全東大志望者のうち年間36,000人が “貫けない” こと。勉強で重要なのはやっぱり〇〇だった

西岡壱誠さん「目標に対する強い意識と諦めずやり抜くことが大切」01

勉強をしようと思いつつもなかなか身が入らない、あるいは続かない——。そんな人には何が欠けているのでしょうか。お話を聞いたのは「STUDY HACKER」に何度も登場していただいている西岡壱誠(にしおか・いっせい)さん。現役東大生であり、現在は株式会社カルペ・ディエム代表として教育事業支援など幅広く活躍しています。

東大生というと、それこそ地頭がよかったり多くの勉強のテクニックを身につけていたりしていそうなものですが、勉強で成果を挙げるために最も重要なこととして、西岡さんは目標に対する強い意識諦めずやり抜くことを挙げます。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

目標を強く意識できていないから、やり抜くことができない

勉強で成果を挙げるためには、何が重要でしょうか? それにはいくつも答えがありますが、やり抜くこともそのひとつ。成果を挙げられるまで諦めることなく歩み続ければ、その歩みがたとえゆっくりであってもいずれは必ず成果を挙げられます。

でも、「その勉強をやり抜くということ自体が難しいんだよね……」と思いますよね。ただ、そういう人であっても、過去には勉強以外のことに打ち込み、ずっとやり抜くことができた経験があるはずです。それは実際の経験なのですから、勉強に苦手意識をもっている人だって勉強をやり抜くことはできるのです。

サッカーが好きで打ち込んでいる人たちに「サッカーが好きですか?」と聞けば、全員が「もちろん好きです!」と答えるでしょう。けれど、「走り込みや筋トレは好きですか?」と聞くと、おそらく「好き」と答える人の割合は大きく減ります。

しかしながら彼らは、走り込みや筋トレといった地味な練習やトレーニングもしっかりやり抜きます。なぜなら、「もっといいプレーをできるようになりたい」「もっとチームに貢献したい」「全国大会に出場したい」といった目標をもっているからです。つまり、目標さえしっかりもつことができれば、苦手なことや楽しくないことも頑張ってやり抜けるということです。

勉強だって同じです。みなさんはなんのために勉強をするのですか? その目標を強く意識できていれば、サッカーで言うところの走り込みや筋トレのような地味な内容の勉強だって、しっかりやり抜くことができると思うのです。

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東大生は、東大を目指した結果「非認知能力」が高まった

そう考えてみると、勉強で成果を挙げるためには、いわゆる非認知能力が重要とも言えるかもしれません。ご存じの人も多いでしょうけれど、テストなどで測定できる力である「認知能力」に対して、非認知能力とは測定することが難しい力です。

非認知能力には、たとえば自己肯定感、意欲、自制心、コミュニケーション能力、回復力といったものがありますが、自らしっかりと目標を掲げて努力を続ける主体性も非認知能力ですし、それこそ「やり抜く」力だって非認知能力です。

東大生というと、多くの人は「認知能力が高い人たち」というイメージをもつかもしれません。しかし、明確な目標をもって主体的に努力を続け、目標達成に至るまでやり抜くという非認知能力が高い集団だとする見方もできると考えています。

このことには、じつは東大の入試問題の特徴も影響しています。東大の入試問題は5教科で構成されますが、合格ラインを目指すための戦略はいくらでも自由に考えられるようにつくられています。たとえば、英語は120点満点ですが、英語の試験結果がわずか20点だったとしても、ほかの教科でカバーすることができれば合格できます。

こんな戦略をとることができる入試問題を出す大学は、ほかにはほとんど存在しません。各教科まんべんなく一定程度の点をとることが求められるからです。ですから、東大志望者は合格のための戦略を練るときにも、「自分は得意な数学で徹底的に点数を稼ごう」というふうに、自らの頭で主体的に考える非認知能力が育まれるのではないでしょうか。

表現を変えるとするならば、東大生は「もともと非認知能力が高かった」というよりも、「東大を目指した結果、非認知能力が高まった」ということかもしれません。

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諦めることなく歩み続ければ、いずれは成果を挙げられる

ただ、勉強で成果を挙げるためには、受験生にとっての東大合格にせよ社会人にとっての資格取得にせよ、なんらかの目標をしっかり見据えること、そして目標をブラさないことが最も重要であることは間違いありません。

東大志望者を例に挙げましょう。東大の合格者は年間約3,000人です。その数字に対して、受験前年の春の時点で東大を目指している受験生は約4万5,000人ですから、倍率は15倍。ところが、夏が過ぎ新年を迎えて実際に入試を受ける人数となると、約9,000人に減ります。倍率はわずか3倍です。

この数字が意味するのは、約3万6,000人もの受験生が途中で、「やっぱり無理かもしれない……」となり目標がブレてしまったということです。

どんなに立派な目標を掲げたとしても、諦めてしまったらそこですべては終わります。繰り返しになりますが、目標達成まで諦めることなく歩み続ければ、いずれ成果を挙げることができます。2浪という遠回りをして東大に入った私が言うのですから、これだけは間違いありません(笑)。

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【プロフィール】
西岡壱誠(にしおか・いっせい)
1996年3月13日生まれ、北海道出身。現役東大生。偏差値35から東大合格を目指すも、2年連続不合格。3年目に勉強法を見直し、偏差値70、東大模試で全国4位になり、2浪の末に東大合格を果たす。東大入学後、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供を行なう「ドラゴン桜2 東大生プロジェクトチーム『東龍門』」のプロジェクトリーダーを務め、ドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS)の脚本監修を担当。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立し代表に就任。偏差値35から東大合格を果たしたノウハウを全国の学生や教員に伝えるため、全国6つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施。高校生に思考法・勉強法を教える他、教員には指導法のコンサルティングを行なっている。『東大メンタル 「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』(日経BP)、『東大思考』(東洋経済新報社)、『東大式スマホ勉強術』(文藝春秋)、『東大アイデア』(マガジンハウス)、『「自分の意見」の方程式』(KADOKAWA)、『マンガでわかる 東大勉強法』(幻冬舎)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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