元偏差値35の東大生が語る「勉強をやり抜ける人」の思考法、「やり抜けない人」の思考法

西岡壱誠さん「マイナス思考と飢餓感が勉強をやり抜くための鍵となる」01

「プラス思考」と「マイナス思考」という言葉がありますが、勉強で成果を出していく場合、どっちの思考が重要になるでしょうか。一般的には、マイナス思考がよくないものだと考えられそうです。

しかし、現役東大生であり、現在は株式会社カルペ・ディエム代表として教育事業支援など幅広く活躍している西岡壱誠(にしおか・いっせい)さんは、「どちらも重要」だと言います。プラス思考とマイナス思考、双方が勉強にもたらす影響について考えていきます。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

プラス思考と成功体験が勉強にもたらすメリット

みなさんは「プラス思考」ですか? それとも「マイナス思考」ですか? 近年、やたらとポジティブ・シンキングといった言葉を見聞きすることが増え、「プラス思考でなければならない」といった風潮があるようです。たしかに、勉強で成果を出していくためには、プラス思考はそのままプラスに働きます

なんらかの試験のために模擬試験を受けたとします。さんざんな結果に終わったときに、「やっぱり自分には無理だ……」とネガティブにとらえすぎてしまうと、「もういいや」と勉強を投げ出してしまうことにもなりかねません。一方、「全体の結果はさんざんだったけど、こういう部分はしっかりできていたぞ!」「そこを伸ばしていこう!」とプラスにとらえることができれば、そのあとも目標達成のために努力を続けることができるはずです。

私が指導している受験生たちには、「ひとつの教科のひとつの分野でもいいから、『誰にも負けない!』という『ナンバーワン』をつくろうよ」と言っています。ひとつの分野であっても、「このことはできた!」という成功体験が勉強に対するモチベーションを生んでくれたり、その成功体験を応用して別の分野が得意になったりすることもあるからです。

英語の長文問題が苦手だったとしても、英単語の暗記はしっかりできたといった場合なら、その暗記テクニックをほかの教科や分野に活かすことができます。そういう意味では、プラス思考や成功体験はとても重要なものです。

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安易なプラス思考だけでは、成果につながらない

しかし、プラス思考ばかりではよくないとも感じています。私は、プラス思考もマイナス思考も必要であり、両者のバランスこそが重要だと思っています。

先の模擬試験の例なら、さんざんな結果に終わったにもかかわらず、プラス思考が強すぎるあまりに「まあ、大丈夫。なんとかなるだろう」なんて考えてしまったらどうなるでしょうか? 目標達成のために本当に必要な勉強をすることができず、なんとかならないわけです。

一方、「この結果はまずいぞ!」「このままでは絶対に合格できない!」といったマイナス思考が働けば、模擬試験のさんざんな結果をしっかり受け止めて課題を洗い出し、やるべき勉強に真剣に取り組むことができます

このマイナス思考は、「飢餓感」と言い換えてもいいかもしれません。「自分にはこういうところが足りないぞ!」「このままじゃまずいぞ!」と考えることは、自分が目指す姿や自分の目標に対して飢餓感をもつということだからです。

勉強で成果を出すといったことに限らず、人生で何か成し遂げたいことがある人にとっては、この飢餓感こそが鍵を握ることになると考えます。「なんとかなるさ」という安易なプラス思考と比べると、「このままじゃまずい!」「なんとかしなければ!」といった強いマイナス思考のほうが、はるかに大きなエネルギーを生んでくれるでしょう。

もちろん、プラス思考が有用であることは紛れもない事実ですから、プラスとマイナス両方の目をもっておくことがベストではないでしょうか。

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人との交流のなかで、プラスとマイナス双方の目を磨く

その両方の目を養うには、人と会うことが最もいい方法です。なぜなら、なんらかの比較対象がなければプラスとマイナスの目をもつことは難しいからです。模擬試験の結果を見ることも、平均点という、多くは会ったこともない他人の成績と自分の成績を比較することです。しかし、本来なら実際に会ったことがある人でよく会うような人と自分を比較することがよりよいでしょう。

同じ目標に向かっている最中、自分が知っているまわりの人ができないことが得意だとわかれば、「このことは誰にも負けないぞ!」というようにプラス思考をもつことができますよね。

逆に、なんでもできるスーパーマンのような人がまわりにいたなら、「この人にはかないそうもないな……」とマイナス思考をもちつつ、「でも、やっぱり負けたくない!」という飢餓感をもつことにもつながるでしょう。

あなたがもし資格勉強で成果を出したいなら、同じ資格勉強をしている人たちと積極的に交流してみましょう。その交流のなかで、「みんなと比べてここはしっかりできているから、このまましっかり伸ばしていくぞ」「みんなはできているのに自分はここが苦手だから、きちんと克服しないと」と、プラスとマイナスの目が磨かれていくはずです。

ひとりきりで勉強をして成果を出すことはかなり難しいことです。コロナ禍のいまだって、SNSやオンラインサロンなど、自分と同じ目標に向かって努力をしている人たちと出会う場はいくらでもあります。インターネットが一般的ではなかったような時代に比べると勉強するには恵まれた時代なのですから、そういったツールを徹底的に活かすことも一考してみてください。

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【プロフィール】
西岡壱誠(にしおか・いっせい)
1996年3月13日生まれ、北海道出身。現役東大生。偏差値35から東大合格を目指すも、2年連続不合格。3年目に勉強法を見直し、偏差値70、東大模試で全国4位になり、2浪の末に東大合格を果たす。東大入学後、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供を行なう「ドラゴン桜2 東大生プロジェクトチーム『東龍門』」のプロジェクトリーダーを務め、ドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS)の脚本監修を担当。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立し代表に就任。偏差値35から東大合格を果たしたノウハウを全国の学生や教員に伝えるため、全国6つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施。高校生に思考法・勉強法を教える他、教員には指導法のコンサルティングを行なっている。『東大メンタル 「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』(日経BP)、『東大思考』(東洋経済新報社)、『東大式スマホ勉強術』(文藝春秋)、『東大アイデア』(マガジンハウス)、『「自分の意見」の方程式』(KADOKAWA)、『マンガでわかる 東大勉強法』(幻冬舎)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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