでしょうか。

現役東大生であり、株式会社カルペ・ディエム代表も務める西岡壱誠(にしおか・いっせい)さんは、「メタ認知」に原因があるのではないかと語ります。勉強のスペシャリストとして、メタ認知能力の重要性について教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

目標達成に必要なことが見えていなければ、努力は無駄になる

私のまわりの名門進学高校出身の人たちは、当たり前のように東大に合格しています。それにはひとつのからくりがあると見ています。そのからくりとは、指標があるということです。

東大生を多く輩出するような高校では、高3の6月頃までは部活に打ち込んでいて勉強なんてしていなかった生徒が、東大に合格するといったことがよく起こります。すると、そういう姿を見ていた後輩たちも、「そんなことなら、自分だって東大に合格できそうだ」と思えるのです。

つまり、先輩という身近な指標があることで、「あの先輩ができたのなら自分にもできる!」「そのためにはこういう努力をすればいいのか」などのような、やるべきことがしっかり見えているのでしょう。

このことには、「メタ認知」が大きく関係しています。他者との比較によって自分を客観視し、現時点の自分の実力や、東大合格といった目標までに必要なことをきちんと意識できているということです。メタ認知というと個人でやることのように思えますが、自分ではない他者と比較するなど、なんらかの指標がないことには、自分を客観視することはできないでしょう。

勉強で成果を出そうと思った場合、ただやみくもに勉強をすればいいわけではありません。極端な例ですが、取得を目指している資格とはいっさい関係ないことをいくら勉強しても、その資格試験に合格するはずはないのです。しっかりメタ認知能力を働かせることにより、目標達成までにどんな努力が必要なのかということが見えていなければ、その努力は無駄になって当然です。

西岡壱誠さん「メタ認知能力の重要性」02

「わからないこと」がわからなければ、やるべきことが見えない

そして、勉強において必要なメタ認知能力とは、自分の弱点や足りないところ」を知ることです。

私は、これまでにも何度となく「性格が悪い人間は、勉強で成果を挙げられない」と言ってきたのですが、この言葉の意味は、「性格が悪い人間は、自分の弱点や足りないところを認識しようとしない」という意味です。

たとえば、模擬試験の結果を見た教師が「こういうところが弱点だぞ」と指摘してくれたのに、性格が悪い人間は「いやいや、そんなことはない」とまったく認めようとしません。でも、性格がいい人間なら「なるほど、だったらこういう努力が必要なんだ!」と弱点を克服するための努力ができます。どちらが成果を挙げられるでしょうか? 答えを言うまでもありませんよね。

勉強する行為は、「自分がわからないことをわかるようにしていく」というプロセスです。そうであるなら、「自分がわからないこと」がわかっていなければ、何をやってもそれはもう勉強とは言えないのです。

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メタ認知を使って弱点を見つけるため、「徹底的に分解」する

では、どうすれば自分の弱点をしっかり見つけるためにメタ認知能力を働かせることができるでしょうか? 私からは、徹底的に分解することをおすすめします。

私が接する受験生のなかにも、「英語が苦手なのですが、どうすればいいですか?」なんて言う子がよくいます。その言葉を聞く限り、「英語が苦手」だと理解できているように思えますが、これではメタ認知が機能しているとは言えません。

英語の場合なら、「英文法の問題で、こういう形式で問われたときには正答できるが、こういう形式で問われると正答率が下がる」というふうに、弱点を徹底的に細かく分解していなければ、弱点そのものを正しく認識しているとは言えないのです。もちろん、弱点克服のために必要なやるべきことも見えてこないでしょう。

資格勉強をするにしても、過去問を解くなどしてその結果を客観視することが大切です。なぜなら、仮に苦手な分野の問題ができなかったときに、「まあそうだよね。こういうのは苦手だし」と片づけてしまうかもしれませんが、その間違った問題のなかには、得意だと思っていたのにできなかったことも含まれている可能性があるからです。

でも、間違ってしまった問題から弱点を細かく分解していくことができれば、もう大丈夫です。その段階までくれば、弱点克服のためにやるべきことは見えました。あとは、そのやるべきことをシンプルにやっていけばいいのです。

西岡壱誠さん「メタ認知能力の重要性」04

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【プロフィール】
西岡壱誠(にしおか・いっせい)
1996年3月13日生まれ、北海道出身。現役東大生。偏差値35から東大合格を目指すも、2年連続不合格。3年目に勉強法を見直し、偏差値70、東大模試で全国4位になり、2浪の末に東大合格を果たす。東大入学後、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供を行なう「ドラゴン桜2 東大生プロジェクトチーム『東龍門』」のプロジェクトリーダーを務め、ドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS)の脚本監修を担当。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立し代表に就任。偏差値35から東大合格を果たしたノウハウを全国の学生や教員に伝えるため、全国6つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施。高校生に思考法・勉強法を教える他、教員には指導法のコンサルティングを行なっている。『東大メンタル 「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』(日経BP)、『東大思考』(東洋経済新報社)、『東大式スマホ勉強術』(文藝春秋)、『東大アイデア』(マガジンハウス)、『「自分の意見」の方程式』(KADOKAWA)、『マンガでわかる 東大勉強法』(幻冬舎)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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